アレルギー、アトピーとは何か?
●アレルギー・アトピーのしくみ
アレルギーの発症は、人間の免疫と深く関わっています。アレルギーには大きく分けて4つのタイプがありますが、
一般にアレルギーとして多いのは、Ⅰ型のアレルギーです。
人間の免疫システムは、食べたり、飲んだり、また、吸い込んだりすることで入り込む異物を身体に入れないようにしています。
異物を判断するセンサーを、免疫グロブリンE(IgE)と言います。免疫グロブリンEは、アミノ酸のような小さな分子には反応しませんが、
タンパク質のように大きな分子が外から入ってくると異物と判断して身体に警告を出し、防護の体制をとらせます。
その結果、ヒスタミンや、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質が体内に放出され、それらの刺激で毛細血管が拡張し、
水分が出て、気管がせまくなって呼吸が苦しくなったり、粘膜が赤くはれたり、皮膚にかゆみが出てきます。その症状も、ぜんそく、鼻炎、
じんましん、結膜炎と人により様々です。
本来は、血液中に入ることもなく、また反応する必要のない卵や、牛乳、
大豆などのタンパク質に免疫グロブリンEが過剰に反応し防護しようとすることで発症するのが食物アレルギーです。
卵、牛乳、大豆などは、タンパク価の高い食品です。このタンパク質は、胃や腸で分解され、アミノ酸になって腸から吸収されます。ところが、
消化能力が未発達な乳幼児にとってこの分解がうまくいかず、腸からむりやりタンパク質が体内に入ることがあります。腸は傷つきますし、
そのタンパク質に免疫グロブリンEが反応することになります。
●アレルギーの原因
アレルギーが発症するには、発症の直接の原因だけではなく、アレルギーになりやすい体質であること(素因)、そして、原因によって発症してしまうまでの状況を生み出す誘因もかかわります。
よく指摘される原因には、卵、牛乳、大豆などの「食物抗原」と、ダニ、カビなどの「環境抗原」があります。
誘因は、人により様々で、物質とは限りません。入学、進級など生活環境の変化によるストレスも誘因です。また、食品添加物や残留農薬、
大気汚染、家庭用殺虫剤のような環境中や食に含まれる化学物質の複合的な汚染や、生活空間が高気密、
高断熱になり冷暖房が完備されて自然状態と変化していること、食生活の変化や、生活スタイルの変化など、社会全般、
環境全般の大きな変化も誘因になり得ます。
アレルギー・アトピーが増えている背景には、これらの社会的、環境的な背景があると考えられます。
たとえば、入学までは牛乳が原因での発症はなかったのに、入学したら牛乳が原因となって発症するというようなこともあります。
その誘因としては、たとえば、入学にともなう生活環境の変化によるストレスかも知れず、また、
学校給食で毎日牛乳を飲むようになったからかも知れません。
アレルギー・アトピーは、原因、誘因が多岐に渡り、また、素因もかかわるため、治療の方法も、原因物質の除去、
薬物治療などが行われていますが、決め手となる方法はありません。
●アレルギーマーチ
アレルギーの症状は、気管支に起こるぜんそく、
鼻に起こるアレルギー性鼻炎、皮膚に起こるじんましん、目に起こる結膜炎、耳に起こる中耳炎と様々です。子どもによっては、成長に伴って、
ひとつの症状がおさまっても、次に別の症状が起こるというように、症状が移り変わることがあります。これをアレルギーマーチと呼んでいます。
(学校給食ニュース4号 1998年7月)
[ 98/12/31 アレルギー ]