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輸入野菜の食品衛生法違反と、国内での無登録農薬問題

食品の安全性~輸入野菜の食品衛生法違反と、国内での無登録農薬問題

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 雪印乳業の牛乳による食中毒事件、BSE(狂牛病)問題への農水省の対応、雪印食品や日本ハムフーズの牛肉偽装事件、そして、 協和香料化学による違法添加物事件、さらには、輸入食品の無認可添加物使用により、食品回収が次々に起こっています。
 また、中国産冷凍ほうれん草をはじめとする輸入野菜、加工品の残留農薬が基準を超え、食品衛生法違反となる例が数多くあり、 国内でも無登録農薬を販売していた業者が逮捕され、使っていた農家は生産物の廃棄を求められるなどの事件が起きています。
 食品添加物については、前号でまとめたように、これまで安全性に配慮して新たな食品添加物認可には厳しい姿勢を持っていた厚生労働省が、 海外ですでに認められている食品添加物については資料などが不足しても積極的に認可する方針を打ち出しています。
 今回は、輸入野菜の残留農薬などの問題と、国内での無登録農薬使用問題について、整理しておきます。


●輸入野菜の残留農薬など

 輸入食品は、厚生労働省が「食品衛生法」にもとづき、検疫所で、残留農薬や違法添加物、あるいは、カビ毒のアフラトキシンや腐敗、 食用にならない魚などを調べ、水際で安全性を確保することになっています。しかし、実際には、検疫所の数も、人数も限られ、 増え続ける輸入食品に書面上はともかく、全部を常に検査しているわけではありません。そのため、輸入されたあとに、 各都道府県の保健所や市民団体などが調査を行っています。そしてしばしば、残留農薬が基準値を上回っていることなどが分かります。
 2002年に大きく取り上げられたのは、中国産冷凍ほうれん草の残留農薬基準違反でした。これは、 市民団体の調査で明らかになったことで2002年3月のことでした。その後、厚生労働省が調査を開始し、 国内では禁止農薬となっている殺虫剤のパラチオン、殺虫剤のクロルピリホスの基準値超えなどがみつかります。クロルピリホスの場合、 残留基準値0.01ppmに対して、2.5ppmと、250倍の残留品もありました。厚生労働省は、7月10日に、 中国産冷凍ほうれん草の輸入自粛を要請、続いて、9月9日に、中国産冷凍ほうれん草を使用した加工食品の輸入自粛を要請。 いずれも食品衛生法違反の可能性が高いということからです。
 さらに、中国産の春菊、セロリ、枝豆の残留農薬基準値違反や蜂蜜の抗生物質残留などがみつかります。また、 アメリカ産の冷凍ほうれん草などからも、残留農薬基準違反がみつかりました。
 厚生労働省の輸入食品監視業務ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html) をみてみると、毎月、数多くの食品が検疫所の段階で食品衛生法違反として廃棄などを求められています。野菜だけでなく、肉、魚、 無数の加工食品など、その種類の多さには本当に驚きます。その上で、輸入食品の食品衛生法違反が実際に販売されている商品からみつかっています。 すべての輸入食品が検査されているわけではないということを理解しておくべきです。
 国内のスーパーなどでは、輸入野菜の販売額が落ち込み、国産品が売れるようになったといいますが、新聞などの報道では、 輸入野菜の値段の安さや品ぞろいは魅力的なので、問題が解決すれば、販売額は戻るとされています。
 しかし、今回の中国産輸入野菜の問題が解決したからといって、 すべての輸入食品の安全性が確認されたということにはならないことを忘れないようにしたいものです。


●国内での無登録農薬使用問題

 輸入野菜への不安が高まっていた2002年7月、国内の農家に衝撃が走りました。7月30日に、 すでに日本国内では使用が禁止された農薬を農家に販売していた2業者が、「農薬取締法」違反「毒物及び劇物取締法」違反で逮捕されました。 その後、農林水産省が各都道府県に調査を指示、9月25日現在、無登録農薬を販売した業者数は165業者、 購入した農家数は2556農家になりました。このうちには購入しても使っていないという農家も含まれます。
 販売されていたのは、殺菌剤ダイホルタン(カプタホール)、殺虫剤プリクトラン(シヘキサチン)、植物成長調整剤NAA(α- ナフタリン酢酸ナトリウム)、殺菌剤PCNB、植物成長調整剤ダミノジッド、殺菌剤マンゼブです。このうち、マンゼブは、 国内で農薬登録されていますが、今回は登録してある業者以外の製品で安全性が確認できていないためとなっています。それ以外は、すべて、 かつて日本で農薬として登録されていましたが、安全性への問題があるため、失効し、農薬として使用できないものです。
 使われていた作物は、果物が、リンゴ、ミカン、サクランボ、モモ、ナシ、洋ナシ、柿、ブドウ、スイカ、メロン、イチゴなどで、野菜が、 キャベツ、カボチャ、ハクサイ、ナス、キュウリ、ブロッコリー、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマトイモ、アスパラガス、レタス、ゴボウなどです。 さらに、花や造園業などでも使われていました。
 調査後は、使用していた場合、その作物を廃棄するなどの指導が行われています。
 なぜ、無登録農薬が使われるかといえば、効き目が高いからです。かつて使われていた農薬は、人体や自然環境、野生生物への影響が大きい反面、 効き目が高かったのです。今の農薬は、以前に比べれば人体への影響や、自然環境、野生生物への影響が少なくなり、分解性も高くなっています。 その分だけ、農薬の効果が続く時間が短いなどの、使う側にとってはマイナスになる要素もあります。病気予防や殺虫剤として、 手にはいるなら違法で安全性に問題があっても効き目の高い農薬を使いたいと思う農家が、一部であっても存在していたことを、 今回の事件が教えてくれます。
 輸入野菜の不安が続く中、国内野菜や農産物への期待と関心は高まっています。これを機に、農家には、適正な農薬使用や、減農薬、 有機栽培への取り組みを求めたいところです。一方、消費者の側も、自分が食べる農産物についてもっと知る必要があります。


●地産地消のすすめ

 学校給食の場合、子ども達は食材を自分たちで選んでいません。無条件に食べさせられるわけです。食材を選択する自治体や栄養士、 あるいは、実際に食材に触れる調理員が、その食材についてきちんとした情報を持っておくことが必要になっています。
 どこで、誰が、どのようにして栽培し、加工したのか。このことを知り、そして、その情報を、生きた知識として子ども達に伝えること、 食品を選ぶ力を身につけることが、ますます大切になっています。
 食材の情報を知る上で、もっとも確実なのは、自分の目で見て、作り手を信頼できるかどうか確かめることです。 学校給食で地場産農産物の使用が増えています。地域内で生産し、消費することが望ましいのは、 生産から消費までをすべてお互いに知ることができるからです。また、そのことを食べる子ども達に教えることができるからです。
 総合学習や食教育、あるいは、地域産業の育成など、学校給食での地場産農産物の使用は、多くの目的で実施されています。それだけでなく、 安全な、安心できる食材を、生産者らと一緒になって作り上げていく点でも、地産地消は望ましい方法です。

(学校給食ニュース 2002年10月号)

[ 02/12/31 農薬・添加物など ]


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