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民間委託のコスト比較のしくみと経費試算表

【民間委託の導入方法】
 
 民間委託を導入する場合、基本的には直営調理員の「退職者不補充」を行います。つまり、定年などで調理員が退職しても、新規(中途) での新たな採用を行ないません。その上で、自校(親子)方式の場合では、退職者数に応じて、順次調理場を民間委託していきます。センターの場合、 自治体内に複数ある場合は、どちらかのセンターを先に民間委託し、ある時点で、調理員を他の職種に配置転換する形で民間委託を進めます。 ひとつしかセンターがない場合は、退職者不補充とパート化で直営調理員を減らし、ある時点で直営調理員を配置転換させ、 民間委託することになります。
 下図は、自校方式での退職者不補充と民間委託導入を簡単に説明したものです。

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【コスト比較の基本的な考え方について】
 
 直営調理員と民間委託の経費試算について、考え方を示したものが下図です。

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ここでは 、パート職員については考えません。また、必要調理員数、すなわち、 生徒数や学校数の変化はないとして考えています。
 まず、直営の場合、退職者が10人いれば、翌年度には新規あるいは中途で新たに10人採用する必要があります。その翌年に5人退職者がいれば、 また5人を採用しなければなりません。
 一方、退職者不補充しながら、民間委託する場合には、ちょうど、新規採用分の代わりに民間委託されることになります。つまり、 民間委託と直営の経費を比較する時には、退職者不補充を基本にした場合、 退職していない現職の直営調理員の給与は考えなくてもいいことになります。
つまり、
1年目ならば、
(直営)現職調理員人件費+新規採用調理員人件費
(民間)現職調理員人件費+民間委託費
 
2年目ならば、
(直営)現職調理員人件費+(昨年採用調理員+新規採用調理員)人件費
(民間)現職調理員人件費+民間委託費
 
 となるからです。
 (直営)-(民間)が、コスト削減部分となります。
 この数字がマイナスならば、直営の方がコストが安いことになります。
 
『民間委託経費試算表』は、基本的にこの考え方をベースにしたものです。
 ですから、この試算表を使わず、より、簡単に経費計算することも、民間委託の条件によっては可能です。
 上記の考え方を踏まえて、経費試算表を利用しなくても計算できるかも知れません。
『民間委託経費試算表』は、たとえば、退職者不補充だけではなく、配置転換や、配置定数の変更など、様々な場合を想定しています。そのため、 表の計算は複雑になっています。自治体の実態にあわせ、考え方をご理解いただいた上で、部分的に利用するなど自由に工夫してご利用ください。

(学校給食民間委託の経費試算表の目的と役割)
【学校給食経費試算表】は、主に直営調理業務の人件費を5年先まで試算するためのものです。また、 民間委託業者の委託費用見通しが明らかになっていれば、5年先までの委託した場合と、直営で行った場合、移行期間の経費の比較ができます。
 民間委託を導入しようとする自治体の行政は、直営調理員の人件費は高く、民間委託すると安くなるので、財政削減になると主張しています。
 しかし、学校給食の運営費は、市町村の教育予算として考えられます。教育予算には、生涯教育や地域の教育活動も含みますが、 近年生涯教育などに使われる予算が増えていることは間違いありません。その教育予算全体に占める学校給食調理のコストと、 民間委託したとして得られるとされる財政削減の予想額が、はたしてどれほどのものでしょうか。
 学校給食調理の民間委託の問題をコスト論で考えると、自治体の予算やその決定方法、支出方法など、 地方自治のあり方も考えさせられることになります。
 この経費試算表を作成するにあたっては、 市町村や教育委員会が持っている公務員の給与表や学校別の児童数の推移予想などの情報をもらわなければなりません。なかには、 情報提供を拒否される場合もあるかも知れません。情報公開請求を行うなど、行政手続きも出てくるでしょう。
 ねばり強く交渉したり、調理員の労働組合組織への協力を要請することもあるでしょう。
 しかし、それを通じて、経費試算表を作成することにより、運動の幅は広がるはずです。


(学校給食民間委託の経費試算表の使い方)
 数字は苦手だという人は多いでしょう。まして、 公務員の人件費計算を試算するなど、公務員であっても関わりになりたくないかも知れません。
 そこで、やる気を出すために、完成した経費試算表をどう使うか、そこから考えてみましょう。
 経費試算表から出てくる結果は、直営調理員の人件費(諸経費含む)について、5年先までの試算です。10年先まで伸ばすこともできます。 この計算途中では、必要となる調理員の数なども出てきます。また、正規の調理員とパート職の配置による合計額の違いも計算することができます。
 もし直営のみを続けた場合で、今の正規職員とパート職の比率を変えない場合、5年後、10年後の経費はどうなるでしょうか。多くの自治体で、 子どもの数が減り、また、調理員の退職および新規採用による若返りが起こるため、人件費も横ばいか減少傾向になると思われます。つまり、 直営の場合であれば、経費を試算することはそれほど難しいことではありません。
 一方、民間委託の経費ですが、これは、一言では言えません。1食いくらで請け負うのか、最低1調理場いくらで請け負うのか、 その地域では業者間の競争があるのか、ないのか。たとえば、プラスチック食器から強化磁器に変更した場合など、契約条件が変わった場合、 いくら高くなるかなど予測のつかないことがあります。
 その中で、民間委託が安いという根拠は、自治体ごとにあるはずです。それを自治体の行政当局から出していただかないことには、 比較はできません。
 完成した経費試算表は、行政が出してくる委託費と直営調理での年度ごとの経費を比較します。
 もし委託予定費を行政が出してきたら、この経費試算表を使って、高いか安いか、どのくらいの金額が節減できるのかを議論することができます。 この試算表では、民間委託にあたって必要となる設備投資などのコストは含まれていません。当然、当初の予算は高くなるわけですが、 何年後に削減効果が出るのかなどを議論することもできます。
 また、たとえば議会などでこの試算表を引き合いに出し、行政が「削減できる」とする根拠を示してもらうことも可能でしょう。もし、 「削減できる」ための根拠を出せないのであれば、民間委託=経費節減という図式は絵に描いた餅であることが分かります。
 そして、民間委託=経費節減が仮説にすぎないのならば、学校給食を民間委託することの意味について、学校給食とは何か、 自治体としてどのような学校給食を実施するのかなど、本当の議論から考えることができるはずです。
 つまり、この経費試算表は、民間委託を推進する行政と対等に議論するための道具になるのです。
 もちろん、コストだけが民間委託か直営かを決めるものではありません。たとえ、民間委託が経費削減になるという結果であっても、それにより、 学校給食は何を失うのか、どんな問題を持つのか、民間委託によって失うものは、経費削減に見合うのかをしっかりと見極めなければなりません。
 
 
(学校給食民間委託の経費試算作成の概略)
 この経費試算表は、主に民間委託によって調理員としての職場を失うことになる調理員などの労働組合が利用する場合と、保護者・ PTAなどが民間委託に反対するために利用する場合があると思います。労働組合の場合、 経費試算表を作成するために必要な情報を入手することはそれほど難しくありません。一方、市民の場合は、 ほとんどの情報を入手することは可能ですが、一部難しいものがあるかも知れません。
 ただ、基本的には公開されてしかるべき情報ばかりですので、もし、窓口で情報公開を拒否された場合、 情報公開条例がある自治体では情報公開請求を行い、それでも情報がもらえない時には、条例に沿って不服審査請求などを行うことになります。
 また、民間委託を計画しているところでも、委託費用の算定をしていない、あるいは、 業者から見積もりをとっていないというところが多くあると思われます。その場合、民間委託=経費節減は仮説にすぎなくなります。そこで、 具体的な数字とその根拠を出すように要求していく運動をつくることもできます。
 以下、記入マニュアルの中に、情報入手方法と入手できなかったときの対処や、数字の意味などについて注釈を入れてあります。
 それら注釈を参考に、経費試算表作成を通じて、運動の幅を広げてください。

 

経費試算表構成 

 フォーマット 記入項目
A.直営経費・正規職員平均給与算出用フォーマット

 
・級号ごとの本給
・職務加算
・給食調理員の級号ごとの人数
B.直営経費・正規職員手当等算出用フォーマット









 
・調整手当
・扶養手当
・期末手当
・勤勉手当
・共済費(長期・短期)
・共済費(特別負担金)
・共済費(事務費)
・住居手当
・通勤手当
・特勤手当(給食調理)
・超勤手当
C.直営経費・新規職員人件費算出用フォーマット

 
・級号ごとの本給
・職務加算
・退職手当・月数
D.直営経費・職員数算出用フォーマット









 
・職員数算出の条件
・食数の換算値
・学校名
・分類(小、中学校、幼稚園)
・形式(自校給食、親子給食、弁当)
・親学校名(親子・センターのみ記入)
・委託予定(予定校に年度を記載)
・教員数(起算年度)
・児童数(起算年度およびその後5年間)
・正規職員数(起算年度)
・パート職員数(起算年度)
E.直営・委託経費算用フォーマット



 
・前年度退職予定者数
・正規職員/パート職員(換算値)
・正規職員ベースアップ率
・パート職員人件費
・委託経費

 

入力上の注意
 
○フォーマットはマイクロソフト社のエクセル2000で作成しました。OSはウインドウズ98を使用。ウインドウズ95以上であれば、 動作します。また、エクセル97以上でも動作すると考えられます。ロータス社の123でも読み込めますが、関数などを使用しているため、 できればエクセル2000を利用してください。
○入力は黄色に色づけられているマスのみです。
○それ以外の部分は自動計算します。
○ダブルクリックすると計算式があらわれます。計算式を変更すると別のフォーマットの計算やシュミレーションの結果に影響を与えます。 独自の計算式を作成する場合以外は、計算式を変更しないでください。
○入力する前に、フォーマットの原本とは別のファイル名で保存しておかれることをおすすめします。
 
免 責
 
○本フォーマットはできる限り正確を期しておりますが、あくまで想定計算式です。実際の人件費などとは誤差を生じます。また、 今後計算式の間違いなどが見つかった場合改善に努力しますが、本フォーマット使用による一切の損害については、責任を負いません。 本フォーマット使用者は、自己責任で使用してください。
 
学校給食の民間委託経費試算プロジェクト事務局
 
〒106-0032 東京都港区六本木6-8-15
第2五月ビル2階 大地を守る会気付
全国学校給食を考える会
電話:03-3402-8902 FAX:03-3402-5590

申 請 書 

以下の覚え書きに合意し、内容を遵守いたします。
学校給食調理の経費試算表CDおよびマニュアルを送付してください。
フォーマットが届き次第、同封の郵便振替用紙により、3000円を送付します。
 
 
合意覚え書き
 
学校給食調理の経費試算表を使用するにあたって、以下の事項に合意します。
一、試算作成のため、同じ自治体の団体内で行うコピー等をのぞき、 フォーマットおよび作成方法マニュアルの他団体等への無断配布、コピーは行いません。
一、試算は、申請した自治体についてのみ行います。
一、使用に際し、経費を水増しあるいは削減するなどの不正使用、あるいは、 フォーマット内の計算式を改変することによる、誤差以外の不正な数字改変を行いません。
一、使用に際し、フォーマットの改変を行った場合、その内容と目的について、 後日、全国学校給食を考える会事務局に報告し、他自治体における運動に協力します。
一、上記以外、入力や作成、使用方法、運動展開にかかわる感想や改善提案を、 後日、全国学校給食を考える会に報告し、フォーマットの改善や全国的な運動に寄与します。
一、以下の免責事項に合意します。

免責
○本フォーマットはできる限り正確を期しておりますが、あくまで想定計算式です。実際の人件費などとは誤差を生じます。また、 今後計算式の間違いなどが見つかった場合改善に努力しますが、本フォーマット使用による一切の損害については、責任を負いません。 本フォーマット使用者は、自己責任で使用してください。


上記の合意覚え書きに同意いたします



                                                             お名前                    




対象自治体名

給食方式(○で囲む)     自校       センター        親子

貴団体名

住  所

電話番号                       FAX番号

ご担当者名
 

電子メール
 


 

 

 
送付先: 全国学校給食を考える会 FAX03-3402-5590

[ 00/12/31 委託・合理化 ]


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