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千葉県市川市で民間委託反対のうねり

●千葉県市川市で民間委託反対のうねり


 千葉県市川市で学校給食調理の民間委託計画に対し、市民による反対の声が広がっています。この計画は、市川市の給食事業の改善計画(案) としてまとめられたもので、磁器食器使用、ランチルームの整備、選択給食、セレクト給食、バイキング給食、カフェテリア給食、自校炊飯、 施設改善などとあわせて調理の民間委託が盛り込まれています。市川市ではこれまでも、人件費抑制や職員削減を求めてきました。そして、 新規採用を行わない形で調理員の削減をはかっており、この間、 学校給食の調理現場では栄養士と調理員が力を合わせてぎりぎりの人数で給食の質を落とさないようにしています。
 今回の民間委託計画では、民間委託されていない平成11年度の退職者による人件費減分を含めた累積での人件費抑制という試算をしています。 とても分かりにくいのですが、 市側はこれにより平成12年度6校の民間委託と退職者により累積で1億3千500万円余りの経費節減になるとしています。ところが、実際は、 新規採用し、さらに、磁器食器導入に伴う人員増を入れても委託しない方が4500万円弱安上がりになるという試算もあります(市川市職員組合)。
 平成12年(2000年)4月から民間委託の予定とされているのは、稲越、新井、国分、大野、宮久保、大柏の6小学校です。 99年のおわりになって市教委からの説明会を受けた対象校の保護者からは反発と不安の声が上がり、1度だけの説明では納得できないと、 12月の議会に数日での活動で4300人もの署名を集めて委託反対の請願を提出するなどの動きが起こりました。また、翌2000年1月には、 市川市の保護者による組織や労働組合、市議会議員など、関係する多方面の運動組織が「市川市学校給食の民間委託に反対する市民連絡会」を結成し、 1月20日に委託反対の市民集会を開きました。市教委をはじめ、市では4月から予定通り開始すると言っていますが、 2月の議会次第では民間委託の動きを止めらます。市川市の動きに注目が集まっています。

学校給食の民間委託に反対する市民集会アピール

「今日の給食おいしかったよ! 明日は何かなあ?楽しみだな!!」
 楽しそうな子どもたちの声が聞こえる学校給食。その学校給食に関し市川市教育委員会は、10月 「市内46校の学校給食調理業務を民間委託したい。来年度は6校で順次委託に切り替えていきたい」と、明らかにしました。
 学校給食とは、学校給食法第2条により「義務教育諸学校の教育目的を実現するため」と記され、
1.日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
2.学校生活を豊かにして、明るい社交性を養うこと。
3.食生活の合理化・栄養の改善及び健康の増進を図ること。
4.食料の生産配分及び消費について正しい理解に導くこと。
が、目標として定められています。
 市川市は同法に基づき、早くから直営による完全自校方式の学校給食を行ってきており、これまで、ただの一度も食中毒等の問題を起こしておらず、 全国的にも高い評価を得ています。
 教育制度の中に位置づけられている学校給食、その教育力の大きさ、環境問題に対する気配り、食の安全など、今日までの工夫と努力により、 市川市の学校給食は、教育行政における誇るべき大きな財産になっています。その学校給食を委託するとは、どういうことでしょうか?
 これまでの経過の中で教育委員会は「給食の民間委託は調理業務のみで、内容は今までと変わりませんし、財政負担も少なくなります」と、 言っています。
 法律違反になるので、栄養士が現場で指示できなくなる。柏市のように栄養士のきめ細かい指示に対して「それに見合う委託料をもらっていない」 との理由で、請負業者が業務を拒否、給食がストップしてしまった。など、どうして変わらないと言えるのでしょう?文部省等で、 食教育の重要性が指摘されていますが、委託により教育の一環としての学校給食が出来るのでしょうか? 
 さらに、市は財政難を理由にしていますが、行政改革と合理性・採算性の観点が強くなりすぎ、教育そのものである学校給食を切り捨て、 委託による安全面・衛生面での行政責任を曖昧にし、責任を放棄しようとしています。教育行政は、将来における先行投資と考えるべきで、 教育的観点が全くなされていません。
 また、子どもを預けている保護者並びに給食調理業務に従事する職員の合意を得ないまま委託計画が進められているのも問題です。 委託予定校の説明会では、予定時間を過ぎてもなお、多くの質問がでていました。保護者の立場からすれば、今まで何の心配もなかった学校給食が、 食中毒・異物混入・給食費の値上げなどあらぬ心配があります。これでは安心して学校に通わせることは出来ません。
 職員の合意についても、教育委員会の提示に対し、財政面.人員面で対案を出しているにも関わらず、委託ありきの話し合いが続いており、 合意に至っておりません。
 これらの理由から、学校給食の民間委託化には根本的な問題があると、私たちは考えています。
 私たちは、このような重大問題がある学校給食の民間委託提案を撤回し、市川市が食教育の一環として長い年月をかけ築きあげた、 安全でおいしい手作りの学校給食を守り発展させるために、行政が責任を持って行う自校直営方式の学校給食調理業務の堅持を強く要望します。
2000年1月20日
市川市学校給食の民間委託に反対する市民集会

[ 00/12/31 委託・合理化 ]


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