The Food Project 千葉県立国分高校生徒の取り組み
The Food Project 千葉県立国分高校生徒の取り組み
教育としての学校給食を考える上で、小中学校の学校給食はもちろん、
保育園や幼稚園などでの給食や家庭での食については論じられることが多いのですが、中学校を卒業してからあるいは、
中学校の給食がないところでは、小学校を卒業してからの昼食や食についての「学ぶ場」のことはあまり論じる機会がありません。しかし、中学・
高校の時期も引き続き大切な成長期であり、また、判断力、行動力が高まり、自主的に食を選択する機会が多くなる時期です。
この問題について、高校生が自分たちの問題としてとらえ、取り組んでいる例があります。
千葉県立国分高校では、生徒が家庭科の食についての授業から「食」研究チーム“The Food Project”をつくり、
食についての様々なテーマを研究しています。2001年度からの取り組みで、これまでに、学校給食、遺伝子組み換え、チョコレート、牛乳、米、
BSEなどを取り上げています。
学校給食についても、2001年の文化祭でレポートと展示が行われました。
学校給食のレポートは当時高校2年生の青木美里さんがまとめたものです。青木さんは、翌年牛乳についてまとめています。 この学校給食レポートを紹介しましょう。
レポートには、調査の目的として、--私の食生活が、小・中学校の時の昼ご飯「給食」の時に比べて、 高校に入ってからの昼ご飯がガラッと変わってしまい、アッという間にコンビニのおにぎりと毎日一緒に生活することになっていたのです。 さすがにこれが毎日続くのは栄養バランスも悪いし危険だなと思いました。しかし、私と同じように変わってしまった人、絶対たくさんいるはずです! そこで「食」を見直したいと思ったのです。。「給食」がどれだけおにぎりよりも栄養バランスが良いか、私たちの昼ご飯を理想の昼ご飯「給食」 に近づけるにはどうしたら良いのか、一緒に考えていきましょう。--とあります。
調査は、文部科学省に出向いてのインタビュー、中学校の栄養士へのインタビュー、 給食最終学年である中学3年生と給食が終わったばかりの高校1年生とにアンケートをし、給食と日常の食生活の比較・ 分析や中学教職員へのアンケート、家庭科教員へのインタビューなどでまとめられています。学校給食の安全性や栄養バランス、歴史、世界の動向、 食育のあり方などにまで及んでいます。
栄養士へのインタビューでは、食材の安全性、検品、衛生管理、事故発生時用の食材保存などの、給食のしくみを取り上げています。
栄養面では、給食・簡単につくった昼ごはん・給食の栄養に近づけた昼ごはん・ファーストフードのごはんを栄養価計算ソフトで栄養の比較をし、
給食の栄養の高さを強調しています。同時に、学校給食はカロリーをやや高く、
カルシウムやビタミンなどで1日の摂取量の半分近くをとれるよう設定されていることなども紹介しています。
また、中学校でのアンケートで、ご飯と牛乳が合わないという意見が多かったことに触れたうえで、
牛乳の栄養面や補助事業のことなどを説明しています。
食育については、文部科学省の担当官が給食時間だけではなく、手紙で食関連のことを家庭に伝え、家庭での食事の指導をしたり、 全国の30%の小中学校で栄養職員が教壇に立っていることを説明していますが、それについて、「このことはもっと必要なことだと思います。 だって献立を作っている人や調理している人が直接伝えることが一番伝わるのですから」と、指摘しています。
レポートではまとめとして、--一番訴えたかったことは栄養バランス・安全性・「食」教育の3つです。“給食なんて、
もう食えねーからカンケーねぇよ”ではなく、栄養バランスが摂れている給食を目標に私たちは、乱れている「食」
を少しでも改善するべきだと考えてくれればと思います。栄養士さんが安全に気をつけるように、私たちも安全な食品選びをしましょう!
それらの底辺には「食」教育があるのです。今やもう生涯学習です。ほんのちょっとずつの積み重ねを大切にすれば必ず次につながるはずです。
その3つが伝わってくれればこの研究の目標は達成です!そしてこれからも「食」を自分のそばに置いて見つめていただければ嬉しいです--
としています。
このレポートは、食のあり方について高校生が自分の問題としてとらえ、給食との比較を通して食に関する行動を考えようと提案するもので、
貴重な声であると思います。
小中学校の学校給食のみならず、幼児教育から高等教育までの教育を通じ、「食」についてどのような関わりをするのか、
広い視野に立って関係者が考える必要があります。
(学校給食ニュース編集(2003/05/27掲載))
[ 03/12/31 食教育 ]