輸入食品と食品添加物 新しい食品添加物が次々に認められることに
輸入食品と食品添加物
新しい食品添加物が次々に認められることに
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新しい食品添加物が認可されています。これまで日本では使われることがなく、諸外国で使われている食品添加物が、輸入食品の増加につれ、
問題になっていました。
認められていない食品添加物が含まれた輸入食品は、輸入することができません。国内で流通していた食品に、
このような食品添加物が入っていたため、回収するということがたびたび起きています。
そのためなのか、これまでより簡単に食品添加物を認める動きが起きています。
2002年8月1日に認可された食塩添加物のフェロシアン塩を例に、最近の食品添加物のあり方について考えてみましょう。
●フェロシアン塩が食品添加物になるまで
フェロシアン塩は、
食塩を固まりにくくする添加物です。
日本ではこれまで食品添加物として認められておらず、使われることもありませんでした。
輸入食品の急増につれ、フェロシアン塩の問題が1999年頃から取り上げられるようになっていました。
2002年6月14日に、輸入販売した中国青島産食塩にフェロシアン塩が含まれていたと、埼玉県のスーパー「マルヤ」が保健所に届け出し、
回収しました。
6月22日に、イオン株式会社は、ジャスコ等で販売したノルウェー産スモークサーモンにフェロシアン塩が含まれていたとして自主回収を発表。
2002年に入り、食肉偽装事件や違法添加物などの事件が起こり、食品の回収騒ぎが次々に起こっている中で、
大きな問題に発展するかと思われました。
7月11日、厚生労働省は、厚生労働省薬事・食品衛生審議会にフェロシアン塩を食品添加物とするための諮問をします。
さらに、翌12日、厚生労働省は、「指定外添加物(フェロシアン化物)を使用する食塩及びその食塩を使用し製造した食品への対応」
という文書を発表します。
そこには、
・フェロシアン塩は、コーディックス委員会で安全性が確認されており、アメリカやEUで古くから使われていて安全である。
・食品添加物として指定していないので、法律上形式的には違法になるため、製品回収等で市場が混乱することは起こしたくない。だから、
7月中に食品添加物として指定する。
・フェロシアン塩を含む食塩を使った(キャリーオーバーした)加工食品については、「国民生活を配慮して」輸入・販売の規制をしない。
・食品添加物指定までの間、違法となるフェロシアン塩添加食塩については、輸入・販売の自粛を求める。
・他の国際的に使われ、安全性が確認されている添加物も指定する方向。
という内容がありました。
7月26日、薬事・食品衛生審議会(会長:内山充)でフェロシアン塩は食品添加物に指定しても良いという答申があり、8月1日に指定されます。
同じ7月26日、「国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定についての考え方(案)」が示され、
コーディックスの食品添加物専門家会議で安全性評価が終了し、安全性が確認され、かつ、アメリカやEU等で使用が広く認められ、
国際的に必要性が高い添加物については、積極的に指定していくことが決まりました。
さらに、安全性審査について、必要な資料は「弾力的な運用」で行うとしています。
ここに大きな問題がありました。
●安全はあとまわし?
食品添加物を指定するかどうか、食品衛生審議会が食品衛生法に基づいて審議します。その際、重要なデータとして、急性毒性、慢性毒性、
催奇形性(遺伝子に傷がつくかどうか)、変異原性(発ガン性)を調べます。実際には、その実験結果や論文をもとに審議会で審議されるのですが、
フェロシアン塩には、急性毒性を除く実験データ、論文がありません。
そのような状況でも「弾力的運用」で審議され、あっという間に食品添加物として指定されてしまいました。
しかも、これがはじまりです。「国民生活に配慮して」これから次々に指定すると明言しています。
日本の食品安全行政は、どこにいこうとしているのでしょうか。
●日本の食品添加物はどうなる
WTO(世界貿易機関)ができてから、
関税以外の貿易障壁をなくそうという動きが盛んです。食品添加物や残留農薬、ポストハーベスト農薬といった国ごとの基準を世界中統一し、
輸出入しやすくすべきだという考え方が「ハーモナイゼーション」という言葉で進められています。そのお先棒をかつぐのがWHO/
FAOのコーディックス委員会です。
食品添加物や残留農薬、遺伝子組み換え食品、有機農産物などの規格基準をここで決め、それよりも厳しい基準に対しては、
貿易障壁になるという口実を輸出国に与えています。
日本は、まだまだ不十分だと言っても、食品添加物など世界的には厳しい基準を持っていました。すでに残留農薬については、
ずいぶんと基準が引き下げられました。
次は、食品添加物のようです。輸入食品に頼る限り、この動きは止まりそうもありません。
安いから、便利だからと輸入食品にばかり頼っていると、気がついたときにはとんでもないことになっているかも知れません。フェロシアン塩は、
その「安全性」以上に大きな問題を、輸入大国日本で暮らす私たちに投げかけています。
●給食食材は安ければいいのか
学校給食でも輸入食材を使用することがあります。また、国産となっていながらも実は輸入食材だったということも、
これまでたびたび起きています。
予算の関係、給食費の関係で、同じ食材ならば安くしようと考えるのは自然なようですが、「安さの理由」を考え、
食材の選択にはこれまで以上に気を配りたいものです。
注:フェロシアン塩…指定されたフェロシアン化物は、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化ナトリウム。
参考:
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
塩の情報室 http://www.siojoho.com/
学校給食ニュース02年9月号より
[ 02/12/31 農薬・添加物など ]