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事例 中学校における栄養指導のあり方

●事例 中学校における栄養指導のあり方

 98年10月31日、新宿区立早稲田小学校において、東京教組98教育研究集会分科会が開かれました。 食教育分科会で墨田区立鐘淵中学校での給食指導実証授業について、同校の栄養職員・新津環さんが発表されました。 ひとつの事例として発表をまとめます。

 この給食指導の実証授業は、同校1年生向けに学級担任が栄養職員とともに立案したもので、学級担任の研究授業として行なわれました。
 指導案でのテーマは、「豊かな食生活を目指して ~個と固と孤の改善~」であり、「単品しか食べない個食、固定化されたメニューによる固食、 一人で食べる孤食の傾向」を改善をすることが日々の給食の残菜などの問題解決や、食生活に対する意識向上につながるという視点がもたれました。
 まず、生徒に対し事前に『朝食調査カード』が配られ、生徒の1週間の朝食の実態について調査しています。この結果を表にまとめ、 朝食を食べない生徒が10%以上いることや、栄養が偏っていることを生徒達に知らせます。
 これをもとにして、授業は2時限にわけて行なわれ、それぞれに途中、栄養職員による指導が組まれました。
 まず、孤食を実感するために、給食の時間に、ふつうは班で食事をするところを、あえて全員授業と同じように前向きに座らせ、 班での会食との違いを体験して生徒に意見を出させています。ここから、「一緒に食べる」ことが食欲や、 食事の楽しさにつながることを知ることができました。
 また、写真を利用して、ひとりで食べている例、会食の例などの人の表情の違いを見せたり、栄養職員がグラフを利用して、 たとえば牛乳を半分残すことでどのくらいの栄養が摂取できないかなどを視覚的に理解させたりと工夫を凝らしています。
「中学校の給食は、小学校よりも5分~10分時間が短いという実態があります。時間がないというのもひとつの理由なのでしょうが、 誤ったダイエットの知識などから、中学生になると牛乳を残したり、ご飯を残す生徒が増えてきます。そこで、成長期の身体にとって必要な栄養が、 たとえば牛乳を半分飲まなくなるだけでどのくらい少なくなるのかを学んで欲しかったのです。この授業で生徒達が一番関心を持ったのも、 この点でした。知ることで、少しでも食べるようになるという実感はあります」と、新津さん。
 小学校と違い、中学校の給食指導や食教育は難しいと言われます。
 小学生のような集団指導が行ないにくいという側面や、学校自体が給食指導・食教育を軽視したり、 給食そのものを否定しがちな側面があるからです。
 しかし、この研究事例に見られるように、適切な給食指導は、子どもたちの成長や食への関心に対し大きな意味を持つことは明らかです。

(学校給食ニュース8号 1998年12月)  

 

[ 98/12/31 食教育 ]


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