民間委託と職安法
各地で自治体が発表する行財政改革大綱に含まれる調理の民間委託ですが、直営調理員と異なり、法律的な問題を抱えています。
民間委託の場合、関係する法律として、職業安定法と労働者派遣法が関連しますが、とりわけ、職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)
が問題になります。
「何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、
又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」
給食調理という食品製造業は、労働者派遣法で認められた職種ではありません。
調理の民間委託の場合、認められる形としては「請負」です。この職安法を前提として、
労働省通達によって請負であるためには業務指示などの管理を業者自身が行うことになっています。つまり、栄養士が、
直接民間委託の調理員に業務指示などを行えず、受託した業者が業務指示を与えることになっているのです。
また、機械、設備、材料等も業者の責任と負担で準備することが請負の条件になっていますが、これも、問題点のひとつです。
さらに、業者の企画や専門的技術、経験で業務を処理することになっているため、献立の問題もあります。献立については、先の「合理化通知」
通達で、委託の対象ではないと明記しており、労働省通達と文部省通達の間での矛盾点となっています。
これらの矛盾の中で、現場に立つ栄養士はもっとも難しい立場に置かれます。
1986年に文部省体育局長が通達した「学校栄養職員の職務内容について」では、
(栄養管理)
4 学校給食の調理、配食及び施設設備等に関し、指導、助言を行うこと。
(衛生管理)
7 調理従事員の衛生、施設設備の衛生及び食品衛生の適正を期するため、日常の点検及び指導、助言を行うこと。
となっていますが、職安法44条から、栄養士は民間委託の業者に対して「指示書」の形で文書による献立等の指示をします。そして、 途中の「中間検査」および「出来上がり検査」によるチェック以外はできないことになっています。
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(学校給食ニュース9号 1999年2月)
[ 99/12/31 委託・合理化 ]