学校給食ニュース
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給食の施設設備に問題はないか?

 衛生管理をきちんと行ない、食中毒を防ぐ上で、緊急にやらなければならないことに施設の改善があります。冷蔵庫の設置、温蔵庫の設置、 センターの配送車増車、温度管理車の導入、ワゴン車の温度管理などなど、立て替えや改築をしなくても、すぐにできることはあります。ここでは、 給食調理現場の設備と衛生管理についてまとめてみました。
 まずは、みなさんの子どもが通う学校の給食設備がどうなっているか、調べてみることからはじめませんか?

●2時間ルールを守りたい!

「基準」では、調理後2時間以内に食べることを求めています。作りたてを、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たく食べるのが、 食中毒を回避し、おいしく食べる基本です。2時間と言わず、できる限り作りたてを食べられるような状況であって欲しいものです。 なぜそんなに時間がかかるのでしょうか。
 給食センター(共同調理場)の場合、1日数百から多いところで1万食を超える給食を作っています。たとえば、あるセンターから学校まで、 配送車で運ぶ時間が30分かかるとすると、前後の時間を合わせても作ってから食べるまでに1時間以上はかかってしまいます。まして、 1台の配送車で2校、3校と回るときには、午前中早い時間にセンターを出発しなければならず、当然、調理にかけられる時間も短くなりますし、 食べるまでに時間がかかることになります。
 そのため、センターからの配送車を増やすよう「基準」には書かれていますが、現実はどうでしょうか。
 この配送時間があるため、センター方式の方が、自校方式よりも食中毒の危険性は高くなります。自校方式の場合、 作ってから食べるまでに配送する必要はありません。その分、作りたてに近い状態で食べられるのです。
 しかし、自校方式でも、設備が不十分なために食べるまでに時間がかかることもあります。
 たとえば、600人分の焼き魚を100個焼けるオーブンひとつで調理するとなると、6回に分けて調理することになります。 調理する人数に合わせたオーブンの規模や数があれば問題はないのですが、多くの学校では調理設備に限りがあり、何度も使い回すのが現状です。 そのため、最初に焼いた魚は時間が経ってからしか出せないということになります。


●冷蔵庫、温蔵庫があれば

 食中毒を防ぐのにもっとも大切なのが温度管理です。食中毒菌が繁殖する条件をできる限り減らすためには、 繁殖に適した温度になっている時間を短くすることが大切です。食中毒菌の繁殖では、16~52度が危険とされ、 この温度帯に2時間以上放置しないことが必要です。
 届いた原材料のうち、冷蔵の必要なものは原材料専用の冷蔵庫へ冷蔵しておき、調理後、デザートやサラダは冷蔵庫へ、 温めておく焼き物などは温蔵庫へ保管することができれば、食中毒の危険性はずいぶん減らすことができます。
 ところが、実際に配置されている温度管理設備は、せいぜい牛乳用の冷蔵庫くらいではないでしょうか。保存食用の冷凍庫を見ながら、「これが、 冷蔵庫だったら」と思う調理員、栄養士は少なくありません。
 同じことは、配膳までのワゴン車や配送車にも言えます。配膳用のワゴン車には、温かいものも冷たいものもあわせて積まれます。 温度管理を行なうならば、配膳方法も含めて取り組むべきです。


●汚染区域と非汚染区域

 各調理場では、床に線を引き、汚染作業区域と非汚染作業区域を明確にしています。下処理などの区域は食中毒菌がいる可能性のある区域 (汚染作業区域)、盛りつけ場など菌が入り込むことを防ぐべき区域(非汚染作業区域)として、それぞれの区域間の移動にあたって、 衛生管理上注意するための線です。しかし、調理現場によっては構造上区分けできなかったり、作業が困難になるところもあります。
 調理員、栄養士は、この線があってもなくても、食中毒菌に汚染されないよう、作業の特徴に合わせて衛生管理を行なっています。 調理現場としての衛生管理を行なうのに線を引かせるだけではなく、設備や調理場の構造から見直す必要があります。


●設備の不備は、基準の無理

「基準」は、原則としてすべての作業が終わり、調理済食品が調理場から出た後に洗浄・消毒を行なうよう求めています。「原則」 とありますので、ある程度現場の判断というようにもとれますが、日常点検表では守っているかどうかをチェックするようになっており、 現場の調理員、栄養士は従わざるを得ないことになります。しかし、汚れ物をすべて置いておく場所や台もない調理場が多く、 作業効率も極端に悪くなってしまいます。
「基準」が求めている意味は、洗浄の際、水がはね、二次汚染につながらないようにということです。
 本来、洗浄などの区域と調理区域が物理的に分かれていれば問題ないことです。その施設設備を改善せずに、過重な労働を強いています。
  現状に対応して、肉や魚、卵などが触れたものは調理済み食品が調理場から出た後に洗浄・消毒を行ない、問題ない器具やお釜などは、 「洗う場合、水はねに注意して行なうこと」ぐらいの記述が必要ではないでしょうか。


(学校給食ニュース2号 1998年5月)

 

[ 98/12/31 衛生管理 ]


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