2017/12~2018/01の時事短針
●神奈川県鎌倉市、選択制デリバリー方式で中学校給食開始
神奈川県鎌倉市は、2017年11月に、選択制デリバリー弁当方式で中学校給食を開始した。献立は市の栄養士がたてる。給食費は1食330円で食材費。受託事業者が鎌倉市内の向上で調理する。汁物も冷めにくい容器での個配。食材は新たに設けられた「鎌倉市立中学校給食における給食物資購入及び選定基準」に従って事業者が調達する。アレルギー対応食も提供。また、鎌倉市が給食関連情報提供、献立、加工品等配合割合一覧表などを掲載している。予約はネット上で1カ月前に一括で行う方式。
鎌倉市、中学校給食について
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kyusyoku/kyushoku_tyugakkoukyushoku_top.html
●神奈川県寒川町、中学校給食の方針変更
神奈川県寒川町は、未実施の中学校給食について、2018年度中に選択制のデリバリー方式を導入することにしていたが、この方針を取り下げ、小中学校合わせた給食センター方式を2023年度目途に導入する方針に切り替えた。
切り替えた背景と理由として、高齢化、人口減少、町税減収などの社会情勢、2017年3月に策定した「町公共施設等総合管理計画」、小中学校の完全給食の20、30、40年先を見通した持続可能な方法などを上げているが、大磯町でのデリバリー方式による異物混入、大量残食なども影響したとみられる。なお、2017年10月には3中学校でデリバリー方式実施のためのアンケートを実施していた。小学校給食室の設備の改修については、必要な改修、修繕はそのまま実施する。
寒川町、給食
http://www.town.samukawa.kanagawa.jp/kurashi/yochien/syoutyu_gakkou/kyushoku/
●岡山県新見市、センター統合、直営方式の答申したが…
岡山県新見市は学校給食あり方検討会を2017年3月から6回開催し、9月22日に答申を市教育委員会に提出した。それによると、新見市は1センター、4共同調理場、単独調理校4校で提供しているがセンターをはじめ老朽化がすすんでおり、今後の整備計画や運営計画を答申するもの。答申では、施設について、単独調理校をふくむすべての学校給食施設を、新センターに統合すること、ただし、保育所・認定こども園への給食提供は新センターに移行せず、既存調理場のひとつの活用がかんがえられること。配送のため保温食缶を導入することを答申。食数見込みは2300食。3カ所の候補を示した。
また、運営については、直営を維持すること。理由として、かつての食中毒を受けて安全確保の体制がとられ信頼性が高いことと、職員の適正配置、雇用形態の安定を示した。
一方、その後の報道では、その後の検討会で、候補地での建設が難しい等、早期建設が困難であると市教委が報告したとされる。
新見市学校給食あり方検討会
https://www.city.niimi.okayama.jp/gyosei/gyosei_detail/index/1688.html
●中教審、働き方改革特別部会中間まとめ
文部科学省中央教育審議会学校における働き方改革特別部会の第9回会議が2017年12月12日に開催され、中間まとめ(案)が示された。
そのなかで、給食費徴収については、すでに進められている「公会計化」と、学校外での対応が示されている。また、給食時間に関しては、以下のような整理がされている。
資料1-1より
給食時の対応
給食時の対応については,食に関する理解を深める給食指導と食物アレルギーへの対応等の安全管理の双方が必要となる。食育の推進を図る上でも給食時の指導は重要であるという指摘がある。
給食指導については,学習指導要領の特別活動として位置付けられ,学校で担うべき業務であり,学習指導要領の解説においても,学級担任の教師による指導が原則であると記載されている。この点,栄養教諭等の配置状況も踏まえながら,学級担任と栄養教諭等との連携により,食物アレルギーを有する児童生徒に対する毎日の給食時の各学級での対応も含めてより効果的な指導を行うことで,学級担任一人一人の負担を軽減していくべきである。
また,学校においては,基本的には学級を単位とした給食指導を行うことが一般的であるが,ランチルームなどで複数学年が一斉に給食を取ったり,地域ボランティア等の協力を得たりすることにより,教師一人一人の負担を軽減するために運営上の工夫を行うべきである。
なお,アレルギー対応については,学校においては「学校給食における食物アレルギー対応指針」に示すとおり,安全性の確保のため,施設整備や人員等に鑑み,無理に過度で複雑な対応を行うことまでは求めるべきではない。
栄養教職員などの配置が進まず、兼任、センター化による複数校の担当も多い。また、センター化、調理の直営から民間委託やパート化により、直営正規雇用調理員の減少など、学校給食に携わる学校職員も減少しており、給食調理以外の対応が難しくなっている。教員負担の軽減を考えたとき、学校給食の充実は欠かせないのではないか?
また、食育推進は、学校全体、各教科でも取り組むこととなっており、そのあたりも含めた負担軽減と教育の充実についても視点が欠かせないのではないか。
中教審、働き方改革特別部会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/index.htm
●広島県福山市、2020年度中に全中学校給食開始
広島県福山市は、2017年11月に「福山市立中学校完全給食実施方針」を発表し、2020年度までに現在未実施校のある中学校給食について、小学校との親子方式での給食開始を示した。それによると2015年度中学校は35校中7校のみで学校給食が実施されていた。2015年に小中一貫教育の推進とともに中学校完全給食の実施の方向性が示され、2016年度に2校、2017年度に6校が完全給食を開始。2校はセンター、6校は親子方式をとっている。それらの実績を踏まえ、方針を立てた。デリバリー方式については、「基本方針に沿った給食の提供が困難」として採用せず、親子方式で受配校が30分以内に搬送可能なことを前提にした。1校は小中一貫で自校方式となる見込み。
福山市立中学校完全給食実施方針の策定について
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/kyoiku/110173.html
●愛知県阿久比町、新センター建設へ
愛知県阿久比町は、2018年1月、「阿久比町立新学校給食センター基本計画(案)」を示し、パブリックコメントを開始した。案によると、現在の給食センターの老朽化、今後の食数増加対応、衛生管理基準への対応、食育・アレルギー対応・環境配慮(省エネ)等の環境の変化に対する対応の面から新センター建設を決め、公設民営方式をとることとした。新センターは最大調理能力4500食規模。幼稚園、保育園、小中学校が対象となる。食器はPEN樹脂製で飯椀、汁椀、仕切り皿、2020年9月には供用開始を想定している。
阿久比町PA
http://www.town.agui.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=4017
●佐賀県吉野ヶ里町、センター建設の方向性を打ち出す
佐賀県吉野ヶ里町では、「吉野ヶ里町学校給食センター建設検討委員会提言報告書」2018年1月15日に提出、公開された。それによると、1700食のセンター建設を提言。
現在はおかず・牛乳の補食給食を「完全委託」デリバリー方式(食缶方式)で実施。吉野ヶ里町の給食をめぐっては、2015年に異物混入等の問題で一時休止するなど他の自治体を含めて混乱が生じ、再開後も異物混入などが問題になっていた。同じ委託事業者と契約していた佐賀県内の他の自治体はそれぞれに独自の対応をはじめていたが、吉野ヶ里町では対応が遅れていた。提言報告書では、自校方式について、センターより初期投資は低いが、長期的にはセンターのコストが低いとの評価でセンターを提言。なお、委員は自治体・教委関係者のみ。
吉野ヶ里町学校給食センター建設検討委員会提言報告書が提出されました。
http://www.town.yoshinogari.saga.jp/news/detail.php?qvCd=1112
●北海道伊達市、PFIセンター稼働、併設レストランも
北海道伊達市は、2018年1月、だて歴史の杜食育センターの運用を開始した。伊達市の小中学校14校と、壮瞥町の小中学校3校に学校給食を提供する学校給食センターとして、PFI方式で建設、運用されるもの。食数は約3000食、献立と食材調達は伊達市が行う。同施設には、食育レストランとして、軽食と同日の給食献立を食べられる「Eスプーン」が併設され1日100食限定で学校給食が提供される(有料)。
だて歴史の杜食育センター(平成30年1月供用開始)
http://www.city.date.hokkaido.jp/kyoiku/detail/00005071.html
●栃木県栃木市、給食整備計画
2017年12月から2018年1月にかけて「栃木市学校給食調理場整備基本計画」の素案に対するパブリックコメントを募集した。素案によると、現在栃木市には、センターが3、親子が10調理場(1~2校が受配校)、自校式が5つあり、このうち、1センター、4親子方式の調理場、5つの自校式が新衛生管理基準には適合していないとする。栃木市の学校は小学校31校、中学校14校で、うち中学校1校が自校方式です。これは合併前の状況によるもの。同様に、米飯給食についても、炊飯器方式、飯缶方式、委託による弁当箱方式が混在。
これに対して、新たな方針として、栄養教諭等配置基準から、親子方式は、学校数2~3校、児童生徒数1000人以下を目安。センター方式は、受配校6校未満、児童生徒数1200人以下程度を目安。自校式はコスト面、栄養教諭等の配置上、原則導入しないという方針とした。また、米飯は、飯缶方式で統一する方針。これらを踏まえた各地域ごとの整備方針を示している。
パブリックコメント期間が過ぎたため、素案はウエブ上からは削除されている。
栃木市保健給食課学校給食係
http://www.city.tochigi.lg.jp/hp/menu000015000/hpg000014288.htm
●兵庫県加古川市、中学校開始でセンター整備
兵庫県加古川市は、2017年12月、中学校給食実施に向けた学校給食センターの整備運営に関する実施方針、要求水準書(案)を公表した。DBO方式の公設民営となる。特別目的会社が設計施工運営を行う。運営期間は15年。(仮称)日岡山学校給食センターの最大食数は4500食。対象校は中学校6校。2020年9月に運営を開始する。アレルギー対応は除去食(卵、乳)だが、将来的には代替食提供や除去食品目追加も想定。食器はPEN樹脂。献立、食材調達は市が行う。なお、要求水準書(案)には、災害時等の対応は記載されていない。
(仮称)日岡山学校給食センターの整備及び運営事業(DBO方式)に関する実施方針・要求水準書(案)の公表
http://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kyoikusomubu/gakumuka/gakkoukyuushokunituite/chuugakkoukyuushokunituite/seibiunneijigyou/kashouhiokayama/1513734300224.html
●愛媛県新居浜市、新センター整備の方針
愛媛県新居浜市は、2017年12月に、新居浜市学校給食施設整備基本計画(案)を示し2018年1月12日までのパブリックコメントを募集した。新居浜市は、現在14の自校方式(小学校)、3つの小中学校親子方式、1センター(中学校8校)で運営されている。なお、中学校給食は選択制をとっているが、喫食率は95%近い。
老朽化と、新衛生管理基準への不適合などを理由に、新たな整備計画を検討。自校式、親子式の学校の給食をセンター化する。バイキング給食などは、栄養士の配置、特別給食対応施設の整備で対応する。アレルギー対応、地産地消、災害対応も行う。現在の自校、親子の施設のうち15施設がセンター化対応となる。新たに2つのセンターを建設し、3センター方式とする。3センターは地区別で小学校・中学校の両方に対応し、食数は、3200~3400に分散。中学校は全員喫食に移行予定。
新居浜市学校給食課
http://www.city.niihama.lg.jp/soshiki/gakkokyusyoku/
[ 18/01/31 取材メモ・リンク ]