学校給食ニュース
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山形県米沢市の調理員による実践報告

山形県米沢市の調理員による実践報告

長瀬恭子さん(米沢市職員労働組合学校給食部会)からいただきました。

 はじめてお便りします。私は米沢市の学校給食調理員です。
 学校給食ニュースを学校給食部会として、全員で読ませていただいています。昨年、私たちの学校給食部会は、 米沢市の学校給食を市民の方々に知っていただくため、学校給食フェアを開催しました。米沢市は小学校19校(内、分校1校)を直営・ 自校方式で給食が実施されています。各学校で自校方式ならではの様々な取り組みがなされていますが、その中から2校が実践発表を行いました。 その実践例をお送りします。

■実践発表 「わーるどらんち」 の実践について

松川小学校調理師 近野静子 市村悦子 加藤祥子

 私たち松川小学校では、子どもたちの食の国際化と、食を通してその国についての理解を深めることを目的として、 平成15年度より取り組んでいます。外国の料理を目の前にした子どもたちの喜びと驚きは大きく、 学校給食に楽しい変化を与えることができたと思っています。

●わーるどらんち実施内容
 具体的に、平成15年度にはアメリカ料理と韓国料理を実施しました。平成16年度には、ギリシャ料理とスペイン料理を行いました。 各国の料理を作るうえで、特別な食材も必要となってきます。その食材購入は、栄養士が主になり、八百屋さんに市場で探してもらったり、 卸屋さんに直接交渉して購入してもらいました。また、外国の味を抵抗なく受け入れられるよう、 数年前からインターネットや図書を参考にして調理法を学んだり、料理講習会に参加したりと研修を重ねてくれた結果、 学校給食に合う味付けをあみだし、より親しみやすい料理を提供することができました。
 子どもたちの関心を高めるため、その国の食習慣、食に対する考え方や料理の特徴について書いた「わーるどらんちだより」 というおたよりを各クラスに配ったり、ペーパークラフトで作った、かぼちゃのランタンや魔女などを給食室前に展示して、 より理解を深められるようにしました。
 給食時間には、その国の名曲や民謡をBGMとして放送し、雰囲気作りに努めました。給食をとりに来たときには、いつも「いただきます」 「はいどうぞ」という挨拶をかわしますが、その日はちょっと変えて、その国の言葉で挨拶をするなど、 子どもたちも一緒に楽しめるよう工夫しました。
 私たちもこの日を楽しもうということで、毎回変装をしています。ハロウィンのアメリカ料理のときは、魔女・NYヤンキースの松井秀喜選手・ 映画にもなった豚のベイブ・ピーターパンの変装をしました。
 韓国料理のときは、米沢市在住の韓国人の方から、民族衣装のチマチョゴリをお借りし、また、韓国人サッカー選手の変装もしました。
 ギリシャ料理には、オリンピック開催につなんで、女神様・競輪選手・柔道の柔ちゃん・オリンピックの旗の変装をしました。 子どもたちの憧れでもある松井秀樹選手や柔ちゃんの変装にはとても人気があり、ニコニコした子どもたちの表情が印象的でした。
 実際行ってみての子どもたちの反応は、どれも好評で、「料理もおいしかった」「私たちの変装に驚いた」などの感想がありました。 私たちとしても、当日まで期待と不安の中、献立内容の確認や衣装作りの準備をしました。このことを通してその国のことを知ることもでき、 大変勉強になりました。子どもたちの楽しそうな顔を見るとやってよかったと思います。
 今年度も、「わーるどらんち」を2回予定しています。子どもたちがまた楽しめる「わーるどらんち」になるように、 私たちも力を合わせて頑張りたいと思います。

アメリカ料理のメニュー
・ニューヨークシティードック
・コールスロウサラダ
・マンハッタンクラムチャウダー
・かぼちゃのプリン

韓国料理のメニュー
・キムチチャーハン
・わかめスープ
・ミルカムファチェ(夏みかんのフルーツポンチ風)

ギリシャ料理のメニュー
・シーフードサラダ
・スブラキ(豚肉の串揚げ)
・オニオンスープ
・黒パン
・チーズ

●ブロック給食の取り組み
 我が校では、「わーるどらんち」のほかに、 「ブロック給食」というものも行っています。年に数回、1年生から6年生まで各学年1~2名、合計8名前後でグループを作ります。 それをブロックと呼んでいます。
 ブロック給食のときは、高学年が給食の盛り付けをしたり、牛乳を分けたりと、低学年の面倒を見てくれます。逆に、低学年は、 自分の給食のほかに、盛り付けをしている高学年の分を運ぶなど、学年に関係なくお互いに協力し合って準備をします。担任の先生はもちろん、 級外の先生、そして私たちも、子どもたちと一緒に食べています。
 松川小学校の子どもたちは、給食が大好きで全部食べてきてくれます。私たちは子どもたちが喜んで食べてきてくれるように、 味付けや切り方の工夫、目で見て食欲をそそり、楽しく食べられるように努力しています。いつもよりボールや食缶の数が多くなり、 とても忙しいですが、給食を通して子どもたちと交流できるとても楽しいひとときなので、これまらも続けていきたいと思います。

●うこぎ給食について
 松川小学校だけでなく、米沢市の小学校全体で取り組んでいるうこぎ給食を紹介します。
 上杉鷹山公が奨励したうこぎを、今の子どもたちに伝えていこうということで、約10年前から、うこぎを使った給食を出しています。
 松川小学校では、給食委員会の子どもたちが、学校の敷地内にあるうこぎの垣根から、うこぎを摘んで、それを私たちがゆでて細かく刻み、 ご飯と混ぜ合わせ、うこぎご飯として給食に出しています。思ったほど苦味もなく、子どもたちもおいしく食べていたようです。
 米沢の特色を生かした給食のひとつとして、うこぎ給食を紹介しましたが、この他にも米沢にまつわる給食を出しています。 そういった給食をなくすことなく、これからの世代の子どもたちに伝え続けていきたいと思います。

 

[ 06/07/14 食教育 ]


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