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調理・配食現場での塩ビ製手袋のすみやかな使用中止を

調理・配食現場での塩ビ製手袋のすみやかな使用中止を
 学校給食ニュース2000年1月号で環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の溶出について指摘した塩化ビニール(塩ビ・PVC)製手袋について、 厚生省が2000年6月14日、緊急措置として食品への使用を避けるよう指導を通知しました。
 この問題については、1998年の夏期学校給食学習会のとき、環境ホルモン(内分泌かく乱物質) 問題についてお話しいただいた日本大学生物資源科学部の片瀬隆雄教授がはじめて取り上げられました。 会場から塩ビ製手袋の安全性について質問があった際、内分泌かく乱物質が溶出している可能性については調査が必要として、 お調べいただくことになりました。これについては、翌年の1999年の夏期学校給食学習会や学会で報告していただき、 学校給食で使用されていた塩ビ製手袋3種類から内分泌かく乱物質の可能性を示すデータが出ました。詳しく調べると素材にフタル酸エステル、 アジピン酸エステルが高い濃度で含まれていることが分かりました。これと相前後して他の研究結果なども各所から発表され、 ついには厚生省が食品衛生調査会の毒性部会・器具容器包装部会合同部会の審議にかけ、冒頭のような措置をとることになりました。
 環境ホルモン(内分泌かく乱物質)については、ポリカーボネート製の食器から溶出するビスフェノールAの問題を取り上げてきました。 この運動の過程で、塩ビ製手袋についても一昨年から取り上げてきましたが、やはり安全性の問題がありました。 塩ビ製手袋はとても高い濃度で溶出しています。今回の厚生省の対応は、こうした運動の成果もありとても前向きな措置と言えます。しかし、 報道によれば、使い捨ての塩ビ製手袋は国内では製造されておらず、輸入品であり、また、今回の措置では製造、販売を規制するものではありません。
 学校給食の調理場をはじめ、食品加工にたずさわるすべての人々、組織、企業がすみやかに対応することが必要です。
 おりしも、食中毒のリスクが高まる時期です。病原性大腸菌O-157への対応で、 素手を使わず手袋を使って配膳するというところも多いと思います。衛生管理には十分配慮しつつ、 手をきちんと洗浄して手や食器具を使用して配膳することが望ましいことです。しかし、 どうしても使い捨て手袋を使用するのであればポリエチレン製などで素材のはっきりしたものを選択するなどの対応をとることが必要です。
 また、今回は、加工した食品に直接触れる手袋であり影響が大きいのですが、手袋に限らず、食品と接する塩化ビニール容器などについても、 可塑剤としてフタル酸エステルなどが使用されていることが考えられます。調理場などでもう一度点検していただきたいものです。 (2000.7)

[ 00/12/31 環境ホルモン ]


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