学校給食ニュース
遺伝子組み換え | カテゴリ別記事一覧 | 時系列記事一覧 | トップページ |

2001年2月19日 学校給食全国集会報告 記念講演~遺伝子組み換えと学校給食

2001年2月19日 学校給食全国集会報告

■記念講演~遺伝子組み換えと学校給食■



講演:天笠啓祐さん
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表
・ジャーナリスト


 記念講演として、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表の天笠啓祐さんに、遺伝子組み換え食品の問題点を、 最新の事例や研究データに基づいてお話しいただきました。特に、現在、遺伝子組み換えイネの研究開発が日本で起きていること、 その商業的な栽培をくい止めることが、日本の農業や食に大きな意味を持つというお話がありました。講演内容をもとに、内容をまとめました。

■遺伝子組み換え作物にNO!
「遺伝子組み換え食品には、安全性の問題が大きいです。遺伝子組み換えイネがお米となって毎日学校給食に出るようになれば、とても心配です」

 遺伝子組み換え技術を含む「バイオテクノロジー」には、いい日本語訳がありません。私は「生命操作技術」と呼んでいます。 古いバイオといわれる発酵などの技術は、微生物の力を借りて味噌や醤油をつくったり、 交配を通じて品種改良したりするような自然界で起きる方法を使った技術です。それに対して、 自然では絶対起きないことをつくるのが新しいバイオ技術の特徴です。
 細胞融合によって、トマトとジャガイモの雑種がつくられました。自然界ではありえません。クローンも体細胞クローンでは、 同じ遺伝子を持つ生命体ができます。自然界では絶対に起きません。
 遺伝子組み換えも自然界では絶対に起きないことを行う技術です。人間からは人間の子どもしか生まれません。犬からは犬しか生まれません。この 「種の壁」を超えるのが遺伝子組み換え技術の特徴です。
「寒さに強い」「塩分に強い」遺伝子を入れるだけで生物を改造します。 イネに別の植物や細菌やウイルスなどの遺伝子を入れるのがイネの遺伝子組み換えです。世界的には遺伝子組み換え食品が消費者から嫌われています。 とりわけヨーロッパではまずスーパーなどの店頭でみかけることがありません。
 遺伝子組み換え食品を食べたくないという日本の消費者は8割いるという調査結果もあります。
 そのため、全体には、遺伝子組み換え作物の栽培が縮小傾向にあり、もともと開発企業であった化学・農薬メーカーは、農業部門を切り離したり、 別会社にしつつあります。
 日本では、キリンやサントリー、カゴメなどの食品メーカーが遺伝子組み換え作物を開発していましたが、食品メーカーはイメージが大切です。 雪印のように一度イメージを傷つけると大きな損害になります。そのため、キリンビールは遺伝子組み換えの日持ちトマトを開発し、 食品としての申請を出していましたが、申請を取り下げました。
 生産量が減少している原因のひとつには、日本の消費者の表示を求める運動があります。
 中国は遺伝子組み換え作物を栽培しない方針へ転換しましたが。これも、アメリカの競争力が落ちていることを見て、 日本への輸出を考えてのことです。
 一時期急速に栽培面積が増えた遺伝子組み換え作物ですが、日本や世界の消費者、市民の運動が、この動きを変えました。

■それでも開発は進む
 それでも、遺伝子組み換え作物の栽培、食品への応用は進みます。2000年12月に、 厚生労働省の食品審査でデュポン社の高オレイン酸大豆が認められました。
 高オレイン酸大豆とは大豆の脂肪酸の割合を変え、肥満や高血圧、心臓病対策、つまり、健康食、病院食として開発されたものです。
 これまでの遺伝子組み換え作物は、除草剤耐性だったり、殺虫性のものがほとんどです。これを第一世代遺伝子組み換え作物と呼んでいます。 この第一世代遺伝子組み換えは、生産の省力化など、生産者のメリットを訴えたもので、消費者には何のメリットもありませんでした。
 ところが、この高オレイン酸大豆は消費者のメリットを追求した第二世代遺伝子組み換え作物です。
 第二世代遺伝子組み換え作物は、健康食品など付加価値をつけて消費者に受け入れられようとする意図を持っています。 これに消費者がどう反応するかが遺伝子組み換え食品のこれからに大きく影響します。

■自給を放棄した結果…
「遺伝子組み換え作物を一番食べているのは家畜。表現は悪いが、日本人は家畜の次に遺伝子組み換え作物を食べています」

 遺伝子組み換え作物の主要なものは、大豆、ナタネ、トウモロコシ、ワタです。アメリカの農業は大規模経営です。そこでつくる作物は、 食べものを作っている感じではなく、エサを作っているという感覚のように思えます。 アメリカで大豆やトウモロコシは家畜の飼料として主に使われます。また、アメリカにとって貿易の稼ぎ手は農産物、食糧である、 遺伝子組み換え作物は輸出のために作っているとも言えます。
 日本は、自動車などを輸出するために農業政策として自給を放棄しています。
 その結果、遺伝子組み換え作物が大量に入ってきました。畜産飼料のほか、食用として一番普及しているのは食用油です。大豆油、 菜種油の4割が遺伝子組み換えになっています。食用油や醤油については4月からの表示義務づけでも表示義務の対象にならないため心配です。
 遺伝子組み換え作物は家畜のエサとしてもっとも使われ、そして、日本人は、その次に遺伝子組み換え作物を食べているのです。

■危険性
「遺伝子組み換え技術の問題点は、第一世代でも第二世代でも同じです」

 遺伝子組み換えとは、他の生物の遺伝子を入れるということです。違う生物の遺伝子ですから簡単には入りません。無理矢理入れて、 無理矢理働かせています。そのため生物としては、ダメージを受けたり、変なことが起きます。最近分かったいくつかの事例です。

●大豆の収量減少
 元全米科学アカデミー農業部門委員長のベンブロック博士の報告です。
 通常の大豆と遺伝子組み換え(除草剤耐性)大豆を比較すると、収量が全米平均で5.3%減っていました。
 原因として考えられているのは、自然界から見れば遺伝子組み換え作物は不自然であり、生命として弱くなっている可能性があります。次に、 除草剤のラウンドアップを直接大豆にかけても枯れなくなりますから、気にせずにかけるようになります。それが原因かも知れません。 実際にはよく分かっていません。

●収入も減少
 アイオア州立大学の研究です。モンサントのラウンドアップ耐性大豆を作付けした場合と、 普通の大豆を作付けした場合での農家の収入についてアイオア州内の農家を調査しました。支出は除草剤耐性の省力化効果で減っています。 1エーカーあたり9ドル減りました。ところが収入も10ドル減りました。収量が減って、消費者が嫌ったため市場価格が下がりました。 差し引きすると損失が1エーカーあたり1ドル。農家にとってもメリットはないということが明らかになり、作付け面積が減少しているのです。

●予想より花粉が飛ぶ
 ある日本の有機農家がこんな実験をしたそうです。自分の田んぼから3キロメートル離れたところに黒米を植え、 どのくらい花粉が飛ぶか調べてみました。農水省などは、イネはそれほど飛ばないので数十メートルだとしていました。ところが、1俵(60キロ) の中に20粒の黒米が入っていたそうです。多い少ないはあれ、確実に飛んでいるのは事実です。
 ところで、昨年6月から有機農産物の認証制度がスタートしています。有機認証には遺伝子組み換え農産物が排除されることとなっています。もし、 花粉が飛んできたらどうするのか、農水省の役人に聞いてみました。「そういうことは想定していません」という答えです。
 日本では食品としても飼料としても認められていないスターリンク(遺伝子組み換えトウモロコシ)が日本に入り、 食品に混入していたこととが分かりました。このひとつの原因が花粉の飛散だと考えられます。
 花粉では、ヨーロッパでも2000年に大きな問題が起きました。ヨーロッパは遺伝子組み換え作物を拒否しています。そこで、 カナダから遺伝子組み換えナタネではない種子を購入しました。ところが、そのナタネの種子に遺伝子組み換えナタネが混ざっていたため、 作付けした後に刈り取ったり焼却する騒ぎになりました。これも花粉の飛散によるものです。カナダのナタネは遺伝子組み換えナタネが半分あります。 だから、純粋な非組み換えナタネをとることがとても難しいのです。 非組み換えの種子をつくっている会社はニュージーランドに移転することになりました。

●環境への影響
 ニューヨーク州立大学の研究で、殺虫性の遺伝子組み換えをしたイネから、その毒素が分泌されていることがわかりました。 殺虫性遺伝子を組み換えた植物を虫がかじると死にます。だから殺虫剤を使わなくてもよいのですが、毒素はすべての細胞にできます。そして、 根からも分泌されます。これは想定外だったそうです。環境への影響が深刻です。土中の微生物や昆虫に影響します。しかも分解されにくく、 234日も土中に残りました。
 原因については、殺虫毒素タンパク質は、トウモロコシにとっては、本来持っていない、必要ないタンパク質です。 トウモロコシにも迷惑なタンパク質だから、自ら排出しようとしているのではないかという仮説が立てられています。
 ナタネの除草剤耐性遺伝子が近縁種の雑草に広がり、除草剤をかけても死なない雑草が生まれています。
 殺虫性毒素が含まれた花粉のためにチョウの幼虫が死んでしまいました。
 殺虫性毒素の花粉を集めるためにミツバチが短寿命化したり、 殺虫性毒素を持つ植物を食べた害虫を食べるためテントウムシの短寿命化が起こったという報告もあります。

●人間への影響
 基本的に生物の毒はタンパク質やそれが小さくなったものです。 除草剤に強いタンパク質や殺虫性のタンパク質が食べるところを含めたすべての細胞にできるわけです。それを私たちは、 食べつづけることになります。
 アレルギーの可能性もあります。アレルギーもタンパク質が原因で起こるわけです。だから、厚生労働省の安全性評価では不十分です。 遺伝子組み換え食品そのものの毒性やアレルギー性に関して動物実験をまったくしていません。その前に人間に食べさせています。
 また、抗生物質耐性菌が広がる可能性もあります。 遺伝子組み換えがうまくいっているかどうかを調べるために抗生物質耐性遺伝子が組み込まれています。この遺伝子が腸内細菌に移ったら、 いざというときに抗生物質が効かないということがあるかも知れません。
 さらに、除草剤耐性大豆とラウンドアップの組み合わせが危険とのドイツでの研究があります。 大豆にはもともと微量のホルモンかく乱作用物質があります。 除草剤ラウンドアップを除草剤耐性大豆にかけるとその物質が増加するという研究結果があります。
 イギリスでは、動物実験で、免疫低下、内臓障害が起こったという研究もあります。これは、イギリス政府が依頼し、 プシュタイ教授が中心になって進めた研究です。

■遺伝子組み換えイネと日本
「すでに日本でもいくつかの遺伝子組み換えイネの作付けが認められています。食品としての申請は消費者の動向次第です」

 今、日本の企業はイネの開発を進めています。農水省や関連の機関と共同で開発しています。日本は農水省が遺伝子組み換えイネに積極的で、 日本企業、多国籍企業と共同で研究開発しています。
 実は、日本では国内での遺伝子組み換え作物の栽培はされていませんが、花についてはすでに遺伝子組み換え品種が栽培されています。それは、 サントリーの青いカーネーションです。
 そして、イネについても、栽培については認められた遺伝子組み換え品種がいくつもあります。ただし、 食品として厚生労働省への申請はされていません。日本の消費者が受け入れなければ申請しても意味がないと考えられているからです。
 日本で開発されて作付けが認可された遺伝子組み換えイネの中には、 アメリカで生産して日本に輸出することを前提とした除草剤耐性品種もありますが、ほとんどは、日本での作付けを考えた品種です。
 また、日本たばこ産業の関連会社であるオリノバでは、酒米を遺伝子組み換えコシヒカリで開発しています。 このほか、 愛知農業試験場とモンサント社が共同で開発した除草剤耐性の地元品種「祭り晴」 などは作付けが認められたら食品として申請される可能性があります。
 さらに、全農が開発しているヒトラクトフェリン遺伝子導入・鉄分増量イネというのがあります。ヒトラクトフェリンとは、 母乳に含まれる殺菌成分タンパク質のことです。最初はこれをイネに作らせて、医薬品として販売しようと考えたようですが、 この米をそのまま健康食品として使おうと考え直したようです。さらに、ヒトラクトフェリンには鉄分と強い結合力があるということで、 鉄分強化として健康食品として売り込もうとしています。これは第二世代遺伝子組み換え作物の典型です。これに、消費者、 生産者が抵抗できるかというのが今後の問題です。
 さて、この作付けが農水省に認められるまでにはいくつかのステップがあります。しかし、それがいい加減なものだという一例を示します。
 電力中研が、鉄分増量イネを開発しています。大豆の遺伝子で鉄分と結合力の強いタンパク質があるのでそれを組み込んだものです。
 さきに、同じタンパク質でつくられた鉄分増量レタスの実験もしていました。 このレタスについて分析すると通常よりもマグネシウムの量が増えていました。その原因はよく分かりません。さらに、 レタスを植えた土のあとにブロッコリーを植えたら、通常よりも大きくなりました。これも原因はよく分かりません。それでも、 安全性は確認されているということで次のステップにいきました。なぜ起きたか原因を追及しないままに「誤差の範囲」として進んでしまうのです。

 このほか、イネにトウモロコシの遺伝子を入れる研究が盛んに行われています。トウモロコシは光合成の活動が活発で成長も早いため、 その遺伝子を入れると成長の早いイネができます。さらに米粒が大きくなります。そういう開発も盛んです。 遺伝子組み換え食品に対して世界的にNOという風潮が高まっているのに研究開発は盛んです。そこが解せません。

■国産自給率を高める運動が必要
 スターリンク事件は、アメリカで作付けされると日本で承認されるされないに関わらず日本に入って来るという教訓になりました。これは、 日本が食糧自給を放棄した結果です。
 遺伝子組み換えを排除するためには、輸入食料に依存しない体制が必要です。国産自給率を高める運動が大切ということです。 学校給食でみなさんが取り組んでいるように地産地消を増やすことが一番の近道でしょう。
 これが、遺伝子組み換え食物を減らしていく大きな力になります。

 ヨーロッパで遺伝子組み換え食品を拒否した背景には、疑わしきは使わないという予防原則があるからです。 安全か危険か疑わしいならば使わないという考え方がヨーロッパでは確立されています。しかし、この予防原則は、本来は日本で確立されるべきです。 4大公害裁判がありました。この判決の中で予防原則が打ち出されています。安全か危険か分からない状態で放っておくことがよくないとしています。 ところが、現実の日本では疑わしきは食べさせるとなっています。

■表示は完全ではない
 表示が4月1日からはじまりますが、表示を見ても本当には分かりません。なぜなら大半の表示が不分別となるからです。 とりわけ食用油や醤油などが対象外になります。食品のみが対象ですから、アルコール飲料、肥料、種子、飼料などは対象になりません。 遺伝子組み換え飼料を与えてつくられる卵、牛乳、畜産品には表示されることがありません。
 さらに、混入率も甘く設定されました。混入率とは、たとえば、船積みしたときに、非組み換えだけを入れたのに、 船底に組み換えが残ったりした場合の許される割合です。ヨーロッパでは1%となっていますが、日本では、大豆とトウモロコシに設定され、 それも5%と大きな格差があります。混入は避けられません。

■食べない4つの方法
・認可作物(大豆、菜種、トウモロコシ、綿)以外のものを食べる。
 食用油の選び方で、ナタネ、コーン、大豆、綿実を選ばないということですが、あまり現実的ではないかも知れません。
・国産の作物を選ぶ。
 花以外は作付けされていない。国産のものを選べば間違いありません。
・有機農業のものを選ぶ。
 外国産の場合、有機と認証されたものには遺伝子組み換えは含まれないことになっています。
・遺伝子組み換え食品を扱わないと宣言している生協、産直、小売りを選ぶ。
 これが一番現実的だと思います。

■日本で作付けされたら打つ手なし
 もし日本で遺伝子組み換えイネが作付けされたら、日本の食生活では避けようがありません。認可作物を食べないというわけにはいきません。 国産も安心でなくなります。花粉が飛んでくるので有機かどうか信頼できなくなります。こだわりの生協や産直などでも大変に困るでしょう。
 国内で遺伝子組み換えイネが作付けされるということは、遺伝子組み換え食品を避けられなくなるということと同じ意味になります。 遺伝子組み換えイネの国内作付けをなんとしてでも作付けされないように取り組むこと。もちろん、 海外で遺伝子組み換えイネを作付けして輸入されないようにもしなければいけません。
 もうひとつ、米を食べているのはアジアの国々です。アジアの稲作文化に多国籍企業が組み換え種子を販売しようとしています。 種子を支配するという動きが多国籍企業、日本企業にもあります。そして、日本企業がアジアで遺伝子組み換えイネを作付けする可能性もあります。
 すでに、日本の米の自給率も落ちつつあります。アジアでコシヒカリが作付けされたら、日本に戻ってくるのは間違いありません。 アジアの国々の人々にも売られることになるでしょう。
 遺伝子組み換えイネの問題は、日本だけでなく、稲作文化を持つアジアの大きな問題でもあるのです。

■質問
Q:作付け面積は減少に向かっているが、本当になくなるのでしょうか。やめても、 畑や回りに重大な影響があるのではないでしょうか。家庭で遺伝子組み換え大豆を買って、ちょっと庭の畑に植えたり、 豆まきで撒いたりして遺伝子組み換えのものが生えてきたりすることはないのでしょうか。

A:作付け面積は減少に向かっていますが、やめるということにはならないでしょう。日本では、ITと並んで、バイオ関係の予算が伸びています。 昨年、国家バイオテクノロジー戦略ができて、国が重点を置いています。その中で、ゲノム解析に予算がかけられています。これは、 遺伝子を特許で押さえるという考え方です。
 特許料を取得できるということです。先を見込んだ先行投資と考えられます。当然、 この特許遺伝子を組み込んだ作物の作付けが増える布石になっています。
 遺伝子組み換え作物でできた種子は次の世代どうなるでしょうか。ひとつは、遺伝子組み換え作物は、遺伝子だから遺伝し、 次の種子を蒔いたら組み換えた遺伝子も遺伝するという可能性はあります。もうひとつ、ただ、無理矢理遺伝させているので、 受精した際に組み込んだ遺伝子が脱落するという可能性もあります。そのため、遺伝子だから必ず遺伝するとは言えません。もちろん、 高い割合で遺伝すると思います。
 現実に、遺伝子組み換え作物から種子をとって次の世代を植えると、その性質が引き続くため、モンサントなどの開発企業は、厳しい管理によって、 毎年毎年種子を買わなければならないようにしています。
 ただ、大豆については、アメリカ産の大豆は、脂分が多く、豆腐や味噌、食用には向いていません。多くは油か飼料です。 食用の豆腐などは中国産の大豆が増えています。だから、遺伝子組み換え大豆を使っていないという豆腐が多いのです。

Q:飼料に遺伝子組み換えを使っているかどうか、チーズ会社などに問い合わせをしてみました。 一部に使わないとはっきりしたところもありましたが、 低温殺菌牛乳をつくっているところでも遺伝子組み換え飼料を排除できないと回答してきたところもありました。 子どもに牛乳を飲ませていってもいいのでしょうか。
Q:具体的に、反対運動を起こす、行動を起こすということで、防ぎきれない肉や牛乳ということもあります。 具体的な運動展開について聞かせてください。


A:家畜の飼料を検査すると遺伝子組み換え作物は数十パーセント含まれています。トウモロコシ、大豆、菜種、ワタが全部入ってきます。 これを使った食品が安全かどうかについては心配です。しかし、この安全性については「分かりません」。問題なのは、 安全性を確認する前に市場に流している点です。いくつかの実験を積み重ねた後で市場に出すというなら、まだ話は分かりますが、 いきなり市場に流すというのは問題です。ようやく昨年から農水省が家畜に食べさせるという実験をはじめたばかりです。 安全性確認が後から来るというのが問題です。牛乳となったとき、肉となったとき、乳製品、卵になったときどういう影響がでるのか、 まったくデータがありません。それが一番大きな問題です。
 遺伝子組み換え作物を戦略的に世界に広げたモンサントやアメリカ政府のつけが今戻ってきているといえます。
 具体的行動と言えば、今、我々は、遺伝子組み換えイネの問題に積極的に取り組んでいます。表示の問題のとき、 政府が表示をする方向に動いたのは、全国の消費者、生産者、労働組合などが動いたからです。まず、ひとつは署名運動でした。 表示を求める署名が毎回何十万と農水省、厚生省に届きました。繰り返し何十万と届くと、実に大きな影響力を持ちます。
 すでに、昨年10月に遺伝子組み換えイネに反対する十数万の署名を農水省に届けました。3月には届けようと思っています。 すでにこれも十数万の署名が届いています。
 もうひとつは、各自治体に市民派というか市民に味方する議員がたくさんいます。 全国の約半数近い自治体が表示を求める陳情や請願を採択しました。これがどんどん国会や政府に届いていきました。これが、 表示を求める原動力になりました。具体的な行動には、デモのような直接行動もあります。直接行動に参加できない方でも、署名を集めたり、 自治体に採択を求めるなど、今はなんとかして遺伝子組み換えイネを止める運動を広げていくことだと思います。

意見:3年ぐらい前から遺伝子組み換え食品を考える中部の会があり、調理員も加盟して、 署名や学校の講習会などをやってきました。名古屋市では、表示義務がされる24加工品と5つの生鮮品を学校給食に使わないと決まりました。ただ、 油はナタネです。米ぬか油に変えていきたいと思っています。名古屋の学校給食は週に2回ご飯が出ます。祭り晴れの品種が使われています。 試験場の人は受け入れがなければ申請は見合わせるという話をされていました。運動によって止めることが大切です。 一般市民の方と協力して調理員が関わっていくことが一番力強いし、手っ取り早いと思います。

 

[ 01/02/19 遺伝子組み換え ]


Copyright 学校給食ニュース desk@gakkyu-news.net (@を大文字にしています。半角英数の@に変更して送信ください)
Syndicate this site (XML) Powered by Movable Type 5.2.9

バナー バナーは自由にお使いください。