学校給食調理の経費試算表について
(はじめに)
学校給食は、学校給食法に基づき、「食教育」を目的に教育として行われています。
しかし、学校給食の運営は、各市町村が独自の予算で行っています。学校給食を行う、行わないも自治体で決めることができます。
学校給食には、様々な方式があります。
調理のしくみでは、学校に調理場がある「自校方式」、学校給食センター(共同調理場)で調理し、いくつもの学校に届ける「センター方式」、
ひとつの学校に調理場があり、近くの学校の給食も合わせて調理して届ける「親子方式」、さらには、最近、
民間業者が弁当をつくって学校に持っていく「弁当方式」などがあります。
また、調理者にも「直営方式」と「民間委託方式」があります。「直営」の調理員は公務員です。「民間委託」は業者が調理を請け負う方式です。
(次ページ参照)
近年、自校方式、センター方式にかかわらず、調理業務を直営から民間委託する動きが加速しています。
これは、1985年の文部省による合理化通知や1994年の自治省による行政改革指示によるものです。
この動きに対し、全日本自治団体労働組合(自治労)、日本教職員組合(日教組)、全国学校給食を考える会、
日本消費者連盟で構成する学校給食全国集会実行委員会(四者共闘)は、学校給食の可能性をせばめるとして反対し続けてきました。
食教育としての学校給食は、多くの可能性を持っています。食材や調理を通した地域とのつながり、教科教育とのつながりを持つことができます。
2001年度から本格的に導入される総合学習で取り上げられる環境問題やリサイクル、農業といった分野とも深いかかわりを持っています。
この学校給食を、調理員、栄養士、教員、保護者、地域が一体となってそれぞれの役割を果たし、それぞれの知恵を活かすことで、
学校給食は教育としての充実をはかることができます。
すでに全国各地で地場型給食や、学校給食の教材化が進められています。
しかし、調理の民間委託は、学校教育の中で、調理を教育から引き離してしまい、調理員の持つ知恵や工夫を活かすことができなくなります。
そこで、四者共闘は調理の民間委託には反対の立場をとってきました。合わせて、食教育としての学校給食のあり方を提案し、全国で調理員、
栄養士らが取り組む実践的な教育事例を通じて、食教育の質を高める運動をしてきました。
しかし、地方自治体の財政難、景気悪化を受けて、民間委託の動きはさらに加速しています。この動きに対し、
四者共闘では民間委託の経費について、民間委託推進側が訴える「民間委託すると経費が安くなる」という点についても具体的な議論をするため、
このたび、【学校給食調理の経費試算表】を作成しました。
この経費試算表を作成することで自治体ごとの学校給食経費について理解を深め、民間委託との経費差などについて明らかにし、
地域の運動として役立てていただければ幸いです。
引き続き、以下のリンクをお読みください。
学校給食の方式
民間委託の論理と問題点
民間委託のコスト比較のしくみと経費試算表
[ 00/12/31 委託・合理化 ]