学校給食ニュース
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学校給食用手袋の材質に注意を

学校給食用手袋の材質に注意を
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の恐れあり

 ポリ塩化ビニル製の調理、炊事用手袋には環境ホルモン(内分泌かく乱物質)と疑われている物質が大量に含まれているようです。 食中毒対策として調理時などにポリ塩化ビニル製の手袋を使う調理場も多いと思いますが、食品への移行などが心配されています。
 学校給食ニュースとして、これまでの研究や問題点を整理します。

●塩ビ製手袋には大量の添加剤が使われている
 98年と99年の夏期学校給食学習会で環境ホルモン問題についてお話しいただいた日本大学生物資源科学部の片瀬隆雄教授は、 学校給食手袋3種類についてエストロゲン活性を調べ、さらに手袋に含まれる化合物とその濃度を調べられました。これは、 98年の学習会のときに会場から要請があった試験です。その結果は、以下の通りです。フタル酸エステル、 アジピン酸エステルが高い濃度で含まれています。

 


 また、国立医薬品食品衛生研究所の研究員による研究報告「ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン製品中の残存添加剤」 (食品衛生学雑誌 vol40、平成11年3月11日受理)でも、ポリ塩化ビニル製の手袋に残存する添加剤を調査しています。調査は、調理、 炊事などと用途表示された手袋4検体によって行われました(下表)。これによると4製品とも主可塑剤として24~38%のDEHP (フタル酸ジエチルヘキシル)が含まれていることが分かりました。さらに、アジピン酸エステル類のDEHAも3.9~17%含まれています。 可塑剤の残存量は34~55%と、全体の半分近くを占めています。この量は、塩ビ製ラップフィルムよりも多く、 さらに3検体からはノニルフェノールが検出され、 滑剤のステアリルアルコールと合わせて帯電防止のために界面活性剤が使用されていることも明らかになりました。

 

●環境ホルモン(内分泌かく乱物質)とは
 環境ホルモン(内分泌かく乱物質)についておさらいします。人間や動物の身体では様々なホルモンが生命活動や成長、 生殖に深くかかわっています。それぞれのホルモンは必要なときにだけしか出ないようになっています。もしこのホルモンがむやみに出ると、 成長や生殖機能、生命活動に大きな問題をおこすからです。ところが、人間が人工的に合成した化学物質の中には、 このホルモンと同様の働きをするものや、ホルモンの働きをおかしくするものがあります。それがいわゆる環境ホルモンです。つまり、「内分泌 (ホルモン)」を「かく乱」する「物質」です。なかでも、女性ホルモンのひとつエストロゲンと同様の働きをするものが多くあります。 エストロゲンは卵胞ホルモンで、これに似た化学物質は生殖機能をかく乱します。とりわけ胎児の段階での影響が深刻です。
 身体の中のホルモンはごく微量で働いています。だから、環境ホルモンもとても微量で影響を与えます。 これまで発がん性や催奇形性など生物に対する毒性は100万分の1の濃度「ppm」の単位で考えられてきましたが、 環境ホルモンは10億分の1の濃度「ppb」や1兆分の1の濃度「ppt」のレベルで影響を与えます。そのため、 環境ホルモンが問題になったのです。
 現在、世界各国の研究者や国の研究機関などでどの物質が環境ホルモン(内分泌かく乱物質)なのかをつきとめる作業が続いています。 いくつもの候補が挙げられていますが、今回ポリ塩化ビニルの手袋から検出された物質はいずれも環境ホルモンとして疑いの強いものばかりです。
 以下に、今回検出された化学物質の特徴と物質名をまとめておきます。

フタル酸エステル類:プラスチックの可塑剤として使われます。とくに塩化ビニール製品に多く使われています。 塩ビ製品がやわらかいのは可塑剤のおかげです。
DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)
DINP(フタル酸ジイソノニル)
BBP(フタル酸ベンジルブチル)
DEP(フタル酸ジエチル)など

アジピン酸エステル類:フタル酸エステル類と同じく可塑剤として使われます。とくに塩ビ製品で耐寒性可塑剤として使われています。
DEHA(アジピン酸ジエチルヘキシル)など

ノニルフェノール:界面活性剤として使われたノニルフェノールポリエキシエチレンなどが分解されてできます。


●調理・洗浄現場で移行の可能性
 98年12月7日付の毎日新聞によれば、兵庫県西宮市で学校給食用ポリプロピレン製食器から、フタル酸ジエチルへキシル(DEHP) が溶出した問題に対し、市は原因は食器ではなく食器洗浄時の塩化ビニール製手袋であるという結論をまとめました。昨年の食器溶出調査で、 ポリプロピレン製食器から検出され、その原因を調べていましたが、食器メーカーは可塑剤を使用していないため検出されるはずはないと主張し、 状況からも塩化ビニール製の手袋から溶出した化学物質が食器に付着し、その後溶出したという可能性が高いと考えられたものです。市では、 この結論の上で、天然ゴムや酢酸ビニール製の手袋に切りかえました。
 また、前出の研究報告では、調理時の使用によって可塑剤が脂肪を含む食品に移行する可能性が指摘されています。
 塩ビ製品は、燃やすことでダイオキシンの発生原因となり社会問題となっています。それ以外にも、ポリカーボネート食器で環境ホルモン (内分泌かく乱物質)のビスフェノールAが溶出されるように、塩ビ製の手袋からも様々な環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の溶出が考えられます。
 学校給食調理場をはじめ家庭などでも、調理、食器洗浄などに塩ビ製手袋を使用しているかどうかあらためて確認し、代替していくことが必要です。  
(学校給食ニュース00/01号)

 

[ 00/12/31 環境ホルモン ]


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