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遺伝子組み換え食品の問題点(古い)

●遺伝子組み換え食品の問題点


●安全性の確認があいまい

 遺伝子組み換え食品を流通させるときに、厚生省の安全性評価指針(ガイドライン)に適合しているかどうかを、メーカーが「確認申請」 します。この申請をもとに、食品衛生調査会で確認をするのですが、このときの「確認」とは、メーカー側が出してきた資料をチェックするだけです。
 しかも、「実質的同等性」といって、遺伝子組み換えをした作物、たとえば大豆が、大豆の形や栄養成分のままなら、「実質的に同等」だから、 チェックする必要があるのは、組み込んだ遺伝子がつくるタンパク質などについてだけでよいという方針なのです。
 虫が食べると死ぬトウモロコシと、虫が食べても死なないトウモロコシが「実質的に同等」だから、問題ないというのはとても不思議なことです。 これによって、食品添加物の承認時に必要な安全性試験さえも行なわれません。


●アレルギーの不安

 除草剤耐性や殺虫性は、その性質を持つタンパク質によって生まれます。つまり、遺伝子組み換え作物には、 これまで人間が食べたことのない新しいタンパク質が入っています。
 急性毒性の試験や、人工胃液による消化試験はされていますが、長期的な試験や人体試験はもちろん行なわれていません。 アレルギーの可能性を指摘する声があります。また、長期的に食べ続けた結果、人体にどのような影響があるのかは分かっていません。

●未知の有害物質の可能性も

 遺伝子組み換え技術は、とても歴史が浅く、まだよく分かっていない部分もたくさんあります。まったく種が違う生物の遺伝子が、 遺伝子上のどこに組み換えられたのかすら分かりません。だから、その作物に予測のつかない物質ができる可能性もあります。

 1988年から89年にかけて主にアメリカで起こった大規模な食品公害事件は、 昭和電工が遺伝子組み換え技術で改造したバクテリアに作らせたトリプトファン(アミノ酸)製品を食べたことで、 死者38人を含む推定6000人が健康被害を受けました。これは、 遺伝子組み換えによって発生した未知の不純物によるものではないかという指摘があります。
 また、同じ理由から、作物に含まれる栄養成分が変化される恐れも指摘されています。

●抗生物質耐性遺伝子

 遺伝子組み換えでは、組み換えが成功したものを選び出すための目印として抗生物質耐性遺伝子など (最近は除草剤耐性遺伝子も使われることもあります)が一緒に組み込まれています。抗生物質の液にさらすと、 遺伝子組み換えがうまくいかなかった細胞は死んでしまいますが、組み換えがうまくいっている細胞は、抗生物質耐性遺伝子も入っているので、 抗生物質が効かずに生き残るから、選び出せるのです。
 遺伝子組み換え作物に組み込まれた抗生物質耐性遺伝子が、腸内の細菌に取り込まれて、抗生物質が効かなくなるという可能性もあります。 この点の安全性は、確かめられていません。

●環境や生態系にあたえる影響

 殺虫性の作物を食べた昆虫が死ぬことは、その昆虫を含めた生態系に影響が起きます。昆虫をエサとする他の昆虫や、 鳥はエサがなくなります。また、昆虫以外にも影響が出るという研究報告もあり、遺伝子組み換えによる環境への影響が心配されています。
 除草剤耐性大豆の隣に植えたふつうの大豆が花粉を通じて交配し、ふつうの大豆も遺伝子組み換えになってしまうことや、 近縁の草などに除草剤耐性が生まれてしまうことも考えられます。
 遺伝子組み換えが、他の化学物質などと違うのは、遺伝子組み換えされた作物が一度自然環境中に出てしまうと自己増殖するため、 もし何か問題があっても完全に回収することは不可能ということです。組み換え植物は、他の植物と同様に野生化しますし、 花粉は近縁種と交配することがあります。さらに、組み換え遺伝子が、ウイルスなどによって取り込まれることなど、 長期的に自然界に与える影響ははかり知れません。

●家畜に与える影響

 トウモロコシや大豆(カス)などは、家畜のエサとして利用されます。家畜は、 人間と違ってトウモロコシを多量に食べさせられたりしますので、遺伝子組み換えの影響は人間よりも大きいと考えられます。また、肉や牛乳、 卵に影響がでるのかどうかも分かっていません。

●分別されていません

 遺伝子組み換え作物と、ふつうの作物は見た目では区別がつきません。タンパク質や遺伝子を分析してはじめて分かります。ただ、 種子メーカーが、生産者にきちんと種子使用料を徴収するために栽培される畑ははっきりと区別されています。ところが、 いざ収穫して流通される段階になると、ほとんどの組み換え作物とふつうの作物は混ぜられ、分別されません。
※その後、分別して流通、販売する大豆、トウモロコシなどが出回りました。

●表示がされません
 日本では、現在、遺伝子組み換え作物はふつうの作物と 「実質的同等性」があるとして表示されていません。どんなに不安があっても、表示されないために、遺伝子組み換え食品は、 知らず知らずのうちに食卓や学校給食に使われています。
※その後、表示制度がはじまりました。


(学校給食ニュース7号 1998年11月)

 

[ 98/12/31 遺伝子組み換え ]


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