学校給食ニュース
委託・合理化 | カテゴリ別記事一覧 | 時系列記事一覧 | トップページ |

沖縄県那覇市、給食調理の民間委託方針

沖縄県那覇市、給食調理の民間委託方針


学校給食ニュース2003年2月号より

 

沖縄県で公的部門でははじめての学校給食調理民間委託化が那覇市で導入されようとしています。那覇市の学校給食は、小学校35校、 中学校17校で自校方式の給食が22校、センターが4つあり、センター方式の給食が30校あります。

 那覇市は、市経営管理局の重要政策マネジメントシステムとして打ち出した民間委託導入方針を受けて、 市教委区委員会が委託計画を検討してきました。2002年11月6日の教育委員会で「那覇市学校給食調理業務委託計画基本方針」を協議し、 調理の民間委託について、以下のように定めました。
 ・経費節減効果が図れること。
 ・調理場施設整備計画。
 ・学校長、保護者らへの説明努力。
 ・教育委員会、学校長、PTA、受託会社で組織を
  構成。
 ・初年度は、平成15年(2003年)9月より、調理施設設備が最も整っている神原小学校(自校・単独調理場)。

 以上をふまえ、市では教育委員会とPTAで11月15日に神原小学校にて保護者説明会を開催。琉球新報によれば、同校校長は、 保護者の懸念が払拭されない中で賛成はしていないと表明、教職員は反対の姿勢を示したとしています。
 さらに、11月30日に、同小学校で2回目の説明会を行ったが、沖縄タイムスによると、経費削減効果が1000万円になる根拠を求める声や、 保護者だけでなく教職員、栄養士、調理員も参加しての説明会を要望する声があったとしています。
 また、これらとは別に、11月から12月にかけて、教育委員会は、市内8カ所で神原小学校での民間委託について概要説明会を行いました。
 教育委員会では、調理の民間委託を行うことで、自校方式で約1千万円、すべての調理場を委託すると約3億円の経費が節約できるとしています。 そして、ドライ方式での調理場の立て替えや牛乳保冷庫等の工学備品の買い替え、さらに、校舎の建て替えやクーラー設置、不登校対策、 小学校の英語教育導入など教育の充実にあてる、としています。
 委託方式としては、退職者不補充によるもので、「調理員の公務員としての身分は退職まで保障されます」、また、毎年2~3人の退職者であり、 当分は単独調理場(自校方式)から委託するとしています。
 神原小学校を選んだのは、那覇市で最も整備されたドライシステム調理場であり、教育委員会に最も近いため、民間委託の検証が素早く行えるから、 としています。
 なお、那覇市では、浦添市にある那覇学校給食センターが老朽化しているため、 既存の自校方式調理場を増改築して近隣の2~3校の給食をつくる親子方式の導入も検討しています。

 これに対し、那覇市の調理員を含む自治労那覇市職員労働組合と、栄養士・教員を含む沖縄県教職員組合は、 委託計画の白紙撤回を求めています。また、市民団体も反対運動を展開しています。
 2労組の共同チラシでは、コスト削減目的で、給食の質や安全確保、教育としての役割が果たせるのか納得ができないとしています。特に、 年間1千万円の経費削減については、すでに調理員を10年近く正規職員の欠員補充を行わず、非常勤職員で補充しているため、 例えば委託される神原小学校では5人の調理員がいますが、単純に非常勤報酬額年額130万円×5人では650万円にしかならず、 退職者不補充方式で委託をしても、委託料1500万円では単年度で850万円の赤字になることは明らかで、 コスト削減効果がいつから出るのかが教育委員会によって説明されていない点を指摘してます。
 那覇市では、2月議会で学校給食の民間委託問題がひとつの焦点となり、ここが委託導入のひとつの山場になります。
 各地で反対運動や民間委託、学校給食問題についての勉強会などがさかんに行われ、マスメディアも那覇市の決断に注目しています。

(学校給食ニュース2003年2月号)

 

[ 03/12/31 委託・合理化 ]


Copyright 学校給食ニュース desk@gakkyu-news.net (@を大文字にしています。半角英数の@に変更して送信ください)
Syndicate this site (XML) Powered by Movable Type 5.2.9

バナー バナーは自由にお使いください。