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有機野菜を学校給食へ 千葉県山武町

有機野菜を学校給食へ

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 千葉県山武町は、千葉県八街市に隣接し、近年、ベッドタウンとして住宅が増え、人口も増えている農業地域です。ここで、 有機栽培の野菜を学校給食に供給している生産者グループ・JA山武睦岡支所無農薬有機部会があります。
 JA山武睦岡支所の下山久信支所長に経緯や考え方、具体的な方法をうかがいました。

 JA山武睦岡支所無農薬有機部会(部会長:石橋明さん)は、生産者55人、人参、里芋、レタス、大根をはじめ、野菜、 果物を中心に60品目以上を年間を通し、有機栽培しています。その多くは、生協や有機野菜の産直グループ、百貨店や外食産業に出荷されています。
 学校給食用として同部会は、地元の山武町給食センターと東京都小金井市にある学芸大学付属小金井小学校に野菜を届けています。
 地元の山武町給食センターが有機野菜を取り扱いをはじめたのは、1990年のことです。学校の役員をしていた農家が、 自分たちが作っている有機野菜を給食で使ってくれないかと、学校や教育委員会に働きかけたのがきっかけでした。
 現在は、使う前月の20日頃に、JAから野菜の品目や、出荷が可能な日などを学校給食センターに送り、学校給食センターでは、献立をみながら、 発注する野菜の種類、日にち、量目、届ける時間を指定します。JAでは、生産者に割り当て、生産者は、決められた日時に、 直接学校給食センターまで運んでいきます。
 4月は、白菜、大根、いちご、里芋、5月は、人参、ピーマン、大根が使われました。
「時期が限られたり、下処理に時間がかかったりしますが、試食会などを開くと、保護者からもっと使って欲しいという要望も上がり、 今後とも引き続き取り扱っていきます」と、山武町学校給食センターの栄養職員・能勢敏子さん。
「生産者も親であり、子どもが学校に通っています。だから、生産者も学校給食には気を使います。 給食センターで働く調理員さんも地元の人ですから、生産者にしても顔なじみです。地元の給食に地元の野菜を使うと、お互いの顔がよく見えます。
 千葉県の他の地域から問い合わせを受けたこともありますが、他の学校給食は基本的にお断りしています。なぜならば、有機野菜に限らず、 地元には地元の農家がいて、農業があるからです。子どもが通っている地区でその生産者のものを学校給食に届けるのでなければ、 地場の食材を使っていることにはなりません。生産者と学校が交流できるところでやることが、 生産者にも子ども達にも喜びと楽しみを生み出すのですから」と、JA山武の下山さんは、地場型の学校給食についての考えを述べられています。
 その一方で、同部会では、東京都小金井市の都立大付属小に食材を提供しています。「都市では、地場でつくるということも難しいですし、 それに都立大付属とは縁がありましたので」と下山さん。
 都立大付属中学校には、学校給食がありませんが、1年生は年に1度、泊まり込みで漁港や醤油醸造所、畑の体験を行っています。その畑が、 JA山武睦岡支所でした。その交流の積み重ねのうち、付属中では給食はないけれど、付属小にはあるのだから、と、食材提供の要請があり、以来、 付属小の給食に野菜を供給しています。

 今回は、有機農業生産者の側から給食への食材供給について取材しましたが、供給できる時期が限られることや、献立とのかねあい、 下処理など、生産者と栄養士、調理員が、お互いに話し合い、工夫する必要があるようです。その意味でも、直接生産者が給食調理場へ運べる距離が、 「地場」給食を行う上でのひとつの目安となりそうです。
 また、「地場」で野菜がつくれなくても「交流」を伴った「産直」であれば、取り組みは成功するようです。

学校給食ニュース99年6月より

 

[ 99/12/31 地場産・産直 ]


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