学校給食ニュース
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学校給食と食材の安全性についての考え方とあり方の提案

中国産輸入食材が給食に使われていることについて報道されています。
そこで、紙版のニュース2014年11月号では輸入食品と学校給食を特集します。
それに合わせて、考え方、あり方について簡単に整理しました。

学校給食は、中国産・外国産・国内産を問わず、食材の安全が前提です。
「有害なもの又は疑いのあるものは避ける」と学校給食衛生管理基準にもあります。
予防原則的な立場をとりましょう。
安全性については、毒性のある化学物質、重金属といった環境汚染物質のほか、農薬、食品添加物、ポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え作物、BSE(牛肉)、内分泌かく乱物質、放射線照射食品、原発事故等による放射性物質汚染、など、安全性に問題、不安のあるものは数多くあります。どれを、ということでなく、すべてにおいて現状最良のものを使用すべきであると考えます。
食材をより安全なものにするには、地場産や国産で、かつ、有機農産物や生産工程が明らかな食材、加工食品を使うことが必要です。その利用にはいくつかの課題があります。
それは、近年、食材が高騰し、学校給食の合理化が進められる中で、かけられる人の手が減り、さらに施設設備にも問題があることです。

食材の高騰については言うまでもありません。消費税増税、国内も海外も食材は高騰しています。食材は給食費でまかなわれますが、保護者負担の給食費を値上げすることは難しい状況です。未納問題もあれば、家計悪化の現状もあるからです。

次に、人の手の問題です。素材から間違いないものを使うことが望ましいですが、自治体直営であっても、正規雇用の調理員は高齢化の中で退職者の補充がされず、パート、非正規労働者となり、経験を積み重ねることができません。調理の民間委託も進んでいますが、そもそもコスト削減を目的に行われており、民間事業者も努力していますが、安い賃金により、人員の定着、技能の継承ができているとは言いがたいのです。その中で、献立は複雑になり、衛生管理などは厳しくなっています。いずれも必要なことですが、それに伴い増やすべき人の手は、むしろ減らされています。

そして、施設設備です。学校給食現場は地域により様々です。自校式、センター方式といった違いだけでなく、調理施設や衛生管理のための施設が整っているとは限りません。老朽化等により、自校方式をやめ、センター化、あるいは、センターの統合大規模化が進んでいます。大規模になれば、食材は一度に大量に必要になります。当日入れ、当日調理の原則から限られた調理時間の中で大量調理することを考えれば、加工食品や半加工食品、下処理済み食材の使用も増えてきます。食材からの調理が難しくなります。

安全でおいしく、教育としての学校給食を実現するには、
一、安全で疑いのない食材にかける十分なお金が必要です。
一、自校方式を基本に小規模分散型の調理場と、献立等を立てる栄養教職員の配置が必要です。
一、経験と知識をもった調理者の人数が必要です。直営でも、民間委託でも、調理場における経験者、技能者の不足の解消が必要です。
一、なにより、保護者、市民の学校給食への関心が必要です。教育として学校給食を行い続けるためには教育関係者、自治体関係者のみならず、多くの人の協力が欠かせません。

これが、学校給食の安全性を本当に確保するために必要なことです。たとえ、中国産を排除しても、他の輸入食品がそれに置き換わるだけでは意味がありません。全体として、今よりも学校給食の質を向上し、教育として役立てるためには、幅広い対応が必要です。

[ 14/10/23 食の安全性 ]


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