「第3次食育推進基本計画」へ提案を
学校給食をよくするために、みんなで意見を届けよう!
~「第3次食育推進基本計画」へ提案を~
全国学校給食を考える会
呼びかけ
2005年に食育基本法が成立し、2009年度から新たな学校給食法にのっとって全国の学校給食が行われています。食育が学校教育に位置づけられ、栄養教諭制度がはじまり、中学校給食の実施率は上がり、米飯・地場産給食が推進されています。
いいことばかりのようですが、実態は子どもの食のあり方、学校給食のあり方ともに問題が山積しています。
その中には、給食時間の確保、教科と給食献立の連携など、今すぐに対応や解決できることもあれば、施設・設備、人材、食材の変更など、予算や自治体内の合意形成が必要なことや、国の政策上の位置づけ、支援が必要なこともあります。
食育基本法では、国レベルの「食育推進基本計画」をつくり、さまざまな施策を実施することになっています。国の食育推進基本計画改定に合わせて、都道府県、区市町村の食育推進計画も順次見直されていきます。食育推進基本計画は、子どもの食、学校給食のあり方に大きく影響する国の重要な計画です。
国の「食育基本計画」は、5年ごとに見直されて修正されます。現在は、「第2次」の基本計画です。そして、今年、2015年度は、この「第2次食育推進基本計画」(2011~2015)の最終年度にあたり、その次の、「第3期基本計画」を策定する年度となります。
すでに、計画案づくりは進んでいます。内閣府に「食育推進会議」が設置され、専門委員会で審議されています。今年の秋には、「第3次食育推進基本計画」の骨子案ができる予定ですすんでいます。
したがって、今年は、日本全体の「子どもの食」、「学校給食」について政府や専門家だけにまかせず、子どもの食に関わる現場の関係者、市民が現状を考え、5年後、10年後、15年後を見すえて、声を上げる大切な年です。
子どもの食に関心を持ち、学校給食をよくしていきたいと願う私たちからの提案を具体的に届けていきませんか。
様々な事例を共有し、解決策を考え、国の政策に反映させるとともに、各地域での取組みに活かしていきましょう。
全国学校給食を考える会は、2015年8月18日に、食育推進会議(会長 安倍晋三内閣総理大臣)宛てに、以下の要望書を送付しました。
(添付PDFファイル)
ぜひ皆様も、この要望書をひな形として、食育についての意見を提案しませんか?
要望書全国学校給食を考える会版(ひな形に・PDF形式)
(宛先)
食育推進会議 会長
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
〒100-8970 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館
内閣府食育推進室気付
全国学校給食を考える会が提出した内容
2015年8月18日
食育推進会議 会長
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
全国学校給食を考える会
会長 五十嵐 興子
「第3次食育推進基本計画」で学校給食が取り組むべきこと(要望書)
私たちは、学校給食問題に取り組む市民団体です。
2016年度からの「第3次食育推進基本計画」の策定にあたり、子どもの食のために学校給食が取り組むべきこととして、計画案を策定される食育推進会議に対し、以下を要望いたします。
食育推進評価専門委員会等、「第3次食育推進基本計画」の策定に関わっておられる委員の皆さまに、私たちの意見を検討していただきたく、宜しくご配慮お願い申し上げます。
(具体的に織り込んでいただきたい文言)
一、単独調理場の効果
学校での食育において、学校の計画にのっとった柔軟な学校給食を実現することが望まれます。そのためには、学校ごとに単独調理場が設置され、栄養教諭等による献立、食材調達、および、地域の特色に対応し、多様な調理ができる調理員等の体制が必要となります。
現状の設置者(自治体)による施設設備や運営体制をただちに変えることはできませんが、長期的な目標として、第1期基本計画に書かれ、第2次基本計画で削除された「単独調理方式による教育上の効果等についての周知・普及を図る」の一文を復活し、国として促進することが必要です。
二、食物アレルギー等への対応
2012年12月、東京都調布市で学校給食を喫食したことによるアレルギー児の死亡事故が発生しました。文部科学省は、事故の分析、対応マニュアル等の作成を行いましたが、全国的には施設、設備、人員等の体制により従来より後退した対応をとる事例もあります。
そもそも、第1次基本計画において「(学校給食での)食物アレルギー等への対応を推進」が記述され、逆に、第2次基本計画ではこの一文が削除されており、この政策上の混乱は、第2次期間中に事故が起きたことを踏まえ看過できることではありません。あらためて、第3次基本計画で位置づけるとともに、食物アレルギー等への対応を国として支援することが必要です。
三、十分な給食の時間の確保
第2次基本計画で記述された「十分な給食の時間の確保」は、学校給食を食育として位置づける上できわめて大切な視点です。第3次基本計画では、この記述を残すとともに、給食時間(喫食時間)についての全国的な調査、時間確保のための事例、指導などを国として行うことを求めます。
長期的視点に立った私たちの改善意見
(全国の食育・学校給食事例の共有)
学校給食は設置者(公立小中学校においては区市町村)が、施設、設備、栄養教職員数、調理体制(直営・委託)等について予算を含めて権限を持ちます。そのため、全国でも学校給食の内容、質、教育力や体制が大きく異なります。
1985年の文部省(当時)の合理化通知で本格化したセンター化、調理のパート化、民間委託化や、近年学校給食未実施地域で導入されることのあるデリバリー方式(外注弁当方式)などにおいては、学校給食の課題を「財政負担」のみとして考え、地域を上げて子どもたちを育てていくという視点が欠ける動きがみられます。
一方で、学校給食を通じて、子どもたちの教育のみならず、地域全体の活性化や魅力作りにもつながると、積極的に取り組む自治体もあります。
食育と有機農業を軸に積極的な地場産食材給食を推進する愛媛県今治市や東京都日野市等、単独調理場方式の効果に着目しセンターからの単独校化を進めた新潟県五泉市、さいたま市、群馬県高崎市等、食育推進計画に「手作りの給食」を掲げた京都府向日市や、お茶の飲用を掲げた静岡県島田市、牛乳のあり方に一石を投じる新潟県三条市等いくつもの事例が挙げられます。
食育推進計画や学校給食の実際の取り組みをみれば、全国には参考にすべき事例や手法が数多くあります。それは、ひとりの栄養教職員、調理員、教員、保護者、市民の働きかけから始まったことかも知れません。
このような事例を共有し、すぐにできることは実践し、長期的に取り組むべきことには、希望を持って取り組むことが必要です。
以上のポイントについて、ぜひご検討ください。
(「食の安全」を学び続ける大切さ)
成長期にある子どもは、食を通した健康リスクが高い存在です。一般的に、食の安全は、食品衛生法によって確保されており、流通しているものに問題はないとされます。しかし、現実には、農薬、ポストハーベスト農薬、食品添加物、環境中に人間活動によって放出された汚染物質(化学物質、重金属、放射性物質)や遺伝子組み換え作物などバイオケミカル(生物化学的)な問題があります。
たとえば、農薬では近年ネオニコチノイド系と呼ばれる植物に浸透する殺虫剤が多用され、洗っても落ちず、作物の残留濃度が引き上げられるといったことが起きています。
学校給食は、これまで、常に食の安全と向き合ってきました。文部科学省は、学校給食衛生管理基準の中で、「不必要な食品添加物が添加された食品は、使用しない」、「有害なもの又は疑いのあるものは避ける」と、予防原則的表現を使っています。また、全国では、これまでの市民運動との連携により、「遺伝子組み換え食品は使わない」、「放射線照射ジャガイモは使わない」などの対応を位置づけている自治体も数多くあります。
食の安全は、学校において食を通じて子どもたちの将来の命に関わっているとの自覚のもと、市民とともに学び、予防原則的に行動することが必要です。
以上のポイントについて、ぜひご検討ください。
以上、宜しくお願いいたします。
全国学校給食を考える会
会長 五十嵐 興子
連絡先:
〒106-0032
東京都港区六本木6-8-15 第2五月ビル2階
TEL 03-3402-8902
FAX 03-3402-5590
[ 15/08/18 おしらせ ]