学校給食ニュース
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民間委託の問題点

「合理化」行政の流れ
 1985年、文部省は都道府県に対して「学校給食業務の運営の合理化について」を通知しました。背景には、当時の中曽根内閣の「民間活力導入」 がありました。学校給食に関する合理化の内容は、調理場の共同調理場方式への移行、調理員のパートタイマーへの切りかえ、 調理業務の民間業者への委託=労務費の縮減、政府補助金の縮減、受益者負担の推進です。
 学校給食の共同調理場方式(センター化)や民間委託は、85年以前にもありましたが、「合理化」通知の後、 急速に全国の自治体が取り組みはじめました。
 さらに1994年10月には、自治省が全国の地方自治体に対して、各分野の民間委託推進、 職員削減の行革大綱を1年以内にまとめるよう通知しました。そして、全国の自治体では行財政改革大綱を作成することとなり、 学校給食調理が職員削減対象のひとつとしてクローズアップされました。
 この行財政改革は、主に人件費削減を重視しており、いかにして職員数を削減するかということばかりが議論されています。そのため、 住民サービス、福祉、教育の充実という自治体行政の基本的な目的が後退しかねません。行政の無駄をなくし、コストを抑えることは必要ですが、 結果的に失うものが大きくては、本当の「合理化」とは言えません。学校給食調理の民間委託は、子どもたちの食教育にとって失うものが多すぎます。

教育的視点抜きの議論
 民間委託は、行財政改革、合理化という視点からすすめられます。学校給食の民間委託を検討する行政・議会の多くは、 「調理員は年間190日しか働いていない」とか、「忙しいのは給食の準備を行う数時間」という学校給食調理現場を無視した論点から、パート化や、 民間委託は「学校給食の質を変えずに経費節減できる方法」だという説明を繰り返します。
 このような自治体・議会の進め方があるため、一般的には民間委託問題はあたかも調理員の問題として捉えられがちですが、実際には、「合理化」 の代償として、直接、間接的に子どもたちに影響が生じてきます。学校給食は教育の中で重要な位置を占めるべきですが、 今日の給食はそのような位置を占めているのか、疑問です。
 学校給食法においても、「教育の目的を実現するために」

日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと
学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと、
食生活の合理化、栄養の改善、および健康の増進を図ること、
食料の生産、配分、および消費について正しい理解に導くこと、

という目標が定められています。
 子どもたちの食教育は、保護者、栄養職員、調理員、教職員を含んだ地域全体が、密接なコミュニケーションをもって取り組む必要があります。
 そのことを理解することで、民間委託問題が、調理員のみならず、保護者、栄養職員、 教職員を含んだ地域全体の問題であることがはっきりしてきます。民間委託をはじめとする「合理化」の問題は、他の学校給食運動と同じく、 子どもたちの食教育にとって、何がもっとも配慮された方法、方向であるかという視点を中心におくことが、運動を形づくる上で大切なことです。

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(学校給食ニュース0号 1998年2月)

 

 

[ 98/12/31 委託・合理化 ]


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