合理化通知の一端は崩れています
1997年9月、文部省の保健体育審議会(保体審)が、保体審答申を文部大臣に行いました。病原性大腸菌O-157により、 抜本的に学校給食のあり方が再検討され、「合理化通知」ですすめられた「パート化、センター化、民間委託化」とは一線を引き、 センター化よりも自校方式が望ましいとの姿勢を打ち出す内容となっています。
保体審答申抜粋
(学校給食の今日的意義)
学校給食は、栄養バランスのとれた食事内容、食についての衛生管理などをじかに体験しつつ、学ぶなど、食に関する指導の「生きた教材」
として活用することが可能である。こうした学校給食の活用により、
栄養管理や望ましい食生活の形成に関する家庭の教育力の活性化を図る必要がある。さらに、学校給食は、
社会全体として欠乏しているカルシウムなどの栄養摂取を確保する機会を、学齢期の児童生徒に対して用意しているという機能を果たしている。
このような学校給食の今日的意義と機能を考えると、現在、完全給食に実施率が約六割である中学校については、
未実施市町村において積極的な取組が望まれる。
(食に関する指導体制)
食に関する指導体制については、食に関する指導の充実を図るためにも、教育活動全体を通して行う健康教育の一環として、
食に関する専門家である学校栄養職員の積極的な協力を得て、関連教科において発達段階に沿った指導を行うとともに、
学校給食の今日的意義を踏まえて、適切な指導に取り組む必要がある。このため、教科等の特性に応じて、
学校栄養職員とティームを組んだ教育活動を推進するとともに、学校栄養職員が学級担任等の行う給食指導に計画的に協力するなど、
学校栄養職員の健康教育への一層の参画を図ることが必要である。
(学校給食の調理体制等)
学校給食を活用した食に関する指導を一層充実する観点から、学校栄養職員が個々の給食実施校に配置され、これにより、
児童生徒の実態や地域の実情に応じて、豊かできめ細かな食事の提供や食に関する指導が行われることが望ましい。したがって、
このような食に関する指導等が可能となるような単独校調理場方式への移行について、運営の合理化に配慮しつつ、
児童生徒の減少等に伴う共同調理場方式の経済性や合理性と比較考量しながら、検討していくことが望ましい。
また、献立内容にしても、児童生徒が食事内容を主体的に選択して食べることを通して、食事に関する自己管理能力を育むため、
カフェテリア方式等を取り入れることが期待される。
さらに、統一献立については、児童生徒の事態や学校の実情に応じた食事の提供を行うとともに、
食材の共同購入について衛生管理を徹底させるため、学校栄養職員が配置されていないなど特別の事情のある場合を除き、
縮小の方向で検討すべきである。
(下線、編集者による)
(学校給食ニュース9号 1999年2月)
[ 99/12/31 委託・合理化 ]