東京都品川区
東京都品川区
品川区での学校給食は、87年に合理化施策が打ち出され、民間委託への討議が行われました。民間委託には大きな反対運動が展開され、
89年12月に民間委託は見送られましたが、別の合理化施策として「学校給食を一人暮らしの老人に配食サービス」することが決まりました。
これは、学校給食を福祉サービスの一環に組み込むことで区行政の合理化を進めているという観点から行われましたが、
いくつかの問題を抱えています。
大きな問題は、「子どもと同じものをお年寄りに食べさせてよいのか」という点と、これにより「子どもの食教育を担う学校給食が変節しないか」
という点です。
学校給食は、老人給食とは献立内容の目的が根本的に異なり、たとえば、成長期の栄養、子どもの嗜好、アゴや歯の発達のために、
噛みごたえのある料理の導入など、老人食の観点からはマイナスとなる要素が多くあります。一部の学校では、
保護者がボランティアとしてお年寄りに呼びかけ、別メニューのお弁当を作り届ける活動を繰り広げています。お年寄りも、
子ども向けの学校給食より、お年寄り向けに作られた弁当の方が好評です。しかし、行政側も、
学校給食の配食サービスを継続するためにお年寄りを探してくるなどしており、ボランティアの存在を無視した形となっています。
学校給食のあるべき姿のためにも、区全体の福祉のあり方を問う必要があります。
この学校給食配食サービスは、葛飾区、北区などでも一部実施されています。
(学校給食ニュース0号 1998年2月)
[ 98/12/31 委託・合理化 ]