各地の対応事例
さまざまな取組みの事例を紹介します。事例につきましては、その多くをアトピッ子地球の子ネットワーク事務局に協力していただきました。
事例1
自校式給食での対応(栄養士に聞き取り)
入学時に相談があり、診断書をもとに学校で対応を検討し、保護者と話し合って、対応方法を確立しました。毎月、
栄養士がメニューを保護者に送ります。それを保護者がチェックし、食べられないものには○印をつけて栄養士に送り返します。栄養士は、
それに対して、「別鍋で、除去してつくる」「対応できないので、これにあたるものをお弁当でもたせてください」というようにメモを付け、
ふたたび保護者に送ります。基本的には、これで対応し、保護者は、持参するもの、食べ残す指示を出すなどをしています。
事例2
自校式給食での対応(保護者から)
東京都内で、入学後の給食開始時より別メニューを作っていただいていました。自校方式、直営、食材の個別購入をしていたところです。
入学前診断の時に話をしましたところ、入学後、教頭、担任、栄養士、調理員3名と話し合うことになりました。栄養士は、常勤していないそうです。
要請された診断書を持ち、状況を説明したところ、他の児童とともに対応していただけました。
鍋は調理員さんが家庭から持ってこられたものを使ったりしていました。
事例3
センターでの対応(保護者から)
500人規模のセンター給食を行っている小学校へ入学した児童の例。栄養士から給食メニューと、食品添加物の表示、
詳細な原材料表を保護者に送ってもらっています。それをもとに、子どもに食べていいもの、だめなものを指示。
学校としての特別な対応はありません。場合によっては、一部お弁当持参ということもあります。
このセンターでは、すでにアレルギーを持つ子どもの保護者によって、使用する油を大豆油からナタネ油に変更していましたので、
油は問題ありませんでした。ところが、遺伝子組み換え問題が出て、知らないうちにコメ油に変っていたため、ちょっと困りました。
特に、診断書などは求められませんでしたが、学校からアレルギーの調査票をいただき、記入しました。
この調査票がぜんそく対応用のものを作り直したようで、アレルギーの調査としては項目に過不足があったと思い、必要なことは別に添付しました。
事例4
学校全体としての対応(保護者から)
ずっと学校給食では担任、栄養士の方と話を続け、アレルギー対応に理解をいただいていました。特に、栄養士とは、密接に連絡をとりあい、
どこまでが大丈夫なのか、など細かいところまで話し合っていました。ところが、修学旅行になって、ついていくのは養護教員ですから、
連絡しましたところ、この栄養士との蓄積が養護教員には伝わっていませんでした。そのため、旅行先の食事などで説明や理解を得るのが大変でした。
事例5
情報提供について(保護者から)
卵と鶏を除去していますので、メニューに加えて、
それらが何グラム入っているのかを確認しています。たとえば、うずらの卵は切ってあるのか、丸ごとかにより対応が違い、栄養士に確認しながら、
丸ごとならばよけて食べるように子どもに言っています。そして、だめなときのみ代わりのお弁当を持たせています。ここでは、
栄養士が大豆油をやめ、ナタネ油に変えました。大豆油はだめでもナタネ油なら食べられる場合の方が多いです。ところが、
いつの間にか変わっていても、メニューには植物油としか表示されておらず、告知もありませんでした。
油が変わるだけで食べられるメニューが増える子どももいるのですから、告知して欲しいとお願いしたところ、メニューの表示が詳しくなりました。
助かります。
事例6
いじめについて(保護者から)
低学年の小学生。別メニューを自校式の学校で作ってもらい、何も問題がなかったけれど、あるとき、別メニューのスープを見て、他の子どもが
「おいしそう」と言ったことに対し、担任が「これは、○○くんのだからだめです」と厳しく言った。そのことから「まずいもんを食べてる」
というような形で、いじめがはじまってしまった。あのとき、「じゃあ、一口だけ」とか、別の機会にそれを給食メニューに取り入れるとか、
アレルギーの子どもとの「違い」を理解させ、分かり合わせられていたら、いじめは起こらなかったのかも知れないと思わずにいられません。
●学校で対応しなかった事例
多くの学校では、アレルギー児などの対応について、個別に保護者と学校の間で相談しながら、弁当持参や特別食の対応をしていることと思います。
しかし、なかには、対応せず、門前払いをした事例もあります。
事例1
お弁当もだめ
小学校入学時に診断書も持って学校に話をしたが、特別食(除去食)の対応はもちろん、
お弁当持参も認められませんでした。やむなく、給食メニューを見て、子どもに「これは食べてはだめ。残しなさい」と指示し、
自主的に残させていました。メニューによっては、1週間白いご飯だけとか、まったく食べられない日もあります。さらに、
残さずに食べようという教育がされており、このままでは学校に行けなくなりそうです。
事例2
牛乳を強要
アレルギー体質でしたが、食事ではバランス良くとっていれば問題がなく、
アレルギーとして特に症状が出ていたわけではなかった児童。小学校に入学し、学校給食がはじまって毎日牛乳を飲み続けていたら、
牛乳により症状がひどく出るようになってしまいました。牛乳を飲まないよう、自主的に残させていました。そして、
牛乳を残すことについて担任と相談したところ、逆に、残すことはよくないと、しばらくの間、監視つきで飲ませられました。病院の診断書をもとに、
ねばり強く交渉して、数カ月かかってようやく飲まなくてもよくなりました。
このような対応は、子どもの人権を侵害するものであり、また、心にも身体にも悪い影響を与えるものです。学校は、 教育を受ける機会を損なわないよう最大限配慮する必要があります。
(学校給食ニュース4号 1998年7月)
[ 98/12/31 アレルギー ]