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2001年2月19日 学校給食全国集会報告 三里四方の食材を子ども達に

2001年2月19日 学校給食全国集会報告

■三里四方の食材を子ども達に■


杉木悦子さん
日教組栄養職員部常任委員
長野県安曇村 安曇小中学校栄養士


 遺伝子組み換え食品を使わず、地場のものを使っています。ただ、遺伝子組み換えはないと思っていましたが、牛乳や乳製品、 卵製品の飼料については今日のお話を聞いて、あらためて調べてみようと思います。
 食材は、作っている人の顔を見て買うという考え方に立っています。遺伝子組み換えが入る前から、豆腐は、地元大豆を使い、 地元の豆腐屋に作ってもらっていました。献立表(別紙)にあるような無農薬、低農薬と書いたものは、 ほとんどどこの誰が作ったのか分かるようになっています。子ども達は、学校給食を通じ、食べものだけでなく、作った土地、 気候風土も学ぶのではないかと思います。
 長野県教組の栄養職員部では、学校給食の教育としての取り組みをしています。子ども達を中心にした給食について考えています。 その取り組みをこれまでに2冊の本にまとめました。
 2冊目は、「学校給食を未来へ」というタイトルです。栄養職員部のスローガンには「日本の農業を守ろう」というのがあります。 地場産のものを食べていれば子ども達は健康になり、それだけではなく、住んでいる人たちとともに食べものを考え、生きる力をつけると考え、 その実践例をまとめた本です。
 そこには、4つの事例を上げてあります。地域とともに生きる学校給食、子ども達は、土地に生きている人たちの生き方を学ぶ、 食を通しての人格形成ができ、今と将来を見つめていけると思います。

北御牧村
 栄養士が低農薬のものを欲しいという要望を母連絡会に伝え、そこから農協婦人部、生活部、青年部に呼びかけ、安全な生産者の会ができ、 学校給食用の生産物が広がりました。

長谷村
 1963年に長谷中学校の校長が、学校給食は人格形成に大事だと訴え、日本で初めてのランチルームができたところです。ここでは、 農家の女性グループ「麦わら帽子の会」が中心に地場野菜を作っています。文化祭などでも一緒に交流して食文化を伝えています。

山形小学校
 私が生まれ住んでいる村です。輸入小麦粉を調べたら、日本のものより200倍ぐらい残留農薬があるということを報道で知り、当時、 私も山形小学校にいたので、なんとか国産小麦でパンが焼けないかと考えました。土地ごとにパンにはいろんなものがあるので、 日本の小麦を使った日本のパンというのがあってもいいと考えました。そこで、 山形小学校と中学校で国産小麦を使ったパンを焼くという広がりがになりました。今も続いています。また、 低農薬野菜生産グループの女性が手間を惜しまずに野菜を届けてくれています。

小諸市
 市議会で地場のものを使うと決議しました。今は市長をはじめみんながそれを誇りに思っています。地場産の野菜は泥付きだったり、 虫が付いていたりします。調理員は大変です。そこで、輸入農産物を調べるため、横浜港まで行って調べ、 労働はきつくても地場産でがんばろうという意志を調理員自らが固めました。
 なお、地場産率は、野菜が35~40%。芋類が60~
80%、果物が12~15%、小麦粉、餅米、キビ、シメジ、エノキ、卵は100%です。5月~11月はすべて地場産でできます。
 ここは市議会の決議が広がりを助けました。
 さらにたとえば、子ども達が収穫を手伝いたいという声を出したことで、年間計画をつくり、市でバスを出してそれを応援しています。 40kgのほうれん草を収穫した中学生は、こんなに苦労したのだから、給食に残して欲しくないと声を上げます」これが教育であり、 生きる力をつけることではないかと思います。
 そして、子ども達が親や地域の大人を自慢に思う。そういうことを達成できる力が学校給食にあります。
 総合的な学習という流れがでてきましたが、こういうとりくみ、生きるとはどういうことが、日本の農業を守ることは、生活を守ることということ、 汗を流すこと、働くことを、農業を誇りに思うことだと思います。
 自給率を上げながら、自治を広げていく、命を守っていく、運動の意味で、生きる力を養っていくことになると思います。


■質問
Q:佐賀市職です。佐賀市も国産小麦パンを使うのですが、グルテンが少ない、足りないと言われ、試食のものも輸入グルテンが入っていました。 どうされましたか。
A:輸入グルテンは添加していません。国産小麦にもいろいろあります。グルテンの一番多い国産小麦でつくればいいと思います。 少しぱさぱさした食感でかめば味わい深いのが国産小麦パンの特徴かも知れません。
 実際に今使っている国産小麦だけのパンを送ります。それから、パン屋さんと製粉屋さんに配合割合やレシピなどを聞いて送ります。
 

[ 01/02/19 地場産・産直 ]


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