食材の安全性を見過ごしがちでは?
食中毒を防ぐキーワードは、「菌をもちこまない、他の食材にうつさない、ふやさない」ことです。
給食調理現場では、食材に移さず、増やさないために工夫を凝らしています。
しかし、「菌を持ち込まない」がおろそかになると、食中毒が起こります。
1998年3月に発生した東京、神奈川、岩手、福井の1都3県にまたがるサルモネラによる食中毒は、
加工済み食品として購入した冷凍ケーキが原因食材でした。
「基準」は、学校給食従事者に月2回の検便を指示しています。
また、これまで指摘したように、「基準」の過剰な衛生管理は、
あたかも調理員や調理現場が食中毒菌にまみれていることを前提にしているかのようです。
しかし、もっとも大切なのは原料食材の安全性ではないでしょうか。
★★★「基準」から引用します。★★★
3 食材の選定
ア 食材の購入に当たっては、過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選択するよう常に配慮し、特に、
有害なもの又その疑いのあるものは避けるように留意すること。
イ 有害な食品添加物はもとより、不必要な食品添加物 (着色料、保存料(防腐剤)、漂白剤、発色剤)が添加された食品、
材料の内容が明らかでない半製品等については、使用しないことにすること。
ウ 地域における伝染病、食中毒の発生状況に応じて、食品の購入を考慮すること。
4 共同購入等
ア 統一献立と結びついた共同購入は、あまりに大規模である場合には、食材の品質管理や確実な検収を行ううえで支障を来すおそれがあるため、
地域ブロック別や学校種別等の単位にわけること等による適正な規模での実施を検討すること。
なお、その際、物資選定のための委員会等を設け、学校栄養職員の意見が十分尊重されるような仕組みを整えること。
イ 学校給食用物資の製造を委託する場合には、衛生上十分に信用のおける製造業者を選定してこれを行わせるとともに、業者の有する設備、
人手等から見た能力以上の製造加工を委託しないこと。
冷凍ケーキや、大阪府堺市のO157のように、大量製造、大量購入することは、
食中毒が発生した場合の危険を増大させるだけではありません。
誰が、どこで、どのように作った素材なのかが分からないということでもあります。
堺市のように、牛肉が国産なのか輸入なのかも判別つかず、発表が二転三転するということが日常的に起こっています。
地域の実情に応じて、新鮮な素材を使い、不要な添加物を排除し、安全で信頼できる食材を取りそろえるためには、栄養士が調理場単位で考え、
それを購入することができるようにする仕組みが必要です。
学校給食の素材、米や小麦、肉や野菜は、誰が選び、どのようにして決まり、いくらで入っているのか、そして、信頼できるのか。
調べて見ませんか?
(学校給食ニュース2号 1998年5月)
[ 98/12/31 衛生管理 ]