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牛乳について考える2

2000年の6月末~7月に起きた戦後最大の食中毒事件である雪印乳業乳製品食中毒の経緯と学校給食にもたらした影響について特集します。 この事件は、雪印乳業大阪工場の低脂肪乳など乳飲料、乳製品が黄色ブドウ球菌の毒素エンテロトキシンに汚染されていて、 それ飲んだ15000人近い人が食中毒症状になったというものです。幸い、学校給食で使われているのは低脂肪乳などの乳飲料ではなく牛乳であり、 これによる食中毒はありませんでした。しかし、その後の雪印に対する不信や工場操業停止などで学校給食現場にも混乱が生じ、影響を受けました。 また、牛乳、乳製品に対しての不安感がうまれました。そこで、牛乳、乳製品についての基本的なまとめを行い、その上で、 事件についてまとめることとしました。

●雪印乳業食中毒事件事件の経緯

 2000年6月27日午前、大阪市の保健所に雪印の低脂肪乳を飲んだ5歳の男児が食中毒症状を起こしたと連絡が入りました。同じ頃に、 雪印にも和歌山市で子ども3人が食中毒症状を起こしたとの連絡が入りました。その後、大阪市、兵庫県西宮市などで同様の報告が相次ぎます。
 6月28日午後、大阪市が雪印大阪工場に立ち入り検査し、原因不明のまま低脂肪乳の製造販売自粛と原因の追及、 品質保持期限が7月2日までの製品の回収を指示します。
 6月29日朝、雪印は、7月5日付までの製品の回収を決定します。
 6月29日午前に、大阪市は自主回収だけでなく社告、店頭表示を求めます。これに対する雪印の回答が遅れた上、 雪印が午後2時に公表したいと大阪市の保健所に伝えたところ、今度は保健所側が発表のタイミングを揃えて欲しいと要請。結局午後4時頃に大阪市、 雪印から食中毒の発生が公表されました。
 その後、食中毒の被害報告が相次ぎ、最終的に厚生省と大阪市の原因究明合同専門家会議の最終報告書では、13420人 (厚生省9月21日発表時14894名)の被害者が食中毒症状に苦しみました。
 雪印大阪工場は7月2日に営業禁止処分を受けます。その後、4日に、同工場の他製品にも食中毒の可能性があるとして自主回収を指導し、 5日より同工場の全製品が回収対象になります。
 7月5日、金沢市で学校給食用の雪印製生クリームで雪印大阪工場の包装に雪印多摩工場のシールが貼られていたことが分かり、 多摩工場の製品で中身に問題はありませんでしたが、対応の遅れが指摘されました。また、 雪印日野工場では貯乳タンク設置の届け出が東京都に出されておらず、洗浄記録が残っていないことを都が指摘、同タンクの使用を禁じます。
 事件後近畿圏のスーパーなどではじまっていた雪印製乳製品の店頭撤去が、この出来事をきっかけに全国に波及します。
 7月10日、大阪工場で返品された乳製品の再利用を行っていたり、 乳製品の成分調整を屋外で行っていたことが大阪市の調査として発表されました。
 7月11日夜、雪印は全国で乳飲料などを製造する工場を一時停止し、全工場で点検作業を行った上、再開すると発表し、 12日より順次工場は操業を停止しました。
 7月25日に厚生省が10工場の安全宣言を出し、その後、他工場も安全宣言が出され、操業再開、スーパーなどでの販売再開となりました。

●事件の原因

 ところが、 8月18日になって北海道の雪印乳製品製造工場である大樹工場の脱脂粉乳から黄色ブドウ球菌によるとみられる毒素エンテロトキシンが見つかり、 これが大阪工場で使用されて食中毒事件につながった可能性が大阪府警より出されます。
 その後の調査で、大樹工場では、2000年3月31日に停電事故があり、 その際に脱脂粉乳の製造ラインで黄色ブドウ球菌が繁殖していたことが判明しました。一般生菌数が基準を超えていたにもかかわらず、 一部は脱脂粉乳として製品化されます。また、残りは再溶解されて再使用、再生品にされます。 菌は殺菌されていたものの毒素は脱脂粉乳に残っていました。そのことを工場では認識せずに、脱脂粉乳は出荷されていました。さらに、 その脱脂粉乳の一部は製造日が改ざんされ、品質保持期限が先延ばしになっていました。また、大樹工場、大阪工場ともに脱脂粉乳の入荷、 出荷の記録があいまいだったり、記入されていない、間違ってつけられているなどずさんなものになっていました。 担当者の証言もあいまいなものだったと報じられています。
 その結果、大阪工場を捜査した大阪府警も当初、低脂肪乳の原料がどこから来たのか、いつのものなのかなどが分からず、 配送業者の伝票などを頼りに大樹工場に行き着き、毒素を検出するまでに約1カ月が過ぎていました。また、雪印、北海道の調査でも、 3月31日の停電による製品の調査は行われておらず、大樹工場は問題ないとして操業を続けていました。
 これにより大阪府警は、業務上過失傷害容疑で雪印本社などの強制捜査に乗り出します。そして、前社長を含め関係者を、 対応の遅れによる被害の拡大と、毒素生成原因となった大樹工場の責任により業務上過失致傷容疑で書類送検する方針です。
 12月20日、厚生省と大阪市の原因究明合同専門家会議は最終報告を発表、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌の発生・ 増殖は北海道の大樹工場で起こり、毒素エンテロトキシンが脱脂粉乳に残っていたことが大阪工場製乳製品での食中毒につながったとしました。また、 大阪工場については、衛生管理、運営の問題を指摘しつつも、食中毒原因からははずしました。
 12月22日、厚生省・大阪市の最終報告を受けて雪印は社内調査報告を発表します。ここでは、 7月3日までには大樹工場製脱脂粉乳の入荷を確認していたこと、 社内の分析センターでエンテロトキシンの調査をしたが4月10日付大樹工場製脱脂粉乳からの検出ができなかったこと、 この時点で停電事故と再溶解により製品使用を分析センターが把握していなかったために詳細な調査を行わなかったことが、 原因判明を遅らせる結果につながったとしました。また、「事故直後の対応において、社内の情報伝達・確認に手間取ったこと、 原因が不明であることにとらわれ、既に販売されお客様の手元にある製品にまで考えが至らなかったこと、保健所の要請の履行のみを考え、 社告掲載以外の告知手段に思い至らなかったことなどにより、結果として、製品の回収とお客様への告知の間にずれが生じてしまい、 多くのお客様に非常な苦痛を生じさせてしまった」として社内体制の不備を指摘しました。

●食品事故には情報公開を

 今回の食中毒事件でもっとも問題とされたのは事故発生後の責任者らの対応のまずさでした。初期にもっとも必要な告知・ 回収の遅れが食中毒の規模拡大につながりました。さらに、原因究明への熱意が見られませんでした。 経営などへの影響を最小限におさえようとする意識が先に働き、さらに、 HACCPなど衛生管理には自信があるという過信が正しい原因究明までに無用な混乱をまねきました。
 学校給食関係でいえば、1998年3月に学校給食で出された冷凍ケーキによるサルモネラ菌の食中毒がありました。このときは、 1159人が被害にあっています。3月12日、13日に東京都昭島市で発生、その後、16日、17日に神奈川県秦野市、相模原市、岩手県宮守村、 さらには、18日に福井県武生市で発生するという事故がありました。これはいずれも1社が3月頭に製造したもので、 情報の伝達が早ければ食べさせないなどの対応ができ、後半の事故は防げたはずです。
 食中毒などの食品事故は、決して起こしてはならないものですが、絶対起こらないものではありません。 起こさないための万全の対策は常に必要ですが、合わせて、万が一起こったときにどのような対応をとるべきか、事前に準備しておくことも必要です。 事故が起こってから対応方法を検討していては被害は拡大します。食品事故が起こったときの対応を話し合ったからといって、 衛生管理がきちんとしていないことにはなりません。むしろ、衛生管理をきちんとすればするほど、万が一の対応についてもきちんとすべきです。
 もし、食品事故への対応方法を定期的に確認していない調理場、学校、教育委員会がありましたら、 定期的な確認に取り組んでいただきたいものです。

●学校給食への影響

 2000年夏、雪印食中毒事件は学校給食にも大きな影響を与えました。1学期の終わり、雪印大阪工場製牛乳からの変更、 雪印製牛乳からの変更を余儀なくされたり、また、雪印製乳製品を使わないために献立の変更を行ったりしました。他社の牛乳に変えたところ、 異臭さわぎが起きたというところもありました。
 特に、大阪市都島区内9小学校、1定時制高校では次々に牛乳メーカーが変わる事態になりました。6月までは雪印乳業大阪工場の牛乳を使用し、 雪印大阪工場の食中毒事件を受けて、7月1日より、森永乳業近畿工場(兵庫県西宮市)の牛乳に切りかえました。7月12日、 その牛乳で異味異臭が発生します。洗浄時の次亜塩素ナトリウムが残っていた可能性がありました。13日は、急きょミカンジュースで対応します。 13日午後1時頃、大阪市教委は京阪牛乳(大阪府寝屋川市)への変更を決定しますが、 京阪牛乳で製造された1リットル入りパック牛乳から酸味などの異味苦情が発生し、13日に自主回収をはじめました。その結果、午後3時頃、 大阪府から大阪市教委に京阪牛乳の配送ができなくなったと連絡が入ります。同日中に、大阪市のいかるが牛乳への切り替えが決まり、 14日よりいかるが牛乳になりましたが、3日目の配送となる18日、いかるが牛乳製造の乳酸菌飲料について異味異臭がするとの苦情があり、 大阪市教委は学校給食への牛乳納入自粛を要請。その結果、18日は市販のお茶などが出され、1学期の給食を終えました。
 このケースをはじめ、様々な対応が全国で行われ、雪印以外の食品事故などもあって、総じて牛乳への不信が広がりました。 学校給食と牛乳に関わる事例を新聞等から拾い出しました。


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6月
6月30日、大阪府、奈良県は、3日より雪印乳業大阪工場製学校給食用牛乳を森永乳業近畿工場に変更した。合計で1日約39000本。なお、 30日の給食は、雪印側の申し入れで雪印乳業神戸工場分が納入されていた。兵庫県は、3日より雪印乳業神戸工場の供給分を共新乳業、 森永乳業近畿工場に変更する。1日約66000本。(日本食糧新聞)

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7月
7月1日、大阪府は、雪印乳業大阪工場の牛乳を使用していた大阪市、吹田市など58校で他社製に変更した。(毎日新聞)

7月4日、愛媛県松山市、雪印製乳製品の使用を見合わせ。(愛媛新聞)

7月5日、京都市は給食用牛乳を雪印製から他社製に切りかえた。(京都新聞)

7月5日、石川県金沢市で雪印乳業製生クリームのパックに、製造工場多摩工場のシールが貼られ、下から大阪工場の文字が出てきた。 小学校の栄養士から報告を受けた市教委は、中央給食センターと6小学校で生クリームを使ったカレースパゲッティを中止、急きょ献立を変更。 調理が終わっていたところでは、献立が減った。中身は多摩工場製で、発注が増えたためパッケージが間に合わずシール対応した。 金沢市教委は不信を示し、雪印製品の使用を見合わせるという。(朝日新聞)

7月5日、石川県学校給食会は、雪印乳業北陸工場の牛乳を使用している県内30校について、使用継続する。各校には、 大阪工場製の乳製品が使用されていないか注意を呼びかけた。(北國新聞)

7月5日、神戸市教委は6日より市内177校の給食で雪印の乳製品使用を取りやめることを決定。牛乳は他社製品を使用していた。 (産経新聞)

7月5日、大阪府は、雪印乳業の全製品を対象に、大阪市が雪印乳業大阪工場に対する営業禁止処分を解除するまで使用中止を決定した。 学校給食や売店などでの納入をしないよう各業者に指示。(朝日新聞)

7月5日、大阪府池田市は3日にさかのぼり1年間、豊中市は3カ月、雪印乳業を指名停止にした。(日経新聞)

7月5日、京都府教委は、府立学校の給食、売店などで雪印乳業製品の販売中止を決めた。奈良県は、 雪印乳業大阪工場に出していた学校給食用牛乳の供給事業者資格を取り消した。(朝日新聞)

7月5日、京都市教委は、新たにチーズ、ヨーグルトなど8品目について雪印製品の使用中止を決めた。(産経新聞)

7月6日、東京都教委は、日野工場製の牛乳を使用していた調布市、町田市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市、 国立市と都立学校の6校の合計175校に当日より牛乳を使用しないよう通知。対象は約68000人分。(日経新聞)
町田市第一小学校では、当日牛乳抜きとなり、週内は水筒持参させることを決めた。多摩市では、 7日から紙パック入りウーロン茶を出すことを決めた。(朝日新聞)
多摩市では、13日、リンゴジュースが配られた。(日本農業新聞)
補助金の関係で対応が難しいとの声があり、後日、他社製牛乳でも補助金がつけられることとなった。

7月6日、千葉県学校給食会は同日夜、1200の公立校、80の給食センターに当面雪印製品を使わないよう連絡した。(読売新聞)

7月6日、宮城県教委は県立の25校に対して、雪印乳業大阪工場の製品混入可能性があるチーズ、ヨーグルトを使用しないよう通達。 宮城県石巻市は30校での雪印製乳製品の使用中止を決めた。(河北新報)

7月6日、愛知県教委、名古屋市教委は、雪印乳業名古屋工場の牛乳をこれまで通り使用することを決定した。 名古屋市の立ち入り調査結果を受けて。(中日新聞)

7月7日、大阪府は、府と関連施設すべてで雪印製品を使わないことを決めた。京都市は、市の競争入札から3カ月排除。(読売新聞)

7月7日、宮城県仙台市、学校給食で雪印の乳製品使用を中止するよう指示。神奈川県では川崎市など17市町村が使用を中止した。 (産経新聞)

7月7日、秋田市は週明けの10日から雪印の乳製品使用を中止する。チーズ、バター、マーガリン。(日本農業新聞)

7月7日、千葉県野田市、松戸市は雪印乳業野田工場の牛乳を当面学校給食で使用しないことを決めた。 千葉県の立ち入り調査で安全性が確認されたが、不安感を重視。(東京新聞)

7月7日、神奈川県教委は、雪印乳業大阪工場、日野工場製の乳製品を給食に使用しないよう市町村教委に通知。(東京新聞)
県学校給食会によると、横浜市、川崎市に150校で雪印乳業厚木工場の牛乳を使用。県の立ち入り検査を待って対応を決めるとしている。 相模原市教委は、雪印製マーガリン、粉チーズを使用しないよう通知。逗子市は、多摩工場のバター、チーズを6日から他社製に切りかえ。 津久井町教委は4日から製品使用を中止している。(神奈川新聞)

7月7日、富山県では、富山市、高岡市、黒部市をはじめ17市町村で雪印乳業の乳製品使用を中止した。なお、 同県の学校給食用牛乳は県内業者が製造している。

7月7日、同日現在、北海道では、北海道内の2400校中、900校が雪印乳業製牛乳を使用しているが、 札幌市が4日に行った札幌工場の検査で異常がないことなどから、他業者への変更をしない方針。(北海道新聞)

7月7日、北九州市教委は、145の学校に雪印乳業の全製品を使用しないよう通知した。牛乳は別の業者のもの。

7月8日、雪印乳業大阪工場の乳製品による集団食中毒などを受け、学校給食の雪印離れが進んでいる。毎日新聞の調査で、 47都道府県中24都府県は学校給食などから雪印製品を排除する方向にある。(毎日新聞)

7月10日、山梨県甲府市では、同日より雪印乳業製学校給食牛乳を他社に切りかえた。12校が対象。(山梨日日新聞)

7月10日、東京都教育庁は、雪印乳業日野工場の製品を工場が供給体制を整え次第、学校給食に使用再開することを決定。 実質的には2学期からとなる。都衛生局の衛生確認を受けて。(毎日新聞)

7月11日、協同乳業あづみ野工場は長野県内の9小中学校から風味が違うとの苦情を受け、製造ラインを止めた。12日から自主回収も行う。 同社では、殺菌時のこげ臭が原因ではとしている。食中毒菌の検出はなく、体調の異常の訴えはなかった。(日本農業新聞)
長野県上田市、佐久市など2市3町の10校で協同乳業あづみ野工場の牛乳に紙パック製牛乳に異味異臭を訴える騒ぎがあった。 各学校では他社の牛乳に変更するなど対処。(読売新聞)

7月12日、愛媛県下で雪印乳業製乳製品を使用していた17市町村は同日までに使用の見合わせを決めた。(愛媛新聞)

7月12日、雪印乳業札幌工場の操業停止を受けて、北海道教委は、12日から1学期終了まで雪印製牛乳を使用しないと決定。 12日は牛乳抜きとなる。道内の学校給食用牛乳のうち雪印乳業のシェアは約35%、2376校中905校にのぼる。(北海道新聞)

7月12日、雪印乳業札幌工場の操業停止を受けて、札幌市内の小中学校中3分の1を超える119校で牛乳が出されなかった。 学校などでは冷やしうどんの汁を増やすなどの対応をした。のどに食事がつまる、物足りないなどの児童の声。 13日の代替もできないことを札幌市教委が各校に通知したのは午後5時過ぎのため、水筒での飲み物持参などの対応は遅れがちとなった。 (北海道新聞)

7月12日、香川県高松市教委は、雪印乳業高松工場の操業停止を受けて、市内17校に配送された牛乳約9000本を返品し、 お茶を出すことにした。13日から他社製(読売新聞)。

7月12日、山梨県畜産課は、学校給食に雪印製牛乳を使用していた県内28市町村111校中、 22市町村97校が12日までに他社製品に切りかえたことを確認。残りの6市町村14校も数日中に切りかえる計画。(山梨日日新聞)

7月12日、雪印乳業仙台工場操業停止について仙台市教委に代替品の仲介とそれまでの生産継続を申し出。(河北新報)

7月12日、名古屋市教委、雪印乳業名古屋工場操業停止を受けて12日用に納入された牛乳を約4万本を返品。小学校55校、中学校20校、 養護学校1校で、当日牛乳は出なかった。13日以降、他社製品を代替する予定。同日、雪印製アイスクリーム、 チーズ等が出る予定だった献立の学校は中止。雪印製バター、生クリームを使用したコーンクリームスープの献立は、非常用レトルト食品に。日進市、 豊川市、新城市、鳳来町、一宮町の計136校も12日より牛乳を中止。返品した。県教委の指示。新城市では、缶のお茶を出した。(中日新聞)

7月12日、岐阜県教委では、牛乳は県内に工場を持つ牛乳を使用しているが、乳製品については、食中毒発生以来、 雪印からの購入を控えている。三重県教委では、県内の業者の牛乳を使用。乳製品は、 使用していた3校に安全性が確認されるまで使用中止を指示した。(中日新聞)

7月12日、石川県教委は、雪印乳業北陸工場の操業停止を受けて、12日から牛乳使用を見合わせ、ジュースや他社製品の手配をした。 同工場は、小松市、加賀市、松任市など県内30校に納入していた。(北國新聞)

7月12日、広島県教委は、雪印乳業広島工場の操業停止を受けて、広島市、尾道市、 廿日市市および7町65校の給食で13日分から他社の牛乳とすることを決めた。12日分はそのまま使用。廿日市市のみ12日分を返品し、 各校でお茶を購入するなどの対応をした。(中国新聞)

7月12日、鹿児島県教委は、雪印乳業都城工場の操業停止を受けて、末吉町、大隅町の11校の牛乳について、13日分まで使用し、 14日より他社に切りかえることを検討している。(南日本新聞)

7月12日、福岡県教委は、雪印乳業福岡工場の操業停止を受けて、福岡市、前原市、二丈町、 志摩町など県内113校で同工場の牛乳を使用しているため、12日からの対応に追われた。(西日本新聞)
前原市前原小学校では、地元産オレンジジュースを給食にだし、13日は水筒持参、14日から代替牛乳となる。(西日本新聞)

7月12日、熊本県学校給食納入協同組合によると、県内の学校給食では、雪印製品の扱いはないとしている(熊本日日新聞)

7月12日、神奈川県教委は、雪印乳業厚木工場の操業停止を受けて、横浜市、川崎市など県内157校での同工場製牛乳使用中止を決めた。 約8万本分を代替する。(神奈川新聞)

7月12日、東京都教育庁は、雪印乳業東京工場の操業停止を受けて、文京区、足立区、中央区、 北区および都立学校の251校での同工場製牛乳使用中止を決めた。対象は82000人。(読売新聞)

7月12日、森永乳業近畿工場が学校給食用に製造したビン牛乳について、兵庫県川西市、大阪府吹田市、 奈良県内小中学校5校から味がおかしいなどの苦情があった。(日本食糧新聞)

7月13日、森永乳業近畿工場製学校給食用牛乳の異味異臭で午前中までに大阪府吹田市の2小学校で計35人が下痢や腹痛を訴え、 2人が欠席した。(日本経済新聞)
腹痛などを訴えた児童生徒は134人にのぼった。川西市教委が緑台中学校の被害を調べたところ、異常を感じたのは94人、 うち64人が腹痛や吐き気を訴え、5人が13日に欠席した。吹田市吹田東小学校では、51人が腹痛や下痢などを訴え、2人が欠席。 吹田第六小学校では19人が腹痛などを訴えた。(朝日新聞)
川西市の緑台中学校は家庭から弁当などを持参し、牛乳だけを給食に出すミルク給食。(読売新聞)
この他、高槻市清水小学校、奈良県黒滝村黒滝中学校で薬のような臭いがするとの訴えがあった(読売新聞)
奈良県山添村西豊小では、教員10人、児童35人のうち教員ひとりが異臭に気づき、牛乳を飲ませずに回収した。(朝日新聞)

7月13日、森永乳業近畿工場は、12日製造の一般家庭用ビン牛乳も13日朝から自主回収をはじめた。 13日の出荷見送りと製造休止を行った。前日の学校給食用ビン牛乳異味苦情について、西宮保健所と原因調査をしている。 今のところ異常は見つかっていない。(日本食糧新聞)
学校給食用、宅配用を合わせビン牛乳計約20万本が出荷中止、ライン停止となる。(日本経済新聞)
西宮市保健所は、原因物質は殺菌用の次亜塩素酸ナトリウムの可能性が高いと発表。(日本農業新聞)
同社は、ビンの殺菌工程で次亜塩素酸ナトリウムが内部に残った、殺菌済みのビンを入れるプラスチックケースの表面に次亜塩素酸ナトリウムが残り、 ビンやフタに付着したなどの可能性を示唆した。(朝日新聞)
同社は、学校給食用として兵庫県、奈良県、大阪府の約148000本を供給している。 雪印乳業の食中毒事件以降は1日約40000本近く増えていた。(読売新聞)
対象となる学校は465校、そのうち81校が雪印乳業からの振替分。(朝日新聞)

7月13日、兵庫県芦屋市では、森永乳業近畿工場製牛乳の異臭事故を受け、13日より、1学期中の牛乳を取りやめ、 13日からお茶を湧かして配った。(読売新聞)

7月13日、大阪府は森永乳業近畿工場に、1学期中の学校給食への牛乳供給を自粛するよう指示した。 府教委は市町村教委に同様の指示を出した。(朝日新聞)

7月13日、兵庫県川西市では、森永乳業近畿工場製牛乳の異臭事故を受け、13日より市内24校の給食で1学期中の牛乳使用を取りやめた。 小学校ではお茶を水筒で持たせるなどの対応をした。(朝日新聞)

7月13日、森永乳業近畿工場の牛乳を学校給食に使用していた大阪府東大阪市は、他社製の乳酸菌飲料に急きょ切りかえ、 5校分4400本を用意した。児童からは牛乳の方が甘くなくてのどが乾かないなどの声が聞かれた。(朝日新聞)

7月13日、森永乳業近畿工場の牛乳を学校給食に使用していた大阪府高槻市では、市教委が愛媛県のメーカーと交渉し、14日以降、 オレンジジュースの供給を決めた。(読売新聞)

7月13日、大阪府寝屋川市の京阪牛乳製造の牛乳(6日製造、13日本質保持期限)を飲んだ消費者から酸味などの異味苦情を受けた同社は、 学校給食用牛乳約20000本の出荷を14日から自粛する。また、自主回収も行った。なお、食中毒症状などはなかった(毎日新聞)

7月13日、雪印乳業東京工場から牛乳の供給を受けていた文京区、足立区、中央区、北区はそれぞれ他社製品に切りかえて給食を実施した。 文京区は独自に11日に中止を決め、13日は、31校中13校へ他社製牛乳が供給された。学校によっては、 麦茶などを入れた水筒持参を決めたところもある。足立区は、12日から牛乳供給を中止。14日に全校が他社製となった。中央区は、 森永牛乳に切りかえたが近畿工場の異臭さわぎもあり、水筒でのお茶などの持参をさせた上で牛乳給食を実施した。(東京新聞)

7月13日、名古屋市内の給食では、76校が12日に続き13日も牛乳なしの給食となった。14日から他社製となる。(中日新聞)

7月14日、宮城県は名取市の宮酪乳業の立ち入り調査で、一部の出荷前加工乳を再利用して製品化していたことが分かり、 再利用しないよう厳重注意した。宮酪乳業は、14日より雪印乳業仙台工場の代替メーカーとして、 宮城県内2市5町108校に牛乳を供給しはじめたばかり。県教委は、牛乳のラインとは異なるとして使用継続を決めた。 学校現場では不安と不信の声がある。(河北新報)

7月14日、森永乳業近畿工場の学校給食用牛乳異臭問題で、西宮保健所は大腸菌、一般細菌の検査の結果、いずれも問題なしと発表した。 (産経新聞)

7月18日、兵庫県神戸工場の辞退を受け、兵庫県では、 県内で使用していた学校給食用牛乳を2学期も引き続き他社製で代替していくことを確認した。(神戸新聞)

7月18日、大阪市のいかるが牛乳の乳酸菌飲料について異味異臭がすると苦情があったことに関連し、 大阪市教委などの要請を受け入れて同社は学校給食への牛乳納入を自粛した。大阪市83校、 堺市のほぼ半数が1学期最後の給食で別業者の牛乳などに切りかえられた。約61000本。市教委などは「自粛要請は保護者らの感情に配慮」 したとしている。(朝日新聞)
大阪市都島区内9小学校などでは、7月に入り雪印乳業→森永乳業近畿工場→京阪牛乳(配送は結局なし) →いかるが牛乳と異味異臭さわぎなどで3度も納入先が変わり、いかるが牛乳は2日間でストップ。最終日は市販のお茶などとなった。(読売新聞)

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8月
8月7日、宮城県は、2、3学期の牛乳供給業者に雪印乳業仙台工場も選定した。雪印は、仙台市の一部、多賀城市、柴田郡4町、利府町、 松島町の113校に牛乳を供給することになる。仙台市教委は、学校給食のチーズやバターなど乳製品について、雪印製品の使用中止を解除した。 (河北新報)

8月25日、神奈川県は横浜市、川崎市の157校で使用していた雪印乳業の牛乳を学校給食に使用しないことを決めた。 雪印側から供給辞退の申し入れがあったため。なお、夏休み前も操業停止を受けて他社製品を使用した。(産経新聞)

8月25日、山梨県では28市町村111校が雪印乳業茅野工場製牛乳を使用していた。2学期より雪印乳業に戻すことを申し合わせていたが、 甲府市教委、勝沼町教委などは使用中止の継続を検討している。(山梨日日新聞)

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9月
9月4日、東京都は、雪印製牛乳を使用していた都内174校について、2学期も他社製を使用する。大阪市でも他社製品を継続。 乳製品についても排除の動き。北海道では、雪印製牛乳を学校給食に使用。地元の要望などを受け。(日本農業新聞)

9月4日、雪印乳業静岡工場は学校給食用に県内124校分1日5万本の牛乳生産が再開した。再開の前に工場幹部が全校をまわった。 (静岡新聞)

9月4日、岡山県は、県下147校の学校給食で雪印乳業岡山工場製の牛乳使用を再開した。 香川県は県下22校の学校給食で雪印乳業高松工場製の牛乳使用を再開した。広島県は3市7町で雪印乳業の牛乳を使用していたが、 そのうち2町13校のみが、雪印製牛乳を再開した。大阪府、奈良県、京都府、兵庫県、滋賀県、徳島県は雪印製から他社製に切りかえたまま。 (中国新聞)

9月28日、雪印乳業高松工場製造の学校給食用ビン入り牛乳を飲んだ児童生徒らかがいつもより味が濃いなどの風味の異常を訴えた。 中学生数人が胃腸の異常を訴えたが、因果関係は不明。同工場の牛乳は、高松市15校のほか、香川県三木町の学校給食、 四国内の宅配牛乳として使われている。同工場では自主回収し、28日分の出荷を見合わせ、29日は製造を中止した。 高松市保健所の同日の検査では問題がなかった。香川県衛生研究所に食中毒菌、乳酸菌の検査を依頼した。(毎日新聞)
高松市教委調べで、小学校4校、中学校2校の計22人が腹痛や吐き気を訴えた。因果関係は不明としている。高松市保健所は、 農薬などの毒物が検出されなかったと発表。(山陽新聞)

9月29日、雪印乳業高松工場は、学校給食用ビン入り牛乳の異常風味について、原料乳の循環冷却過程が通常より長く、 また泡が発生したために脂肪の酸化がすすんだためと発表した。(産経新聞)

9月29日、高松市と香川県三木町の小中学校22校は、牛乳の代替として紙パック入りのお茶などを使用した。(山陽新聞)

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12月
12月12日、大阪府吹田市、富田林市、太子町の12校で協同乳業大阪工場(吹田市) の学校給食用ビン入り牛乳を飲んだ児童らから塩素臭などの異臭の訴えがあった。 吹田保健所は次亜塩素酸ナトリウムがビンに残っていた可能性があるとみている。同工場は、大阪府内2市2町1村、 京都市内の学校に約37000本を納入しているが原因判明まで出荷を停止する。工場では、 運搬用木製荷台の一部が新品でこの臭いかもしれないと話している。(毎日新聞)
腹痛などの症状はなかった。吹田市教委では、19学級597人が牛乳を飲む、または口をつけた。180人は教員の指示で残した。 富田林市学校給食センターによると、ふたの上のプラスチック周辺からかすかな消毒臭がしたという。茨城保健所が立ち入り調査している。 (読売新聞)

●牛乳と学校での飲みもの

 学校給食の牛乳は、ごはん給食、パン給食を問わず、学校給食献立の中心をなしています。 牛乳の栄養バランスから学校給食では必ずと言っていいほど牛乳が出されています。献立によって牛乳を出したり出さなかったりするという学校、 地域はほとんどありません。
 栄養バランスの良さ、カルシウムの豊富さとして牛乳は高い評価を受けています。
 その一方で、ごはん給食が増える中、牛乳が合わないのではという声もあります。また、アレルギー・ アトピーなどで牛乳が飲めない子どももいます。
 牛乳については、もうひとつ、学校生活の中で水道水以外の飲みものという特徴もあります。給食の味噌汁やスープのような汁物を除けば、 学校生活で子どもが飲める水分は牛乳、水道水しかありません。水道水の水質や安全性の問題を指摘する市民団体もあります。
 朝日新聞2000年3月29日付の連載記事「モノわかりのいい話」では、「米飯給食に牛乳どうして?」と題し、 米飯給食と牛乳の組み合わせについて問題提起しています。記事の中で、米飯給食の和食献立を紹介した上で、 そこに牛乳が組み合わせる不自然さを指摘しながら、文部省学校健康教育課の金田調査官は「カルシウムの必要から牛乳ははずせない」 「日本には古来、飛鳥なべなど牛乳の乳を利用した献立もあり、米と牛乳の取り合わせがそんなにおかしいとも思えない」との見解を紹介しています。 そして、牛乳以外の飲みものの事例としてお茶どころ静岡市で学校給食に温かいお茶を出しているところがあり、子ども達に喜ばれている反面、 牛乳が大量に残るなどの問題があること、 学校給食実施基準で牛乳を他の時間に配るなどの対処ができないため対応に苦慮していることを紹介しています。
 今回の雪印食中毒事件に関わる学校給食現場の中には、念のためお茶を入れた水筒を持参させたり、 お茶を出すなどの緊急的な対応をとったところもあります。
 牛乳には牛乳のすばらしさがあり、学校給食での牛乳の価値は大切にしながらも、学校給食と牛乳、あるいは、学校の中での飲みもの、 水分摂取についても考えていくことが大切ではないかと思います。
 皆様のご意見や学校、調理場での対応についてのご報告をお待ちしております。

 

[ 00/12/31 牛乳 ]


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