学校給食の給食費問題(未納、督促、無料化など)
学校給食の給食費未納問題
学校給食の給食費未納が増えている問題については、近年、報道が増えている。最近のものでは、北海道新聞06年4月12日付けが、
札幌市の学校給食現場で、自校方式、区ごとの統一献立だが、学校単位で未納率が異なるため、未納の多い学校では、
食材の分量を減らすなどの対応を迫られているという。2004年度の納入率は、小学校で平均99.1%、中学校98.5%とあり、
学校単位では5%の格差があった。督促は学校側が行っているが、限界があるとしている。読売ウイークリー06年4月23日号は、
山梨県笛吹市の1中学校で校長が給食申込書を配布し、未納時の保証人や滞納に伴う停止を承諾するよう保護者に求めたという。仙台市では、
未納者に納付誓約書を取り付け、法的手段も検討しているとする。
千葉県浦安市では、学校給食センターが、給食未納世帯への訪問と給食費徴収のために、1人を採用する。
学校給食センター給食費徴収員の募集(千葉県浦安市)
http://www.city.urayasu.chiba.jp/a100/b001/d07800008.html
一方、少子化対策、人口減少に対抗するため学校給食費を無料化する自治体も出てきた。
北海道の三笠市では、2006年4月から小学校の学校給食費を無料化した。三笠市は、人口約12000人。人口減少や少子化に悩んでおり、
子育て支援の一環として、「給食費の無料化は、保護者が教育費負担の軽減を受けることができることはもちろんですが、市外への転出の抑制や、
市外からの転入を促す定住効果も期待でき、全員が平等にその恩恵を受けること」(広報06年5月号)から、無料化に踏み切った。
一般財源だが、少子化対策として国や北海道にも働きかけるという。
毎日新聞インターネット版06年5月4日付によると、三笠市の負担は年間1230万円となる。
北海道三笠市
http://www.city.mikasa.hokkaido.jp/
広報みかさ5月号「小学校の給食費を無料にしました」(PDF)
http://www.city.mikasa.hokkaido.jp/kouho/06_05/08_09.pdf
三笠市の場合は、未納問題がきっかけではなく、少子化、人口流出対策であり、未納問題の解決策ではない。 このように未納問題にかぎらず、学校給食費の問題に対する自治体の対応は様々であり、今後も、学校給食費をめぐる問題は続き、 報道も増えるであろう。
なお、学校給食法では、第6条、第7条が学校給食費に関することであり、第6条で運営経費は設置者(自治体等)、 それ以外は保護者負担と明記されている。これが、学校給食費(食材費)が保護者に負担を求める法的な根拠となっている。 この法律を前提にする限り、三笠市や山口県和木市などの給食費無料はあくまでも特別な例である。
以下に学校給食法を引用する。
(経費の負担)
第六条 学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、
義務教育諸学校の設置者の負担とする。
2 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、
学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項 に規定する保護者の負担とする。
(国の補助)
第七条 国は、公立又は私立の義務教育諸学校の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、
学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができる。
2 国は、公立の小学校、中学校又は中等教育学校の設置者が、
学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者(以下この項において「保護者」という。)で生活保護法
(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者(その児童又は生徒について、
同法第十三条の規定による教育扶助で学校給食費に関するものが行われている場合の保護者である者を除く。)であるものに対して、
学校給食費の全部又は一部を補助する場合には、当該設置者に対し、当分の間、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、
これに要する経費の一部を補助することができる。
学校給食法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO160.html
[ 06/05/07 運営・内容 ]