東京都保谷市
●東京都保谷市
1996年5月に保谷市の行財政改革大綱が発表され、97年度から保谷小学校の給食を民間委託することになりました。
すぐに保護者などから反対の声があがり、反対運動が起こりました。96年の9月、12月に開かれた市議会では、合わせて10本の誓願、
陳情が出され、その署名数約3万名に達しました。
この誓願は、議会の文教厚生委員会で継続審議となりました。
97年1月に市長選が行われ、現職市長が当選。しかし、ねばり強い反対運動もあり、
3月の市議会で保谷小の民間委託予算2203万円が含まれていた当初予算は否決されました。その後、5月の臨時議会では、
業務委託費1000円を含む修正予算が可決。民間委託の97年度からの導入はなくなったかに思われました。
ところが、97年12月の議会で、補正予算として民間委託費が追加され、また、96年から継続になっていた誓願、
陳情も文教厚生委員会で否決されてしまいます。土壇場で97年度からの民間委託が決定し、98年2月、
保谷小学校で民間委託が開始されることになってしまいました。受託したのは台東区の業者です。今後、98年度に2校、
2000年度までに1校の合計4校が予定されています。
保谷市は、小学校11校すべてが自校方式。今回も、自校方式での調理民間委託です。
(学校給食ニュース0号 1998年2月)
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東京都保谷市には小学校が11校あり、すべて自校方式です。保谷市では、
98年2月から保谷小学校で台東区の業者による調理民間委託がはじまりました。98年度は、2学期から2校が導入されています。
98年2月という半端な時期に調理の民間委託がはじまった背景については、学校給食ニュース0号でもまとめましたが、おさらいしておきます。
当初97年度から委託開始予定でしたが、反対運動により、市議会で10本の請願、陳情が上げられ、署名が約3万にのぼりました。そのため、
97年3月議会で計上されていた予算は否決され、5月の臨時議会で業務委託費1000円という形で修正予算が可決。そして、
12月の議会で補正予算として民間委託費が追加され、96年から継続になっていた請願、陳情が否決されてしまいました。そのため、
98年2月から民間委託導入となったわけです。
最初に民間委託された保谷小学校では、事前に保護者に対しての説明会が5回開かれました。委託後は、定期的に給食運営協議会が、委託業者、
学校長ら、給食主任、栄養士、PTA役員、代表委員などによって行われ、そのつど、協議会だよりが保護者に配られる形をとっています。
98年2学期からは、碧山小と東伏見小の2校が民間委託されました。この委託校が正式に決まったのは6月で、7月にかけて保護者、
教職員向けの説明会が開かれました。
碧山小は正規調理員定数4に対し、1人欠員で1名を非常勤、東伏見小も5名の定数に対し、正規4名、1名が非常勤という状態でした。また、
直営の8校にもそれぞれ欠員がある状態で、年度途中での異動により、直営校の定数が埋まることになったのです。
保谷市では、正規職員の退職を待って来年度1校を民間委託とする方針です。しかし、その後のことは決まっていません。
保谷市では、98年2月の保谷小と9月の東伏見小が同じ業者、碧山小は違う業者が受託しています。その後の評価として、保谷小は、調理内容、
調理員が子どもたちとノートで交流するなどの取り組みもあり、おおむね好評なようです。一方、同じ業者でも、東伏見小では、
委託当初に異物混入などの問題で、給食協議会や、保護者、児童の間から不安の声が上がり、早々にチーフが交替しています。
今回、2校の民間委託化で異動対象となった調理員さんのひとり、宮岡千恵子さんにお話を伺いました。
「民間委託業者との引継は、3回ほどしました。また、職場(調理場)を引き継ぐわけですから、この夏休み期間中は例年以上に徹底して清掃し、
食器棚も、誰が見てもすぐに分かるように再整理しておきました。どのような状態でも、
子どもたちに最善の給食を出せる状態にするのが調理員としての使命だと思いますので、できる限り細かいところまで引継をしたつもりです。
給食室を明け渡すことは調理員としてとても悲しいことです。しかし、民間の調理員に職場をとってかわられた今回のことは、
私たち直営調理員の旧態依然とした仕事ぶりに対して下されたひとつの審判ですし、
これは自分たちへ投げかけられた批判なのだと私たち調理員自身が気づかなければいけないと思いました。
保谷市で学校給食に注目が集まっている今こそ、私たちもがんばり時です。子どもたちの食教育にとって、
直営の調理員だからこそできる工夫や配慮があるんだと本当に言えるよう、日々の給食づくりに取り組んでいきます」
(学校給食ニュース9号 1999年2月)
[ 99/12/31 委託・合理化 ]