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名古屋市、中学校スクールランチの現状

名古屋市、中学校スクールランチの現状

学校給食ニュース2001年9月号より

 愛知県名古屋市では、小学校給食が直営自校方式、中学校では「スクールランチ」を実施しています。スクールランチとは、 「民間調理業者委託、校外調理」方式という形です。持参弁当などとの選択制になっています。
 平成5年に試行がはじまり、平成8年より本格導入され、平成10年に中学校108校全校でスクールランチが実施されています。
 名古屋市教育委員会が発行している小学校給食についてのパンフレットでは、この中学校スクールランチについて、

■中学校の給食は「スクールランチ」を実施しています
「スクールランチ」は、皆が同じ献立を会食する小学校給食を発展させ、自分の健康を考え複数のメニューの中から自分で選択できる、 より実践的な給食方式です。
「スクールランチ」を通して、健康的な食生活を自主的に管理できる力を育てるとともに豊かな心や好ましい人間関係を育んでいます。

 として、優れた学校給食であることをうたっています。

 このスクールランチについて、まず、名古屋市中学校スクールランチ運営受託業者会が、第22回フード・ ケータリングショー出展に際して発行した「名古屋市中学校スクールランチ概要」パンフレットなどを入手しましたので、現状を整理してみます。 (学校給食ニュース編集)

●委託内容
 スクールランチを受託しているのは、名古屋市内に事務所を持つ7社です。この7社の10カ所のセントラルキッチン(校外調理場) で名古屋市内の中学校108校に配食しています。
 名古屋市から民間業者への委託内容としては、食材仕入、調理加工、炊飯、配送、食器管理、盛り付け、販売となっており、食材仕入などの面で、 一般的な民間委託よりも委託される範囲が広くなっています。
 名古屋市教育委員会と民間業者の業務関係については、まず、教育委員会が、献立決定、仕様決定、衛生指導・巡回、食数のとりまとめ、 喫食率の把握、食器備品の支給を担い、教育委員会で、仕様書、指示書、衛生管理基準などを作成しています。
 これを受けて、民間業者は、事前の献立提案、調理加工、炊飯、材料の発注、購入、配送、盛り付けなどを行っています。

●運営方式
 平成12年度にマークシート方式が全校に導入されました。翌月1か月の給食をマークシートでまとめて予約するシステムです。 だいたい月の後半にカラーの献立表とマークシート用紙が配布され、それに、 翌月の日ごとにスクールランチを食べるならばマークシートに記入して予約します。システムとしては、 前日や当日の変更にも対応しているとしています。
 また、決済は、基本的にランチカードを購入することになっていますが、現金や振込券での予約も可能になっています。ランチカードとは、 10回券が2500円、20回券が5000円で、学校で販売しています。ランチボックス(弁当)、ランチルーム献立のいずれも、 基本的には2種類が用意され、選択できるようになっています。
 パンフレットによれば、月に1度特別メニューとして行事食が用意されています。卒業祝い(ナンとキーマカレー)、市制施行の日 (シャチホコカレー…海老フライカレー)、土用の丑の日(鰻丼)、こどもの日(海老ピラフ、白身魚のクリームソースがけ)
 また、「生徒さんの応募の中から選んだメニュー」や、委託業者からの提案メニューも出されます。ちなみに、提案メニューにはミックスそぼろ丼、 海老フライ丼、海鮮ラーメンが紹介されていました。

●利用状況
 全校導入された平成10年度からの利用状況をみてみますと、 平成10年度平均49.1%、平成11年度平均49.8%、平成12年度平均51.4%となっています。だいたい半数の生徒が利用し、 半数は利用していないことがわかります。
 学年別では、平成12年度で、1年生が58.2%、2年生が50.0%、3年生が44.9%と、学年が進むにつれ、顕著に下がっていきます。
 また、平成12年度の例ですが、ランチルーム献立のときには71.3%と高い利用率ですが、ランチボックス(弁当)の場合、43.3% と半数以下になっています。
 これを、名古屋市の区別にみてみると、もっとも高いところでは、中村区の79.9%、もっとも低いところでは守山区の40.3% (いずれも平成12年度)となり、地区によって利用の差が著しいという結果になっています。
 この数字の評価については、様々な意見や考え、理由があると思いますが、少なくとも、全体としては半数しか利用されていないこと、そして、 学年が進むにつれて明らかに利用率が減っていることは注目に値します。
 この数字の意味は、同パンフレットに書かれているような「各生徒さんの家庭の諸事情も考慮し、4種類のランチに加え自宅からの弁当持参を認め、 ランチルーム・教室にて喫食しています」という弁当持参の意味とは異なり、ランチボックス方式が、家庭の事情ではなく、 その質や内容面から評価されていないことを意味しているのではないでしょうか。
 平均50%の利用という数字は、もはや学校給食法にある学校給食の目標である、
 一、日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと、
 一、学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと
 一、食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること
 一、食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと
 とは、かけはなれた、食材費以外については公費負担のある昼食サービスと言っても過言ではないところに来ているのではないかと考えます。

●民間委託の行く末か…
 この名古屋市中学校民間委託校外調理方式は、他の市町村で中学校給食を実施していないところが注目しています。すでに、 いくつかの市町村がこれに近い方式で導入したり、「給食」と呼ばず、「昼食斡旋」と呼ぶなどのまやかしのようなことをしながら、 導入を行っています。
 一方、これまで直営調理だったところが、民間委託化される動きはますます強まってきました。今のところ、民間委託は、 調理部門のみの委託であり、食材購入や献立作成は、学校栄養士(あるいは教育委員会)が行っています。しかし、この名古屋の状況をみてみれば、 すでに食材の発注・購入は、民間業者に委託されており、また、献立作成についても、委託業者による提案が現実に生かされています。
 食材の発注・購入や、献立作成について、調理を担当するところが、主体性を持つことは、基本的にあたりまえのことです。
 食材の質や内容、献立の中身や条件などは、調理者の技量によるところが大きくなります。同じ食材でも、仕入れ先、内容、 状況によって調理の扱いは異なります。その声が、仕入責任者に直接伝わることは必要です。そして、調理者が仕入や献立の責任の一端を担うことは、 いのちにかかわる食べものを加工する上での常識です。
 調理部門を民間委託し、あまつさえ調理場を学校栄養士から切り離すことは、調理技術とそれにともなう食材を見る目、献立をつくり、その結果 (残食や子どもたちの声)を受けて新たな献立をたてる力を、学校栄養士から奪い去ることになります。
 今の校外調理ではない民間委託であっても、調理が委託された以上、民間業者側は、学校給食や、そのための食材のみきわめ、調理のコツ、 献立のあり方について、ノウハウを学び、深めていくでしょう。今、「食材購入や献立は委託しない」といくら教育委員会が言っても、 将来を保証することにはなりません。調理を委託することは、いずれ、食材購入や献立づくりも委託することにつながることを、 名古屋市の状況が教えてくれます。

[ 01/12/31 委託・合理化 ]


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