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姫路市で、PC食器導入を強行

 兵庫県姫路市では、アルマイト食器を使用し、ごはん給食のときには、弁当箱を持参させています。 平成7年にポリカーボネート製食器の導入を決定し、平成8年に2校、9年に10校を導入しました。そして、 平成10年度に15校の導入を決定していたものの、ポリカーボネート製食器から溶出するビスフェノールAが環境ホルモン(内分泌かく乱) 物質であるとの問題が浮上し、導入が1年延期されました。しかし、その後、平成11年に15校導入し、 平成12年の2学期からあらたに15校を導入するとしています。
 保護者らから反対の声が上がる中、7月14日には、姫路市教育委員会が、保護者あてに「学校給食における食器改善事業について」 と題したチラシを配り、
【国(厚生省)の「使用禁止等の措置を講じる必要はない」との結論や姫路市独自で行った詳細な溶出検査等により、安全性を充分に確認し、 平成11年度には、15校に新食器を導入しました。そして、今年度は2学期から15校への導入を計画しております。
 ビスフェノールAは、「1:食器から溶け出る量はほとんどない。2:有害とされているのは極めて大量に摂取した場合である。3: 環境ホルモン物質のダイオキシンやPCBなどと違い作用は弱く体内に蓄積もしない」とのことであります。】
などとしています。
 さらに、ある導入される小学校ではPTA会長名義で、PTA会員あてとして「たのしい給食のための新しい食器導入に関する経過について」  と題するチラシを配布しています。
 この内容を一部抜粋すると、
【この食器の導入に関しての、国(厚生省)、姫路市、姫路市連合PTA協議会の、導入検討経過を報告させていただくことに依り、 ビスフェノールA(専門学者曰く…一部学者が「環境ホルモン」の名のもとに一括していらぬ不安と混乱をおこしたもの)に対しての、 少しでも不安要素の解消になればと思っております】
 としています。
 このふたつのチラシは、あたかもビスフェノールAが環境ホルモン(内分泌かく乱)物質ではなく、安全だというように書いていますが、実際には、 ビスフェノールAが環境ホルモン物質の有力候補からはずされているわけではありません。また、厚生省の「使用禁止等の措置を講じる必要はない」 というのは、現状で、すぐに明らかな健康被害などが起こっているわけではないので、使用禁止などの行政措置を行う状況にはないということであり、 安全性が確認されたり、安全宣言が出ているわけではありません。さらに、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)は、 これまで検出が困難だったきわめて微量の量で妊娠期や長期的な暴露によって影響を受けるというものであり、これまでの急性毒性、 慢性毒性などとは違った考え方でとらえるべきものです。それを、「有害なのは大量摂取した場合」「作用は弱く体内に蓄積しない」などと、 あたかも安全のような表現をして、保護者に誤解を与えてまでも、ポリカーボネート食器を導入しようとする姫路市の意図が分かりません。
 特に、兵庫県でも、ポリカーボネート製食器の導入には慎重な姿勢を示しており、 姫路市がきわだって突出した形でポリカーボネート製食器を導入する背景になにかがあるのではないか、疑問の目が注がれます。
 これに対し、ポリカーボネート製食器導入に反対する保護者や市民らは、市長、教育委員会らに請願を提出したり、署名活動を行っています。

(読者からの情報を元に、編集サイドでまとめたものである 2000年)

[ 00/12/31 食器 ]


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