学校給食ニュース

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米油の給食需要高まる

●米油の給食需要高まる
日経産業新聞02年5月23日付によると、 米油最大手のボーソー油脂が学校給食向けの米油を前期比50%増産する。遺伝子組み換え品への懸念から大豆油、 菜種油から米油への移行が起こっていることなどが要因。(02.06.23)

 

[ 02/12/31 遺伝子組み換え ]

その後の学校給食と牛肉の動き(2001.10-2002.02)

その後の学校給食と牛肉の動き(2001.10-2002.02)

2001年10月19日~11月上旬

大阪市は、10月30日より代替献立を元に戻す。食材の確保が可能になったため。(読売新聞10月26日付)
埼玉県岡部町は、10月25日に牛肉の使用再開を決めた。埼玉県では初の再開公表。同町には、町の肥育牛組合や酪農協会が再開を要望していた。 (日本農業新聞10月26日付)
兵庫県、自粛市町村中7市町が再開、51市町はいぜん中止。神戸市も中止のまま。(神戸新聞11月1日付)
神奈川県、12月より4市村が使用再開、のこり31市町村は再開せずか検討中。保護者の不安の声が大きいとのこと。(神奈川新聞11月2日付)
茨城県、自粛の61市町村中8町村が再開、16市町村が自粛継続、36市町村が検討中、1町は産地指定で使用とのこと。 (日本農業新聞11月2日)
札幌市、12月より自粛を解除の方針、市長明らかに。(北海道新聞11月6日)
愛知県半田市、12月より再開と学校給食センター。学校給食運営協議会でも確認(中日新聞11月8日)
福岡県、県内の公立小、中、養護学校978校のうち、再開あるいは年内に再開予定が308校、再開検討中が251校で、 自粛をしたなかの92.7%が前向きとしている。(西日本新聞11月13日)
福岡市、11月8日より順次再開。市教委が納入業者に検査済み証明書の添付を義務づけ。(西日本新聞11月8日)
山形県、おいしい山形推進機構とともに、県内小中学校、高校で給食実施校に県産牛の一斉実施日を行う。食材費の差額は県と関係団体が負担。 市町村教委らと調整中。(山形新聞11月9日)
群馬県、8市町村で1月までに再開。22市町村は再開に向けて検討中。(上毛新聞11月9日)

2001年11月中下旬

農水省まとめの学校給食と牛肉
日本農業新聞01年12月5日付によると、農水省の11月まとめとして、全国の学校給食での牛肉自粛割合3割で回復傾向にあるとしている。 北海道では、199市町村中50市町村が自粛、そのうち解除予定、検討をしているのが45市町村。山形県は、 44市町村中38市町村が県産牛肉を使用し、02年1月には全市町村が使用する。三重県は、自粛が当初67市町村から8町に減る。 山口県では自粛141校中128校が再開。滋賀県も自粛35市町中26市町が再開。長崎、鹿児島、宮崎県は発生前に状況が戻った。 大阪府では自粛40市町村中32市町村が解除方針をとらない。
北海道新冠町、地場産和牛使用に助成
北海道新聞01年12月4日付によると、北海道新冠町では、町内小中学校10校が食材に地場産和牛を使用する場合、代金を町が助成する。 12月中1校2回が上限。1校が行い、2~3校が検討しているという。なお、同町では、 各校とも年数回輸入牛を使う程度で給食に牛肉はほとんど出ていなかった。
農業団体、文部科学省などに牛肉使用を要請
日本農業新聞01年12月1日付によると、BSE問題全国農業団体対策本部は、国産牛肉を学校給食で使用再開するよう文部科学省、全国知事会、 市町村会などに要請することを決めた。
北海道札幌市と石狩市で自粛継続へ
北海道新聞01年11月22日付によると、 学校給食での牛肉再開方針を立てていた札幌市と石狩市では国内2頭目の狂牛病が判明した11月21日に使用自粛継続を決めた。
宮城県の状況
河北新報01年11月17日付によると、宮城県では69市町村のうち54市町村で学校給食の牛肉使用を自粛していたが、 18市町では自粛解除をしている。

12月~2002年1月

02年1月17日限材、牛肉自粛は全国で27%、農水省調べ(日本農業新聞02年1月19日)
熊本県JAグループ対策本部、学校給食への県産牛肉使用を要請する活動を計画(熊本日日新聞02年1月21日)
宮城県古川市でBSE対策集会、学校給食での牛肉使用自粛解除を要望(河北新報02年1月22日)
石川県農林水産部、県内の市町村教育長会、栄養職員会合、PTA協議会役員会などで給食での学校給食使用再会に理解を求める活動。 (北国新聞02年1月29日)
雪印食品牛肉偽装詐欺事件
兵庫県8市町が学校給食での雪印食品製品使用中止を決定、一部には雪印乳業製品中止も(神戸新聞02年1月26日)
愛知県蒲郡市教委は2月から雪印食品製品の使用中止を決定。雪印乳業の牛乳は県教委による業者割り当てのため、使用を継続。 一宮市も雪印食品使用中止を決定(中日新聞02年1月26日)
福岡県宗像市、雪印食品製品の使用中止を決定。福岡市教委は「ここ数年使用実績がない」と。乳業の牛乳等は使用継続。 (西日本新聞02年1月26日)
神奈川県厚木市、従来不使用の雪印食品製品と乳業の粉チーズなど今後グループ品を一切使わないことを決定(産経新聞02年1月26日)
島根県学校給食会、大阪府、岡山市、雪印乳業などグループ製品の取り扱いを中止(産経新聞02年1月26日)
香川県丸亀市教委、大分県臼杵市学校給食センター、雪印ブランドの食品使用を中止(読売新聞02年1月27日)
福岡県直方市教委、雪印ブランド食材の使用を中止決定(西日本新聞02年1月29日)
広島市教委、雪印食品を学校給食食材の指名競争入札から除外。(中国新聞02年1月29日)
福岡県北九州市、雪印食品の使用中止を決定。福間町は乳業も含め中止。(西日本新聞02年1月30日)
北海道室蘭市教委、江別市教委、雪印食品の使用中止。(北海道新聞02年1月30日)
山形県鯉川村、立川町、松山町、雪印食品の使用中止。他市町村も検討中。(山形新聞02年1月30日)
富山県学校給食会、雪印乳業以下グループの製品取り扱い中止を決定。(毎日新聞02年2月1日)

2002年2月

北海道札幌市教委、北広島市教委、雪印食品の牛肉偽装を受け同社製品の使用を中止(北海道新聞02年2月7日)
北海道稚内市教委、雪印食品の牛肉偽装を受け、雪印グループ全商品の使用を中止(北海道新聞02年2月8日)
青森県岩木町教委、雪印グループ全商品の使用中止を決定(河北新報02年2月8日)
北海道北見市教委、各校に牛肉使用量を増やすよう要請(北海道新聞02年2月15日)
全国の市立・および東京23区立小学校約14000校に共同通信社が行った調査で約4割が雪印グループの製品を何らかの形で排除していた (日本経済新聞02年2月18日)
兵庫県内、給食の牛肉中止で給食費が余る。臨時のデザートや料理を増やすなどの対応(東京新聞02年2月20日)
茨城県などが主催する茨城県牛海綿状脳症対策本部は、県独自のBSE検査を行うこと、学校給食の牛肉使用再開を指導継続することを決めた。なお、 2月15日現在、茨城県84市町村中自粛をしていた62市町村のうち49校が再開している(日本農業新聞02年2月21日)
給食牛肉偽装疑惑
02年2月21日付け朝日新聞ほか、2月中旬から、大阪市、大阪府、 兵庫県内の学校給食に使われている国産牛肉が輸入牛肉であったとの疑いが広がった。朝日新聞の調査では、 複数の業者が以前から輸入牛肉を国産牛肉として学校給食用に納入していたとしている。また、大阪市教委、大阪府教委、 神戸市教委などが調査を行った。疑惑がもたれていた業者ヒルマは疑惑を否定していたが、納入中止、自粛要請などを受け、急速に経営環境が悪化、 自己破産申請へ追い込まれた。
農水省、牛肉自粛の動向をホームページで公開
農林水産省ホームページでは、農水省関係機関が調べた自治体、学校での牛肉自粛動向について、毎月の状況を公開している。6月14日現在、 全国平均で14%の自治体が牛肉自粛を継続中。

 

[ 02/12/31 BSE ]

輸入食品と食品添加物 新しい食品添加物が次々に認められることに

輸入食品と食品添加物
新しい食品添加物が次々に認められることに

初出記事が古いため、情報が現状と合わなくなっていることがあります。
最新の情報を別途入手してください。

 新しい食品添加物が認可されています。これまで日本では使われることがなく、諸外国で使われている食品添加物が、輸入食品の増加につれ、 問題になっていました。
 認められていない食品添加物が含まれた輸入食品は、輸入することができません。国内で流通していた食品に、 このような食品添加物が入っていたため、回収するということがたびたび起きています。
 そのためなのか、これまでより簡単に食品添加物を認める動きが起きています。
 2002年8月1日に認可された食塩添加物のフェロシアン塩を例に、最近の食品添加物のあり方について考えてみましょう。

●フェロシアン塩が食品添加物になるまで
 フェロシアン塩は、 食塩を固まりにくくする添加物です。
 日本ではこれまで食品添加物として認められておらず、使われることもありませんでした。
 輸入食品の急増につれ、フェロシアン塩の問題が1999年頃から取り上げられるようになっていました。
 2002年6月14日に、輸入販売した中国青島産食塩にフェロシアン塩が含まれていたと、埼玉県のスーパー「マルヤ」が保健所に届け出し、 回収しました。
 6月22日に、イオン株式会社は、ジャスコ等で販売したノルウェー産スモークサーモンにフェロシアン塩が含まれていたとして自主回収を発表。
 2002年に入り、食肉偽装事件や違法添加物などの事件が起こり、食品の回収騒ぎが次々に起こっている中で、 大きな問題に発展するかと思われました。
 7月11日、厚生労働省は、厚生労働省薬事・食品衛生審議会にフェロシアン塩を食品添加物とするための諮問をします。
 さらに、翌12日、厚生労働省は、「指定外添加物(フェロシアン化物)を使用する食塩及びその食塩を使用し製造した食品への対応」 という文書を発表します。
 そこには、
 ・フェロシアン塩は、コーディックス委員会で安全性が確認されており、アメリカやEUで古くから使われていて安全である。
 ・食品添加物として指定していないので、法律上形式的には違法になるため、製品回収等で市場が混乱することは起こしたくない。だから、 7月中に食品添加物として指定する。
 ・フェロシアン塩を含む食塩を使った(キャリーオーバーした)加工食品については、「国民生活を配慮して」輸入・販売の規制をしない。
 ・食品添加物指定までの間、違法となるフェロシアン塩添加食塩については、輸入・販売の自粛を求める。
 ・他の国際的に使われ、安全性が確認されている添加物も指定する方向。
 という内容がありました。
 7月26日、薬事・食品衛生審議会(会長:内山充)でフェロシアン塩は食品添加物に指定しても良いという答申があり、8月1日に指定されます。
 同じ7月26日、「国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定についての考え方(案)」が示され、 コーディックスの食品添加物専門家会議で安全性評価が終了し、安全性が確認され、かつ、アメリカやEU等で使用が広く認められ、 国際的に必要性が高い添加物については、積極的に指定していくことが決まりました。
 さらに、安全性審査について、必要な資料は「弾力的な運用」で行うとしています。
 ここに大きな問題がありました。

●安全はあとまわし?
 食品添加物を指定するかどうか、食品衛生審議会が食品衛生法に基づいて審議します。その際、重要なデータとして、急性毒性、慢性毒性、 催奇形性(遺伝子に傷がつくかどうか)、変異原性(発ガン性)を調べます。実際には、その実験結果や論文をもとに審議会で審議されるのですが、 フェロシアン塩には、急性毒性を除く実験データ、論文がありません。

 そのような状況でも「弾力的運用」で審議され、あっという間に食品添加物として指定されてしまいました。
 しかも、これがはじまりです。「国民生活に配慮して」これから次々に指定すると明言しています。
 日本の食品安全行政は、どこにいこうとしているのでしょうか。

●日本の食品添加物はどうなる
 WTO(世界貿易機関)ができてから、 関税以外の貿易障壁をなくそうという動きが盛んです。食品添加物や残留農薬、ポストハーベスト農薬といった国ごとの基準を世界中統一し、 輸出入しやすくすべきだという考え方が「ハーモナイゼーション」という言葉で進められています。そのお先棒をかつぐのがWHO/ FAOのコーディックス委員会です。
 食品添加物や残留農薬、遺伝子組み換え食品、有機農産物などの規格基準をここで決め、それよりも厳しい基準に対しては、 貿易障壁になるという口実を輸出国に与えています。
 日本は、まだまだ不十分だと言っても、食品添加物など世界的には厳しい基準を持っていました。すでに残留農薬については、 ずいぶんと基準が引き下げられました。
 次は、食品添加物のようです。輸入食品に頼る限り、この動きは止まりそうもありません。
 安いから、便利だからと輸入食品にばかり頼っていると、気がついたときにはとんでもないことになっているかも知れません。フェロシアン塩は、 その「安全性」以上に大きな問題を、輸入大国日本で暮らす私たちに投げかけています。

●給食食材は安ければいいのか
 学校給食でも輸入食材を使用することがあります。また、国産となっていながらも実は輸入食材だったということも、 これまでたびたび起きています。
 予算の関係、給食費の関係で、同じ食材ならば安くしようと考えるのは自然なようですが、「安さの理由」を考え、 食材の選択にはこれまで以上に気を配りたいものです。

注:フェロシアン塩…指定されたフェロシアン化物は、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化ナトリウム。
参考:
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
塩の情報室 http://www.siojoho.com/

学校給食ニュース02年9月号より

[ 02/12/31 農薬・添加物など ]

輸入野菜の食品衛生法違反と、国内での無登録農薬問題

食品の安全性~輸入野菜の食品衛生法違反と、国内での無登録農薬問題

初出記事が古いため、情報が現状と合わなくなっていることがあります。
最新の情報を別途入手してください。

 雪印乳業の牛乳による食中毒事件、BSE(狂牛病)問題への農水省の対応、雪印食品や日本ハムフーズの牛肉偽装事件、そして、 協和香料化学による違法添加物事件、さらには、輸入食品の無認可添加物使用により、食品回収が次々に起こっています。
 また、中国産冷凍ほうれん草をはじめとする輸入野菜、加工品の残留農薬が基準を超え、食品衛生法違反となる例が数多くあり、 国内でも無登録農薬を販売していた業者が逮捕され、使っていた農家は生産物の廃棄を求められるなどの事件が起きています。
 食品添加物については、前号でまとめたように、これまで安全性に配慮して新たな食品添加物認可には厳しい姿勢を持っていた厚生労働省が、 海外ですでに認められている食品添加物については資料などが不足しても積極的に認可する方針を打ち出しています。
 今回は、輸入野菜の残留農薬などの問題と、国内での無登録農薬使用問題について、整理しておきます。


●輸入野菜の残留農薬など

 輸入食品は、厚生労働省が「食品衛生法」にもとづき、検疫所で、残留農薬や違法添加物、あるいは、カビ毒のアフラトキシンや腐敗、 食用にならない魚などを調べ、水際で安全性を確保することになっています。しかし、実際には、検疫所の数も、人数も限られ、 増え続ける輸入食品に書面上はともかく、全部を常に検査しているわけではありません。そのため、輸入されたあとに、 各都道府県の保健所や市民団体などが調査を行っています。そしてしばしば、残留農薬が基準値を上回っていることなどが分かります。
 2002年に大きく取り上げられたのは、中国産冷凍ほうれん草の残留農薬基準違反でした。これは、 市民団体の調査で明らかになったことで2002年3月のことでした。その後、厚生労働省が調査を開始し、 国内では禁止農薬となっている殺虫剤のパラチオン、殺虫剤のクロルピリホスの基準値超えなどがみつかります。クロルピリホスの場合、 残留基準値0.01ppmに対して、2.5ppmと、250倍の残留品もありました。厚生労働省は、7月10日に、 中国産冷凍ほうれん草の輸入自粛を要請、続いて、9月9日に、中国産冷凍ほうれん草を使用した加工食品の輸入自粛を要請。 いずれも食品衛生法違反の可能性が高いということからです。
 さらに、中国産の春菊、セロリ、枝豆の残留農薬基準値違反や蜂蜜の抗生物質残留などがみつかります。また、 アメリカ産の冷凍ほうれん草などからも、残留農薬基準違反がみつかりました。
 厚生労働省の輸入食品監視業務ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html) をみてみると、毎月、数多くの食品が検疫所の段階で食品衛生法違反として廃棄などを求められています。野菜だけでなく、肉、魚、 無数の加工食品など、その種類の多さには本当に驚きます。その上で、輸入食品の食品衛生法違反が実際に販売されている商品からみつかっています。 すべての輸入食品が検査されているわけではないということを理解しておくべきです。
 国内のスーパーなどでは、輸入野菜の販売額が落ち込み、国産品が売れるようになったといいますが、新聞などの報道では、 輸入野菜の値段の安さや品ぞろいは魅力的なので、問題が解決すれば、販売額は戻るとされています。
 しかし、今回の中国産輸入野菜の問題が解決したからといって、 すべての輸入食品の安全性が確認されたということにはならないことを忘れないようにしたいものです。


●国内での無登録農薬使用問題

 輸入野菜への不安が高まっていた2002年7月、国内の農家に衝撃が走りました。7月30日に、 すでに日本国内では使用が禁止された農薬を農家に販売していた2業者が、「農薬取締法」違反「毒物及び劇物取締法」違反で逮捕されました。 その後、農林水産省が各都道府県に調査を指示、9月25日現在、無登録農薬を販売した業者数は165業者、 購入した農家数は2556農家になりました。このうちには購入しても使っていないという農家も含まれます。
 販売されていたのは、殺菌剤ダイホルタン(カプタホール)、殺虫剤プリクトラン(シヘキサチン)、植物成長調整剤NAA(α- ナフタリン酢酸ナトリウム)、殺菌剤PCNB、植物成長調整剤ダミノジッド、殺菌剤マンゼブです。このうち、マンゼブは、 国内で農薬登録されていますが、今回は登録してある業者以外の製品で安全性が確認できていないためとなっています。それ以外は、すべて、 かつて日本で農薬として登録されていましたが、安全性への問題があるため、失効し、農薬として使用できないものです。
 使われていた作物は、果物が、リンゴ、ミカン、サクランボ、モモ、ナシ、洋ナシ、柿、ブドウ、スイカ、メロン、イチゴなどで、野菜が、 キャベツ、カボチャ、ハクサイ、ナス、キュウリ、ブロッコリー、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマトイモ、アスパラガス、レタス、ゴボウなどです。 さらに、花や造園業などでも使われていました。
 調査後は、使用していた場合、その作物を廃棄するなどの指導が行われています。
 なぜ、無登録農薬が使われるかといえば、効き目が高いからです。かつて使われていた農薬は、人体や自然環境、野生生物への影響が大きい反面、 効き目が高かったのです。今の農薬は、以前に比べれば人体への影響や、自然環境、野生生物への影響が少なくなり、分解性も高くなっています。 その分だけ、農薬の効果が続く時間が短いなどの、使う側にとってはマイナスになる要素もあります。病気予防や殺虫剤として、 手にはいるなら違法で安全性に問題があっても効き目の高い農薬を使いたいと思う農家が、一部であっても存在していたことを、 今回の事件が教えてくれます。
 輸入野菜の不安が続く中、国内野菜や農産物への期待と関心は高まっています。これを機に、農家には、適正な農薬使用や、減農薬、 有機栽培への取り組みを求めたいところです。一方、消費者の側も、自分が食べる農産物についてもっと知る必要があります。


●地産地消のすすめ

 学校給食の場合、子ども達は食材を自分たちで選んでいません。無条件に食べさせられるわけです。食材を選択する自治体や栄養士、 あるいは、実際に食材に触れる調理員が、その食材についてきちんとした情報を持っておくことが必要になっています。
 どこで、誰が、どのようにして栽培し、加工したのか。このことを知り、そして、その情報を、生きた知識として子ども達に伝えること、 食品を選ぶ力を身につけることが、ますます大切になっています。
 食材の情報を知る上で、もっとも確実なのは、自分の目で見て、作り手を信頼できるかどうか確かめることです。 学校給食で地場産農産物の使用が増えています。地域内で生産し、消費することが望ましいのは、 生産から消費までをすべてお互いに知ることができるからです。また、そのことを食べる子ども達に教えることができるからです。
 総合学習や食教育、あるいは、地域産業の育成など、学校給食での地場産農産物の使用は、多くの目的で実施されています。それだけでなく、 安全な、安心できる食材を、生産者らと一緒になって作り上げていく点でも、地産地消は望ましい方法です。

(学校給食ニュース 2002年10月号)

[ 02/12/31 農薬・添加物など ]

時事情報2002年 地場型を中心に

●高知市の地場産状況
高知新聞02年12月7日付によると、高知市の学校給食での青果物自給率は約50%となっている。02年度は加工品の導入をはじめた。 高知市農協女性部と連携し、山菜漬け、いちごジャム、干し大根、梅干し、味噌などを扱い、これにより地場産の取扱の回数が増えている。 (03.01.02)

●山形県天童市、地場産果物を学校給食に
日本農業新聞02年12月8日付によると、山形県天童市では地場産のリンゴや洋ナシを市内の学校給食で出している。(03.01.02)

●山口県岩国市で伝統野菜を給食に
日本農業新聞02年12月12日付によると、山口県岩国市では伝統品種の岩国赤ダイコン、笹川錦帯白菜の保存、復活を目指しており、 生産者を増やしている。あわせて、笹川錦帯白菜を市内の小中学校の給食に提供し、地場伝統野菜を子どもたちの教育材料とした。 (03.01.02)

●栃木県岩舟町の給食
下野新聞02年12月18日付では、記者ノート2002の中で栃木県岩舟町の給食について特集した。岩舟町では、 自校直営方式で小中学校5校を運営している。調理に手間がかけられ、できたてを出せる、衛生面で望ましいとして、同方式を続けている。 (03.01.02)

●愛媛県今治市、パン用小麦の作付拡大
日本農業新聞02年12月19日付によると、愛媛県今治市では01年9月より地場産小麦パンを定期的に学校給食で出している。 現在は週2回のパン給食で約3カ月分であり、作付に支援制度をつくり、今後も作付を拡大していくとしている。品種はニシノカオリ。なお、 今治市では、地場産減農薬米で週3回の米飯給食を実施、市内産大豆の豆腐、有機栽培野菜なども学校給食にだしている。(03.01.02)

●神奈川県座間市の地場産
日本農業新聞02年12月24日付によると、神奈川県座間市の野菜生産グループは、市内11の小学校に年間20~30品目の野菜を供給している。 減農薬栽培で10年前から供給を開始。野菜には生産者の名前を記入して届けている。給食残さのたい肥化などにも取り組んでいる。 (03.01.02)

●秋田県大内町で全食材地場の特別給食
秋田魁新報02年11月19日付によると、秋田県大内町では町内3小学校2中学校でまるごと大内産給食を11月18日に実施した。ご飯、 豚肉のピーナツ炒め、ほうれん草とキャベツのおひたし、ごぼう、葱などの味噌汁で、すべての食材を町内産とした。 大内町では町内産の米や野菜の取り組みを今年より開始している。(03.01.02)

●山梨県上野原町の地場産給食
山梨日々新聞02年11月14日付によると、山梨県上野原町では、 町内小中学校15校中10校の給食をつくる学校給食センターで地場産農産物を扱っている。同センターは1900食。地場の産地と協議し、 ジャガイモ、ダイコンなどを取り扱う。栽培状態や納品状態を生産者側、センター側で協議し、生育状態によっては業者への注文、 解約などを行うなど細かい対応でセンターでの地場産給食を実現させている。(03.01.02)

●神奈川県の地場産動向
神奈川新聞02年11月8日付では横浜市青葉区の小学校と平塚市のセンター給食での地場産使用を特集している。横浜市青葉区の田奈小学校では、 00年11月より地場産野菜を使用している。月10種類程度を月を通してすべて使用している。なお、横浜市では、 01年度に51校が地場産の取り組みを行っている。JAの野菜研究部会が中心となっている。平塚市の学校給食センターでは、01年10月より、 月1種類の地場産野菜を使用し、月3回程度出しているという。(02.12.02)

●新潟県、米パン普及拡大
日本農業新聞02年11月22日付によると、新潟県は、02年度より小中学校の給食で米パン導入を推進している。 03年1月まで9市町村33校で試験導入し、その後03年度に半数を目標に導入する。原料の米は新潟県産米。(02.12.02)

●福島県の地場産調査
日本農業新聞02年11月24日付によると、福島県教育委員会は、完全給食を実施する87市町村で地場産農産物の状況を調査した。米は100% 県内産。野菜ではキュウリ、ほうれん草、アスパラガスなどが高率で、果物では梨、モモ、リンゴが高かった。このほか、豚肉、卵、牛肉、小麦粉、 豆腐、みそなどを調査している。(02.12.02)

●東京都日野市で地場産給食展
日本農業新聞02年11月23日付によると、東京都日野市で1983年より開始した地場産給食の取り組みが20周年となることから、日野市が 「日野の学校給食と農業展」を開き、市民に公開した。日野市は、小中学校11600食。野菜は年44トン、全量の約1割を使用している。 (02.12.02)

●山形県天童市で、給食野菜を無料供給
日本農業新聞02年11月26日付によると、山形県天童市の野菜生産農家1世帯が、市内の小中学校17校、 6400食分の給食をつくる学校給食センターにほうれん草、白菜計360kgを供給した。10年間このとりくみを続けている。 輸入冷凍野菜が使われていたことから、地場産の味を知ってもらおうと毎年秋に食材を供給している。(02.12.02)

●秋田県で、県産小麦パン増産へ
日本農業新聞02年11月29日付によると、秋田県は、3学期より県産小麦100%、天然酵母使用のパンを学校給食に導入する。小麦は、 ハルイブキ、ネバリゴシ。今後、学校給食用小麦を生産する農家に県が助成し、生産を増やすとしている。(02.12.02)

●兵庫県神戸市の地場産野菜
読売新聞02年11月27日付によると、神戸市は、01年7月より、減農薬減化学肥料の「こうべ旬菜」 ブランド野菜を市内の小学校など177校85000食分に取り入れた。キャベツ、青葱、ナスなどを導入した。(02.12.02)

●新潟県中頚柿崎町、生産者特定米使用
新潟日報02年9月28日付によると、新潟県中頚柿崎町は、従来学校給食に町内産コシヒカリを使用してきたが、 これをさらに生産者が分かるよう仕分けして供給することとした。児童らに米生産者が分かるようにした。(02.11.18)

●滋賀県甲西町で環境こだわり米使用
日本農業新聞02年10月27日付によると、滋賀県甲西町では、県が認証している減農薬栽培の環境こだわり米を学校給食に使用した。甲西町は、 給食センター方式で、7小学校、3中学校、1幼稚園の約4500食をつくり、年間36トンの米を使用している。 全量をこのこだわり米に切り替えた。(02.11.18)

●群馬県板倉町地場産給食試行
上毛新聞02年10月22日付によると、群馬県板倉町は、自校方式で小中学校5校。米飯給食は週2回で米飯のみ家庭から持参となっている。 地場産を拡大するための検討として、01年度、02年度と北小学校で地場産米の自校炊飯と野菜10品目の地場産化がはじめられた。 生産者の紹介などが放送で流されている。米飯給食が好評なため、北小学校では自校炊飯の米飯回数を3.5回に増やした。今後、 他校にも広げていく予定。(02.11.18)

●岩手県二戸市、新特産の五穀ラーメンを給食に
日本農業新聞02年11月5日付によると、岩手県二戸市は、市とJA北岩手で開発した新しい特産品で、小麦に地元のヒエ、アワ、タカキビ、 アマランサスを約1割混ぜた五穀麺を売り出している。市内の飲食店、店舗で販売が拡大している。この五穀ラーメンを市内13校の小中学校に、 月1回、学校給食献立として取り入れた。また、総合学習で五穀ラーメンについて学習した学校もあるという。(02.11.18)

●群馬県高崎市、給食向けに地場産醤油開発
毎日新聞02年11月8日付によると、群馬県高崎市学校栄養士会は、減農薬の高崎産大豆を使い、 埼玉県桶川市の業者に委託して学校給食用の醤油を開発した。遺伝子組み換えに対して、地場の安全な大豆を使おうという動きから生まれたもの。 地元農協での市販もはじまった。(02.11.18)

●栃木県で地場産学校給食デー
下野新聞02年10月3日付によると、栃木県農務部は地産地消を推進する目的で、10月に学校給食デーを設け、 県産農産物を利用した給食実施を行う。(02.10.21)

●山梨県鰍沢町の地場産給食
日本農業新聞02年10月12日付によると、山梨県鰍沢町の鹿島集落では農家25戸が鹿島根っ子の会をつくり、 学校給食への野菜供給を行っている。町内小中学校約400食にジャガイモ、タマネギ、ニンジンを供給、年間使用量の3割となっている。また、 生産者が学校で団子づくりを指導するなどの交流も行っている。(02.10.21)

●千葉県印旛村で地場産米
千葉日報02年9月16日付によると、千葉県印旛村では従来県学校給食会からの県産米を学校給食に利用していたが、 02年度より地産地消方針から印旛村産米を使用している。9月からは新米となった。 他の食材についても契約栽培するなどして地場産に切り替えたいとしている。(02.10.21)

●秋田県琴丘町、地場産トマトの給食
日本農業新聞02年9月17日付によると、秋田県琴丘町学校給食センターは、米、味噌に続き、地場産トマトを学校給食に導入した。JA、 教育委員会、給食センターなどで協議し取り組んだもので、地元の新規就農者らの要望を受けて取り組まれた。(02.10.09)

●宮崎県えびの市で地場産米
南日本新聞02年9月7日付によると、宮崎県えびの市は2学期より、小学校8校、 中学校4校で市内産ヒノヒカリを使用した週5日の完全米飯給食を開始。従来は県産のブレンド米を使用。従来の米との差額は、 市とえびの市JAが負担。市内産米の使用は宮崎県ではじめての取り組み。(02.10.09)

●長野県須坂市、地場産野菜を定期使用
日本農業新聞02年9月18日付によると、長野県須坂市学校給食センターは、 ジャガイモをはじめとする地場産野菜を年間を通して使用することとなった。従来は、リンゴなど、単発的な使用であったが、地元JAらと検討し、 取り組みがはじまった。今後、品目を増やす予定。(02.10.09)

●神奈川県秦野市、地場産ゆで落花生を給食に
日本農業新聞02年9月20日付によると、神奈川県秦野市では、地元特産の落花生を茹でて冷凍し商品化しているが、 これを昨年から学校給食で採用している。また、市学校教育委員会では、特産品や地場産野菜を給食に取り入れていく方針。(02.10.09)

●福島県新鶴村、たい肥循環で地場産野菜
河北新報02年9月23日付によると、福島県新鶴村では、給食センターや村の宿泊研修施設の生ごみを肥料化し、地元農家へ供給、 できた農産物を給食や施設の食事に用いる地産地消モデル事業を開始した。予算化し、生ごみから肥料をつくる処理機を導入。 年間20トンの生ごみを処理し、10トンの土壌改良材をつくるとしている。(02.10.09)

●宮城県矢本町で、農業体験と学校給食食材
日本農業新聞02年9月24日付によると、宮城県矢本町では、JA青年部とともに矢本町わんぱく農業探検隊の事業を行い、 小学生の親子に野菜作りを指導。11月中旬には、農業体験でできた野菜を学校給食の食材として扱う。今年で4年目の事業。(02.10.09)

●茨城県土浦市で、地場産レンコン入りパン
日本農業新聞02年9月26日付によると、茨城県土浦市では、地場産農産物を学校給食に利用し、レンコン、ハクサイ、長ネギ、ゴボウ、ニンジン、 ジャガイモなどを取り入れてきた。特産品のレンコンは、01年度よりレンコン麺を給食に取り入れ、このほど、 パンにレンコンを切り入れるレンコンパンを開発、学校給食に提供した。(02.10.09)

●山形県鶴岡市でオール鶴岡産給食の日
山形新聞02年7月19日付によると、山形県鶴岡市では地場産品で給食をつくるオール鶴岡産給食が行われた。各学期に1回、 年3回行われるもので、02年度より開始。初回は、ごはん、牛乳、麻婆豆腐、中華サラダ、アンデスメロン。豚肉は、 給食残菜を利用して育てられたエコピッグが使われた。(02.09.11)

●高知市で地場産の取り組み
高知新聞02年7月12日付によると、高知市の五台山小学校で地場産の白菜、ほうれん草を使った給食が行われた。 学期に1度の自由献立の日に地場産を使う試みは昨年からはじまっている。(02.09.11)

●鹿児島県垂水市の地場型給食
南日本新聞02年7月6日付によると、鹿児島県垂水市は01年11月に「たるみずの食と農・漁交流推進協議会」を設立、 学校給食へ地場産野菜を供給するための体制づくりに入った。その結果、たるみず楽農百笑倶楽部が誕生し、市の給食センター(6校供給) と1小学校に4月より野菜の供給をはじめた。すでに野菜納入量の6割が地場産となっている。また、同生産グループは、 土づくりや栽培方法にこだわり、一部には有機農産物生産者もいる。(02.08.18)

●山形県南陽市梨郷小学校の地場型給食
日本農業新聞02年7月16日付によると、山形県南陽市の梨郷小学校では10年ほど前から地区の農家が給食野菜供給の会を組織、 交代で野菜を朝どりし、学校給食用に届けている。梨郷小学校は児童数113人、年間31品目を供給している。学校の廊下には、 生産者の名前と野菜のイラストを張り出し、生産者と学校との交流も行っている。(02.08.18)

●札幌市、03年度より米飯給食を週3回
北海道新聞02年6月22日付によると、札幌市教育委員会は、 2003年度より市内小中学校の給食で米飯の回数を現状の週2回から週3回に増やす方針を固めた。月45円~67円の給食食材費増については、 市学校給食運営委員会で給食費について審議するとしている。(02.07.18)

●秋田県湯沢市でふるさと給食
秋田魁新報02年6月21日付によると、湯沢市では、市内産の山菜ミズやキュウリ、サクランボ、秋田県産大豆みそ、米、 などを使用したふるさと給食を行った。本格的な地場産食材給食ははじめての試み。(02.07.18)

●兵庫県山崎町の地場産給食
日本農業新聞02年7月10日付によると、兵庫県山崎町は、9小学校3中学校でセンター方式。米は町内産減農薬米、 野菜や果物は10種ほどが町内産100%。みそ、豆腐も町内産素材を町内で加工、野菜全体の町内自給率48%となっている。また、 毎日の献立表に食材を作った生産者の名前を入れ、生育状況などを紹介している。さらに、給食中心の授業参観や食の講演会、 給食センターでの給食祭で町ぐるみの地場産給食を実現している。(02.07.18)

●栃木県小山市で、地場産和牛を給食に
日本農業新聞02年6月18日付によると、栃木県小山市では、17日、市内の小中学校で市内産黒毛和牛を利用した給食を提供した。 地場産消費拡大の一環。キロあたり700円を市が助成した。米、ジャガイモ、タマネギも地場産で、今後、地場産の米粉パン、 野菜の導入も検討するとしている。(02.06.23)

●富山県高岡市で地場産タマネギ
日本農業新聞02年6月14日付によると、 高岡市地場野菜等地産地消推進アクションプランの一環として栽培されたタマネギが学校給食に導入された。6月から9月に23トンを利用し、 児童生徒、保護者にPRする。高岡市のタマネギ生産は少量だが、地産地消につながるとして行われた。今後他の作物への取組みも行う予定。 (02.06.23)

●静岡県、地産地消推進運動
静岡新聞02年5月20日付によると、静岡県は、2002年度、しずおか地産地消推進運動を行う。生産、販売団体、学校関係者、 消費者らと協議会を設立し、促進策を検討する。(02.06.23)

●香川県国分寺町の地場型給食
日本農業新聞02年6月5日付によると、香川県国分寺町では、国分寺町給食会が地場農産物の導入に積極的である。小学校2、 中学校1校の同町では、うどん、米、柑橘類、野菜類などを地場産品として導入している。また、新入生の保護者を対象にした試食会も行っている。 (02.06.23)

●青森県、地場産導入への促進事業
河北新報02年5月14日付によると、青森県は2002年度、「学校給食ふるさと産品活用促進事業」を実施。 地元産品を使った給食メニュー集を作成し、各校に配布する。(02.05.24)

●宮城県本吉町、地場産活動の続報
日本農業新聞02年5月8日付によると、宮城県の学校給食地域食材利用推進事業モデル町となっている本吉町では、 町学校給食地域食材提供連絡協議会(あおぞら給食連絡会)が設置され、作物ごとの供給計画などを作成した。本吉町は、 小中学校共通のセンター方式で、約1000食を作っている。(02.05.24)

●宮城県古川市の地場型給食
大崎タイムス02年1月1日付によると、宮城県古川市では市内の敷玉小学校が6年前よりPTA、 JA青年部など13農家で敷玉小学校野菜部会を結成している。現在は20農家となり、新鮮な食材を使い、子どもたちに関心を持ってもらい、 農業や自然、食への関心を高め、学校と地域、家庭の連携を強めることを目的に活動をしている。根菜、葉物、タケノコやイチゴ、 メロンなどが同校の学校給食に登場している。学校では、家庭科、生活科、社会科などと連携がはかられている。また、 他の小中学校でも同様の取組みがはじまっている。(02.05.24)

●兵庫県豊岡市、無農薬合鴨米使用
北日本新聞02年4月23日付によると、兵庫県豊岡市では、市内で合鴨を除草に活用した無農薬栽培「アイガモ米」を学校給食に使用する。 月1回程度。豊岡市では、コウノトリの野生復帰に向けた取組みが進められており、農薬を減らす一環として合鴨稲作が行われている。 (02.05.24)

●滋賀県、県産小麦10%配合
日本農業新聞02年4月27日付によると、滋賀県は、2002年4月より県内の小中学校給食で使用するパンとソフト麺の原料小麦のうち10% を県産小麦とする。従来は輸入小麦100%。今後、配分を増やすとしている。(02.05.13)

●岩手県、県産小麦30%のパンに
日本農業新聞02年4月5日付によると、岩手県は県内すべての学校給食用パンに県産のナンブコムギを30%配合する。従来は、輸入小麦100%。 地産地消をすすめる運動の一環として。(02.04.20)

●山梨県鰍沢町、遊休農地で給食食材
毎日新聞02年4月8日付によると、耕作放棄地や不作付け地が全国的に広がる中、山梨県鰍沢町鹿島地区では、 放棄された畑を元に戻す取組みが行われている。87年に鹿島根っ子の会ができ、91年より町の要請で学校給食に野菜を供給することとなった。 ジャガイモ、タマネギ、ニンジンを出荷し、定着している。それにつれて、 地区の遊休農地は4670平方メートルから1477平方メートルと減少し、農地の復元ができている。(02.04.20)

●長野県の地場産給食について調査
日本農業新聞02年4月5日付によると、 長野県農村生活マイスター協会が県内の291カ所すべての学校給食調理場を対象に地場産についての実態調査を行った。回答は233カ所からで、 155カ所が地場産農産物を利用、問題点として数量がそろわない、期間が限られる、手間が増えるなどがあった。また、 利用していない調理場の半数が生産者が見あたらない、連絡連携の機会が欲しいなどとしている。(02.04.20)

●鳥取県河原町、7割地場産
日本農業新聞02年4月11日付によると、鳥取県河原町は、昨年度より、町内女性グループが納入する農産物に合わせて学校給食献立を立てている。 センター方式で、1幼稚園、4小中学校が対象。毎月20日頃に品目ごとの収穫時期を提示、これをもとに給食センターが献立を立て、納入する。 これによって、7割が地場産となっている。(02.04.20)

●熊本県宮原町、商店街、農家、学校給食の地産地消
熊本日日新聞02年3月15日付によると、熊本県宮原町では、地元商工会と生産者グループが協力し、 地元農産物の流通のための産直コーナーをショッピングセンターに設置した。これにより、 地元商店が納入する学校給食食材ルートに乗ったことになり、給食への地場産農産物利用がスムーズになる。(02.03.30)

●山口県長門町で地場産イチゴなど
日本農業新聞02年3月14日付によると、山口県長門市で地元産イチゴが給食に出され、生産者、栄養士、 農林事務所職員がイチゴについて話をした。長門市では市内小中学校に地元農産物を順次登場させるとしている。(02.03.30)

●宮城県多賀城市、地場産野菜マップを配布
河北新報02年3月12日付によると、宮城県多賀城市の学校給食センターは「給食の地域やさいマップ」を作成し、市内の小中学校に配布した。 地図には、栽培場所などのほか、栽培する多賀城市農協学校給食部会のメンバーを顔写真入りで紹介した。(02.03.30)

●群馬県太田市、地場産米粉パン導入
日本農業新聞02年3月10日付によると、群馬県太田市は02年度より月に1~2回程度で米粉パン(バターロール)を学校給食に使用する。 1回の使用で約13300食となり、米1350kg分。回数は徐々に増やすとしている。市内産米を新潟県で米粉に加工、小麦グルテンを加える。 市内でパンに加工し給食に出す。(02.03.30)

●佐賀市、給食は全量市内産米
日本農業新聞02年3月8日付によると、佐賀市は02年度より市内小中学校の給食で使用する米を全量市内産ヒノヒカリとする。JAと市教委は、 あわせて地産地消をアピールするとしている。(02.03.30)

●広島県高宮町などで、地場産畜産加工品
中国新聞02年3月8日付によると、広島県高田郡高宮町で地元産豚肉や牛乳を使用したソーセージやヨーグルトを、 高宮町で5年前より学校給食に使用していたが、郡内の5町や近隣の筒賀村でも導入する。町や農協が出資してつくられた製造所では、 作り方のパネルなどを学校に展示してもらうなどの計画を立てている。(02.03.30)

●佐賀県、月1度県産デー
日本農業新聞02年3月6日付によると、佐賀県は02年度より「ふるさとの食の日」を設定し、おかずの材料を県産8割(重量) 以上利用する日を年10日以上行う。あわせて、食材の紹介資料を児童生徒に配布する。助成額は、ひとりあたり140円。(02.03.30)

●広島県東広島市で地場産ネギ
日本農業新聞02年3月17日付によると、東広島市の西志和小学校で、地元産のネギを学校給食に取り入れている。01年に3年生が生産者を訪ね、 学習。購入先を量販店からJAに変え、さらに、給食の野菜についてのクイズなどを出して、残食を減らす工夫をし、効果を上げているという。 (02.03.30)

●山形県、地産地消の推進事業
日本農業新聞02年3月1日付によると、山形県は02年度より地産地消推進事業を行う。学校給食で利用割合の多い大根、人参、キャベツ、 玉葱などの生産量が少ないため、産地形成を行うことや減農薬栽培のグループによるあらたな産地形成への経費助成などを行う。(02.03.30)

●愛知県安城市、地元牛を給食に
日本農業新聞02年3月22日付によると、愛知県JAあいち中央肥育牛部会は、学校給食食材として牛肉400kgをはじめて提供し、 安城市内27の小中学校でハヤシライスとして給食に登場した。(02.03.30)

●秋田県大内町、地元牛を給食に
日本農業新聞02年3月1日付によると、JA秋田しんせい和牛改良部会大内支部が大内町内産の牛肉約44kgを町内の学校給食用に無償提供した。 町内3小学校、2中学校でハヤシライスとして供された。(02.03.30)

●千葉県市川市で地場海苔
千葉新聞02年1月29日付によると、千葉県市川市は、市川産海苔を学校給食に使用するための事業を行っている。また、 市内小学校13校で海苔漉き体験も行われている。(02.03.03)

●福岡県、米飯学校給食郷土料理セミナーをひらく
日本農業新聞02年2月6日付けによると、福岡県は米飯学校給食郷土料理セミナーを5日に開き、郷土料理研究家で料理学校の校長をまねき、 四季の郷土料理を栄養士に提供した。米の消費拡大と地場産給食の拡大を目的に県主催ではじめてひらかれたもの。(02.03.03)

●福島県、全県で市町村産米使用へ
福島民友02年2月9日付けによると、福島県学校給食会は、学校給食の米飯を学校所在地の市町村産に切り替えることを決めた。 従来は県産米だったが、地場産使用の要望が高いため決定した。1村のみ米の生産量が少ないため郡内産となり、89市町村は地元産となる。 県経済連を通じて購入する。あわせて、県産小麦を配合しためん用小麦粉の開発にも着手する。(02.03.03)

●山形県金山町、むきそば料理を給食へ
日本農業新聞02年2月17日付によると、山形県金山町では地場で栽培したそばを利用し、 ゆでたそばに鶏肉仕立てのスープをかけてたべるむきそばを給食献立として町内小中学校に出した。(02.03.03)

●岡山県の地場型給食
山陽新聞02年2月17日付によると、岡山県では、倉敷市、総社市、玉野市をはじめ、7市27町が来年までに地場産米を使用する。また、 津山市教委は、津山市学校給食地場産食材使用検討委員会を設置し、給食に地場産食材を使うために品目、量、流通などを協議している。 (02.03.03)

●山形県、地場産給食を拡大
山形新聞02年2月22日付けによると、山形県は、県農業基本条例をふまえ学校給食への地場産の野菜と大豆の導入拡大策を推進する。現在、 県産野菜比率は13%。消費量の多いジャガイモ、ニンジン、キャベツ、タマネギは産地形成も行う。 生産量が多い野菜は学校給食での消費拡大策をとる。また、減農薬栽培を推進する。あわせて、各市町村に地産地消推進協議会を設置するとしている。 (02.03.03)

●千葉県の地場産米飯状況
日本農業新聞02年1月21日付によると、千葉県内の公立小中学校等約1270校は、1999年度以降全校で米飯給食に県産米を使用し、 2000年度には週平均3.05回の米飯給食を実施している。さらに、2001年度は平均回数が上昇する見通し。また、 地場産米を使用する市町村も20を超えている。君津市では、地場産コシヒカリを使用し週平均4回が米飯。県品種との価格差は市が負担している。 袖ヶ浦市も地場産コシヒカリ週平均4回を使用し、1食あたり10円を市が負担している。一方助成が得られず、給食費を値上げしたり、 回数を増やせないという地域もある。(02.02.08)

●東京都渋谷区、給食用米を秋田県大館市から
東京新聞02年1月24日付け他によると、東京都渋谷区は、交流の深い秋田県大館市から学校給食用米を産直で取り扱うこととなった。 あきた北農協から月2回、各校に送られる。年間取引量は約60トンで、これにより、年間180万円ほどの購入費削減にもなるという。 渋谷区と大館市は、2001年に災害時の相互応援協定を結び、主食確保のための流通経路構築をめざしていた。(02.02.08)

●香川県国分寺で地場産給食のイベント
日本農業新聞02年1月30日付によると、香川県国分寺市では町内幼稚園、 小中学校5校の約2700食を学校給食週間のイベントとして地場産品で行った。 香川県が育成したうどん用小麦のさぬきの夢2000をつかったうどん、菜花、みかんなどを県産品でそろえた。同町では、 2001年より地場産のみかんやキウイフルーツなどを活用している。(02.02.08)

●新潟県中東蒲原地域の地場産給食実態調査
日本農業新聞02年1月30日付によると、 新潟県中東蒲原農業改良普及センターは同区域にある9市町村の学校給食における地場産農産物の使用状況を調査した。当該地域では、12センター、 7自校方式学校があり、19847食が供給されている。米については、6市町村が地場産米100%。ジャガイモ、ネギ、サトイモ、ダイコン、 キャベツ、タマネギなどがある程度地場産で使われていることが分かった。一方で、価格、生産時期、 規格がそろわないなどの理由で地場産が進んでいない実態も明らかになった。三川村のように、給食用保冷庫を導入し、芋類、タマネギ、 米などを年間供給するとりくみも始まっている。(02.02.08)

●埼玉県産醤油、北本市から導入
日本農業新聞02年2月2日付によると、埼玉県産の大豆と小麦を利用し、埼玉県川島町で醸造された醤油の供給がはじまった。 製造量は県内学校給食使用量の6%、5300リットル。北本市をはじめ、県内に導入する。県の地場産給食導入の一環。北本市では、米、 味噌を県産品、ダイコン、キャベツ、トマトなどは市内産を季節にあわせて利用しいている。(02.02.08)

●熊本市の地場産給食
熊本日日新聞02年1月14日付によると、2000年度に開始された熊本市の地場産給食活動が4品目から01年度末で10分目まで拡大した。 スイカ、ミカン、米、レンコンなどを利用。生産者との給食交流会を開くなどのとりくみも行っている。 一方で関西などの大消費地に出荷した方が利益になり学校給食での利益は少ないと生産側の悩みもある。(02.01.20)

●埼玉県吉見町で手作りみそを導入
日本農業新聞01年12月28日付によると、埼玉県吉見町では、専業農家の女性が加工グループをつくり、自分たちで作った大豆、 米をもとに麹から味噌まで手作りし販売している。02年度からは町内の学校給食での導入が決まった。(02.01.20)

●島根県木次町の地場産給食
日本農業新聞02年1月3日付によると、島根県木次町では、94年に生産者の女性グループが木次町学校給食野菜生産グループをつくり、 同町の学校給食センターに納入をはじめた。5幼稚園、5小学校、1中学校の1226食のうち、年間61.2%の野菜が地場産。ある小学校では、 3年生の総合的な学習のテーマに地元の有機栽培をとりあげるなど、食への関心が高まっているという。(02.01.20)

●東京都練馬区での地場産給食
日本農業新聞02年1月3日付によると、練馬区立大泉第一小学校の学校給食では地元の農家から野菜の供給を受けている。 1カ月単位の献立をもとに生産者と栄養職員が協議、生産者は出せるものだけを提供し、それにあわせて栄養士が工夫する。また、 同校の学級農園の相談、農園での練馬大根づくり体験、総合学習の協力などを生産者が行っている。きっかけは生産者のよびかけ。 (02.01.20)

●長崎県五島・中通島で地場産給食
朝日新聞02年1月7日付によると、長崎県五島列島の中通島で地場産野菜の生産が盛んになり学校給食へのとりくみもはじまっている。 田畑が荒れるのをくいとめようと、上五島町農業を楽しむ会が結成され、 これまで島外から運ばれてきた農産物に頼っていた状況を少しでもかえようという動きが起きている。 ジャガイモやタマネギなどが学校給食に使われている。(02.01.20)

●神奈川県藤沢市、地場産合鴨米使用
日本農業新聞01年12月22日付によると、藤沢市では、99年より小学校、 養護学校の学校給食用米の一部に同市の合鴨水稲会栽培の無農薬米を使用している。JAさがみを通して供給されている。(02.01.05)

 

[ 02/12/31 地場産・産直 ]

2002年3月8日 市川市民間委託住民訴訟 原告側陳述書

2002年3月8日 市川市民間委託住民訴訟 原告側陳述書

 

 千葉県市川市では、平成12年(2000年)より、小学校の学校給食調理の民間委託化がはじまりました。この決定に対して、 市民グループが市川市との交渉や、支出に対する監査請求を行いましたが、民間委託化を止めるにはいたらず、 民間委託にともなう不法な公金支出であるとして流通経済大学経済学部助教授の植村秀樹さんが原告になり、住民訴訟を起こしました。現在、 裁判は進行中ですが、その中で、植村さんが裁判所に提出した意見陳述書があります。民間委託の問題点や保護者としての考えを示されています。 許可を得て転載します。(編集)学校給食ニュース紙版02年6月号掲載

 

陳述書
平成14年3月8日   植村秀樹 
  


はじめに
 私は十余年前から市川市に住み、子どもを市立大野小学校に通わせている。 同校を含む市内の6小学校で平成12年度から学校給食調理の民間業者への委託が始まった。この過程で私は、文教都市との触れ込みとは反対に、 市川市が教育を軽視している実態を目の当たりにし、失望を禁じ得えなかった。平成13年度は大野小学校のPTA副会長を務め、 子どもたちの健全な成長のために微力ながらも力を尽くしている。学校教育の観点から見て、給食調理の民間委託は、 子を持つ親の立場からは看過できない重大な問題を孕んでいるため、訴訟を提起するに至った。ここにその経緯と給食の民間委託の問題点を述べる。

1.学校給食民間委託の経緯
 市川市が学校給食の調理業務を市による直営から民間業者への委託に転換する計画は、 平成12年度から委託を予定していた6つの小学校の保護者に対して説明会を開くという通知によって、初めて市民の知るところとなった。 平成11年11月から12年にかけて、当該小学校で説明会が開かれたものの、時間は1時間と短く、 説明の大半を磁器食器導入の話に費やした学校もあるなど、民間委託についての説明は甚だ不十分なものであった。 説明会に先立って配布された資料には委託する理由が示されておらず、むしろ委託がすでに決まっているかのような印象を与えるものであり、 もう決まったことなのかと考えて出席しなかった保護者も多かった。また、保護者以外の出席を一切認めなかったため、 12年度に子どもを小学校に入学させる親たちには、説明を聞く機会さえ与えられなかった。説明会での質問する者には子どもの学年、クラス、 名前を言わせるなど、ものを言いにくい雰囲気をつくったうえで、説明に当たった教育委員会幹部は高圧的な態度で保護者を威圧し、 「市民の意見は議員を通じて聞く」、「いくら反対しても撤回しない」など、保護者の意見には耳を傾けないという姿勢に終始した。 「教育委員会の職員の態度が高圧的で不愉快だった」という声は6校すべての保護者から聞かれ、 平成12年2月に開かれた市議会でもしばしば問題となった。
 やがて、小中学生の保護者をはじめ、市民の間に委託への疑問や反対の声が高まり、平成12年1月には 「市川市学校給食の民間委託に反対する市民連絡会」が結成され、活発な活動が始まった。こうして計画の撤回を求める運動が広がりをみせると、 市の広報『いちかわ』や教育委員会事務局作成のリーフレット『これからの市川市の学校給食』などで説明を始めたが、 いずれも市民の疑問に答える内容ではなく、一方的な宣伝に終始するものであった。しかもリーフレットについて、当時の学校教育部長は、 「苦情の電話がたくさんかかってきたので作成した」と市議会で答弁した。つまり、 当初は学校給食の全体的な構想を市民に提示して理解を求めようとさえしなかったのである。まず、現在の学校給食の現状と問題点、 および将来の構想を示して市民の理解を求め、それから具体的な改善計画を提案するのが当然の順序であろう。 そうした手順を踏まえていないばかりか、教育委員会が配布したリーフレットは、 前年の同時期に隣りの船橋市がやはり民間委託導入に際して作成したものの焼き直しに過ぎなかった。このように隣接自治体のやり方を真似たのは、 教育委員会に学校給食に対するビジョンがなかったからである。
 そもそも調理の民間委託が教育委員会の発案によるものでなかったことがその背景にある。学校給食の問題点やその改善方法については、 教育委員会では特に議題とはなっておらず、給食調理の民間委託についても一度も論議されていない。このことは同委員会の議事録から明らかである。 つまり、学校給食の改善の方策のひとつとして調理の民間委託という方法が出てきたわけではないのである。当時の教育長は、 市職員組合との折衝の際に、本当は委託したくないと本音を漏らした。市議会でもこの点について質問を受けたが、答弁はなかった。
 市議会には市民連絡会による委託反対の陳情をはじめ、一旦計画を凍結した上で話し合いを求めるもの、 委託に当たっては給食の質を下げないよう厳しい条件を求めるものなど、数件の陳情が寄せられたこと自体、 この問題に対する市民の関心の高さを示していた。予算は平成12年3月に議会で可決されたが、議会での審議の過程で教育委員会は、 誤解を与える説明や事実と異なる答弁を繰り返した。すでに「見積もり合わせ」という方法で業者をすべて決定していたにもかかわらず、 議員の質問に対して「ただいま選定している」との答弁を繰り返した。すでに選定が終わっているという事実が発覚し、 委託自体には賛成の議員からさえ、「議会でその場しのぎのウソを言ってはいかん」と叱責を受けるありさまであった。
 以上のように、市長と教育委員会は、保護者をはじめとする市民の疑問に誠実に答えようとせず、に十分に説明し、理解を得るための努力を怠り、 委託を強行した。

2.学校給食と委託の実情
 委託にあたって私をはじめ保護者が最も心配したのは、それが大きな事故につながるようなことにならないかという点である。 市川市では学校給食を開始して以来、40年以上もの長い間、一度も食中毒を起こしていない。しかも、食材選びから衛生管理に至るまで、 また献立の工夫や味付けの面においても、高い水準が維持されてきていた。一部にあるいわゆる親子方式を除いては、保護者の立場からすれば、 変えなければならない必要性を感じていなかった。これまでうまく行っているのだから、このまま続けて欲しい、 というのが保護者の最大公約数的な声であったと思われる。
 実際に委託された学校のひとつである大野小学校で実際に調理の現場を見せてもらい、栄養士からも話を聞いた。委託の場合、 パートタイムで働く調理補助(無資格)も含めた全体の人数は多いものの、釜などを扱える調理員(正社員)の数が少ないため、責任者(チーフ) の力量に負うところが大きくなる。人数は少ないものの、ほぼ全員が調理師の資格を持つ直営とは調理の様子は一目瞭然の違いがある。大野小の場合、 今は技量の優れたチーフであるために、栄養士の信頼も厚く、大きな事故はなく、無難に1年を過ごしたといえる。そのため、 翌年も同額で委託契約をしたが、教育委員会は同一業者との契約は3年までとしているので、その後はどうなるかは不明である。
 隣接する船橋市でも前年から民間委託が始まったが、1学期の間にパート調理員が述べ20人以上も入れ替わったという学校があった。 市川市では大柏小でこの業者に委託した。人の頻繁な入れ替わりは、当然ながら事故につながりやすい。市による直営の場合と比べて、 パートタイマーの数が増えるのが民間委託の特徴のひとつである。平成12年度に委託した6小学校では、 パートタイマーの入れ替わりはそれほど頻繁ではなく、過半数が1年間を通じて勤務したが、反対に正規調理員(給食会社の社員) の入れ替わりがかなりあった。中には、事故(異物混入等)が多いなどの理由で保護者から苦情が寄せられ、業者に責任者(チーフ) の交代を申し入れたが業者が拒否した宮久保小のケースや、大柏小のように、校長からの要請によって責任者を交代させた例もある。最初の1年間で、 委託した6校のうち、大柏小、新井小の2校で責任者が交代し、大柏小、大野小、宮久保小の3校では副責任者が交代している。このほか、大野小、 新井小の2校で資格を持つ社員が交代している。このような頻繁は交代は直営ではあり得ないことである。直営に比べてパートが多く、 調理の責任を負っている社員(調理師の資格を持つ者)が頻繁に交代するようでは、給食の安定性が揺らぎ、 ひいては信頼性に疑問が生じるのは当然である。
 幸いにして食中毒などの深刻な事故は起こらなかったものの、異物混入、調理事故(加熱不足など)、衛生上の問題 (洗浄不十分で前日の汚れが食器に付着していたなど)などはかなりの数に上った。平成12年度から市川市では、委託か直営にかかわらず、 すべての公立小中学校で給食における事故を逐一教育委員会に報告することになったが、事故は委託校で圧倒的に多い。1年間に、 委託6校のうち4校から合計41件の事故報告が挙がっている。そのうち、異物混入が28件と最も多く、大柏小、大野小、 宮久保小では食器の洗浄不良が報告され、宮久保小ではアメリカンドッグが半生状態で配膳されるという事故もあった。大野小では、 事故として報告されてはいないが、シシャモが生焼けのまま出されたこともある。これが原因だと特定できるわけではないが、 ある児童はこの日の午後から体調をくずし、ジンマシンが出たために翌日は学校を休んだ。数の上で圧倒的に多い直営校からの事故報告は、 1年間に3件だけであった。
委託校、直営校を問わず、必ずしもすべての事故が報告されているわけではないかもしれないが、事故報告のこのような大きな差は、 市川市直営の信頼性の高さをあらためて認識させるとと同時に、民間業者による学校給食調理には不安があることをうかがわせるに十分といえる。
 これは1年目だからという言い訳は通用しない。市では委託するに当たって業者の選定に十分な注意を払ったと説明している。しかも、 教育委員会は、業者が慣れるまで調理の簡単な献立にするよう栄養士に指導していたのである。にもかかわらず、これだけの事故が起こったことは、 民間委託そのものに問題があることを示していると考えるのが適当である。短時間に大量の調理をするという学校給食には、 かなりの熟練が必要なのである。さらに、平成12年度は委託した6校すべてにおいて、 市が作成した基準を上回る人員が配置されていたにもかかわらず、これだけの事故が起こったのである。市の基準通りの人員であったら、 さらに深刻な事態になった可能性は十分に考えられる。平成13年度に新たに3校を委託したが、そこでは不手際によって調理が時間までに終わらず、 給食開始が大幅に遅れるという事故がたびたび起こっている。ただし、どういうわけか、学校運営に大きな支障をきたす給食の遅れは、 事故としては報告されていない。教育委員会の管理が不十分であるといえる。

3.民間委託の問題点
 市川市が給食の民間委託に踏み切ったのは、 経費節減がその目的である。平成12年度予算を審議した市議会で、経費の試算を出すように議員が求めたにもかかわらず、教育委員会は、 長期的には節減になるとの答弁を繰り返すばかりで、具体的な根拠を示さなかった。市職員組合は市の人事課立ち会いのもとで、 給与など基礎となる数字をすり合わせた上で試算を行った。その結果、最も甘い試算でも、実際に節減効果が出始めるまでに十数年もかかる。つまり、 確かに経費の節減になるというわけではないのである。
 先に述べたように、平成12年度においては、委託校の大半が市の基準を上回る人員配置をしている。今後、 利益を上げるために規定ぎりぎりまで人員を削減する可能性は少なくないと考えられる。実際に人員削減を行えば、 それだけ事故が増える可能性も高まると考えられる。それを防ぐ最も確実な方法は、献立を簡単なものにすることだろう。市川市ではこれまで、 地元の食材を使い、できるだけ手作りによる学校給食を提供してきた実績がある。さもなければ、委託費の値上げである。実際、千葉県柏市では、 市と業者の間で折り合いがつかず、しばらくの間、給食が実施できなかったという実例がある。 市川市でこれが再現されないという保証はどこにもない。これを防ぐには委託費を上げざるを得ず、 経費節減という目的すら達成できなくなる可能性も小さくない。
 しかし、最も大きな問題は、委託が学校教育の一環である学校給食の目的に適合しているかどうかということである。 経費の節減を図るという財政の論理から始まった委託は、利益を上げるという企業の論理を学校内に持ち込むことになった。 それが教育の一環としての給食という目的を蝕むことになるという点である。
 現実には学校給食の要に位置しているのは栄養士であるが、その栄養士は職業安定法上の制約から、 調理場に入って実際に調理を指導することができない。業者が利益を上げるには、人員削減、委託費の増額の他には、食材の購入をも引き受け、 そこから利益を上げるという方法が考えられる。食材選びに業者が関わることになれば、給食の質のみならず、 献立作りという栄養士の最も重要な仕事にも影響が出てくることになる。業者の都合に合わせた食材選びや献立作りが余儀なくされ、 教育目的は後ろに追いやられることになろう。学校内に持ち込まれた企業の論理が給食から教育の論理を駆逐しかねない状況が生み出されるのである。 すでに被告の千葉光行市長は、業者の利益のために食材購入を業者にまかせることを口にし始めている。これが実行されれば、 市川市の学校給食は業者主導のものになってしまい、教育目的が軽視されることになろう。
 さらに今後は、栄養士の育成にも影響が出てくることが懸念される。 これまで直営の調理場で経験を積むことで若い栄養士は学校給食についての理解を深め、その技量を磨いてきた。それが今後、 委託校が増えるに従ってそうした機会を失い、調理の現場を知らない栄養士に対して業者のほうに給食の主導権が移り、 栄養士は業者の都合に合わせて単に献立を作るだけの存在になってしまう可能性が高い。学校給食とは、児童・ 生徒に昼食を提供すればいいというものではないのである。食材選びや調理も含めて、全体でひとつのものであり、 その全体を責任を持って運営することで学校給食法に定めた教育目的を達成することができる。
 飽食の中の貧困な食生活が大きな問題となっている今日、民間の給食業者という異質のものが学校に入ることで生じる弊害は、 見過ごすことのできないものであり、子どもたちの将来のために、学校給食の民間委託はただちに中止し、 行政がすべての責任を負って行う直営方式に戻すべきである。

(2001.03.08)

[ 02/12/31 委託・合理化 ]

時事情報 2002年 環境関係ほか

●秋田県十文字町で循環カレー
秋田魁新報02年9月17日付によると、秋田県十文字町では生ごみ分別収集とたい肥化を目標としており、モデル事業を実施、 02年度は小中学校で児童生徒の一部が生ごみ分別収集に協力し、一部の給食残さを回収した。これを地元農家でたい肥化して野菜を育て、 「循環カレー」として給食に出した。(02.10.21)

●東京都練馬区、給食残さでたい肥
東京新聞02年7月3日付によると、練馬区は、区立小中学校103校中、 自校で給食残さたい肥化して消費している学校を除いた93校とセンター2カ所からの残さ年約720トンをたい肥として加工、「練馬の大地」 というブランド名で出荷をはじめた。区内120戸の生産者に配布、将来は市販も目指すとしている。(02.07.18)

●横浜市、残さ飼料豚経過
日本農業新聞02年3月20日付は、横浜市が試行している生ごみを飼料として豚を生産する事業の経過を報じている。 学校給食や事業所の生ごみを発酵や乾燥などによって飼料に変え、養豚飼料の一部に使おうという計画。市内の養豚業者17戸のうち、 実験を行っているのは3軒で、うち1軒がこのほど一部を食肉にした。肉質もよいとして、学校給食での使用に向けた準備を続けている。また、 協力をしている事業所の社員食堂やホテルなどでは、つまようじやプラスチック類の分別の徹底を課題に上げている。(02.03.30)

●横浜市、給食残さを豚のえさに
神奈川新聞02年1月29日付によると、神奈川県横浜市は給食残さを飼料に加工、豚のえさとして活用するリサイクル事業を開始する。金沢区、 磯子区の約40校の残さ、年間約270トンを回収し、金沢区の飼料工場で加工、年間54トンの飼料を生産し、市内17の養豚業者が飼育、 市内市場で流通させるとしている。(02.02.08)

●東京都葛飾区、給食残さ肥料使用の果物
東京新聞02年1月31日付によると、東京都葛飾区では1995年から区内の小中学校にコンポストを設置、たい肥化し、 年間45トンのたい肥を作っている。そのうち30トンを栃木県岩舟町のJAに提供、昨年秋より、生産されたナシ、巨峰、イチゴ、 トマトなどを区内の直売所で販売している。(02.02.08)

 

[ 02/12/31 環境関係 ]

栄養士の民間委託について

学校給食全国集会 結果報告
2002年2月25日開催しました


事例発表:栄養士の民間委託について
福島県福島市御山小学校栄養士 遠藤幸子(えんどうこうこ)さん


 福島県内の各地区で調理が民間委託化されていますが、栄養士も民間委託されている現状の報告に来ました。福島県のある市で、 栄養士のいない単独校に来年度4月から民間の栄養士を委託する予定があるといいます。 委託を受けるのは市内の学校給食調理を請け負う委託業者です。栄養士のいないそれぞれの単独校では、学校給食の献立作成、 発注業務等は養護教諭が行っていました。栄養士がいる単独校で参考資料として献立を配布していたこともあります。 養護教諭側からこれらの業務を軽減し、養護教諭本来の業務に力を入れたいという強い要望がずいぶん以前からありました。市の教育委員会では、 昨今の行政政策、定数管理の中で、栄養士の配置は困難であり、現在調理業務を委託している業者に献立の作成等を依頼することにした、といいます。 この方式の場合、民間業者の栄養士がひとり各学校を訪問し、調理員の指導を行うとともに、 各学校の移行にもとづいてそれぞれの学校に合った献立を作る、各学校の人数にあった発注量の計算をする、 給食関係帳簿の作成といった仕事をします。食材の調達については、各学校が現在契約している地元の商店から購入するなど、 今まで通りの方法をとります。
 これらの業務については、県費の他の学校の栄養士が民間の栄養士に指導するという形になり、 県費の栄養士が市の教育委員会から依頼を受けました。
 このことについて、私たちが懸念していることは、ひとつ目に、学校給食は教育の一環であり、 そこに営利追求の立場にある民間業者が雇用する栄養士が入ったとしたら食材の鮮度や安全性の確認が十分にできるのだろうか、問題が多い。 ふたつ目に、たとえフルタイムの採用であっても栄養士のいない学校現場における調理指導などができるかどうか、疑問である。三つ目、 民間の栄養士は直営の栄養士のように様々な情報が届かない。たとえば、文部科学省からの通達は届かないし、研修会などへの参加はどう扱うのか。 4つ目、食中毒や事故が起こったときの責任問題はどうなっているのか。これについては、献立の責任は学校長、 発注関係は養護教諭の責任と明確にされました。5つ目、今のところ各学校ごとにあった献立を作成すると言っていますが、やがては共同献立、 共同購入の段階に行き、委託業者の販売している商品を扱うこととなり、委託業者の利潤追求目的の成果を上げるようになるのではなかろうか。 というような様々な問題が上げられます。
 この話を聞いて、私も勉強不足であり、日教組前栄養職員部長の関根美智子さんに相談しました。1985年1月21日、文部省体育局局長発 「学校給食業務の運営の合理化通知」3の(3)民間委託の実施の中で、「献立の作成は、 設置者が直接責任をもって実施するものであるから委託の対象にしないこと」とあります。福島県教組栄養職員部部長の籏野梨恵子を中心として、 県交渉で話し合いを持ちましたが、明確な回答は得られませんでした。
 一方で、今、栄養士のいない単独校で調理員委託の学校の先生から話を聞くと、極端な例だと思いますが、 「ちくわの天ぷらがひとり4本も出て食べきれなかった」「ひじきの煮物が出たが、長ひじきが切られていなかったため、 うどんのように長いひじきの煮物が出てきた」「給食ができあがらず、2時頃給食を食べた」などと、びっくりするような話をします。 そんなに困っているのであれば、そのことを直接調理員に言ったらどうですかと私が言ったところ、「学校の人ではなく、委託会社の人だから、 同じ職場にいても交流がまったくなく、しゃべる機会もない」と言うのです。
 学校に県費の栄養士がいれば、職員間の橋渡しができますが、 委託のデメリットと栄養士がいないデメリットはこういうところにもあらわれてきます。
 今、お話しした一連の経緯を私が聞いたときから、いろいろと考えました。私たちは一体何のために給食を作っているのだろうか、 私自身も毎日の仕事の中で、衛生管理の徹底や献立の多様化、作業導線や作業工程表、温度管理といった記録しなければならない膨大な量、調理員、 先生方、職員、管理職との人間関係などの仕事をしているうちに、子ども達のためにという大事なことを忘れてしまいがちです。これは、 教育に関しても同じことが言えると思います。文部科学省側から学習塾に対して体験学習の協力要請、学力向上要請をしているのと、 学校給食の民間委託はとても似ている感じがして、大事なことを忘れてはいないでしょうか。そして、いつの間にか、 自分たちの利潤ばかりを追求してはいないでしょうか。私たちは、子ども達の今の健康、将来の健康のために給食を作って、 食教育をしているということを忘れてはいけないと思います。そのためには、私たちも健康でなければいけないし、 自分たちの仕事を守っていかなければいけないし、仕事に誇りを持ち、 学校給食民間委託化の危険性をもっと訴え続けなければいけないと強く思っています。

■意見:千葉県柏市、調理員です。私たちの職場は誰のためにあるか、もう一度よく考えなければならないと思います。 確かに私たちはボランティアで仕事をしているわけではありません。労働する組合はとても大事ですし、職場がないのが一番厳しい状況です。しかし、 一方的な受け身しかできない弱い立場の子ども達が、給食を生活の一部として食べるという状況です。 子育ての中に給食がどれだけ役割を果たしているのか。
柏市でも、民間委託で、献立は直営同じ、購入は市が行い、栄養士は自校に配置されています。できばえだけでは、 直営と民間委託に差はありませんが、作る過程の状況には少しずつ差が開きます。教育を考えたときに、教育に根ざしたものかどうか、 委託か直営化のギャップがでてきます。
職場の重要性もありますが、学校給食が誰のためにあるのかを私たちは考えるべきです。
今の子ども達に欠けている部分を補えるものは何か。
今のように民間委託と共存しながら闘わなければならない状況はどういうことなのか、もういちど全国の仲間を通して、 子ども達を守っていくための給食のあり方を深く考えていく必要があります。

■質問:東京都北区からきました。北区でも民間委託が進み、来年度は8校導入されます。民間委託問題が入ったとき、 学校給食の人間は検討委員会に入っていませんでした。北区でも老人給食などをやりながら闘争してきました。民間委託が提案され、 やむなく妥結したとき、北区では栄養士数名が民間委託に反対しましたが、残りの多くの栄養士は賛成しました。 改めてできた検討委員会でも栄養士が座長になりましたが、どういうように委託業者に指示するかというような委員会になってしまいました。
初期に民間委託が導入された足立区の栄養士、台東区の栄養士と交流した中で、実際、委託業者は学校給食をやったことがなく、 栄養士が中に入らなければできないという状況がありました。逆に、対応方法を全部教えてしまった、と栄養士が反省していました。
というのも、その後、それらの業者が他の学校給食委託を受けていくようになったからです。
栄養士が民間委託化されるということですが、そこは、調理も民間委託ですか?
また、東京では、栄養士がいるところを民間委託します。正規職員だけでなく、非常勤の栄養士がいます。 栄養士がいない学校では民間委託ということはありません。

●答え:私が新採用で入ったときに、すでに調理は民間委託の学校でした。だから、そういうものだと思っていました。後から、 他の地区で民間委託になって大変だという栄養士の話を聞けば、直接調理員全員に指導ができず、キャップの人ひとりに伝え、 キャップが他の調理員に指導するということが原則だとして、コミュニケーションがとても大変だそうです。検収は栄養士が行うということで、 怪我をして松葉杖をついても学校に検収に行ったという話も聞きました。
 私自身が関わったことで感じたことは、民間委託の方でも、いろんな方がいます。給料が安いということで、これぐらいの給料しかもらわないから、 働きもこれくらい、とか、人事異動で人が交代していくうちに、そういう人が増えていき、子どものために一生懸命やろうとか、 私がお金をかせがなければ、という人は一生懸命やっていたのですが、だんだん、そうではなくなってきました。
 保障された身分がなく、プライドもなくしてしまうような民間委託はよくないと思います。
 まだ、栄養士は民間委託にはなっていません。2002年4月からです。対象は何校かあって、それを巡回することになります。 調理はすべて民間委託の学校です。

■意見:群馬県藤岡市から来ました。調理員であり、PTA会長でもあります。私も給食の民間委託についての話はずいぶん聞いてますが、 栄養士についてははじめて聞きました。自治体当局が、教育の一環として学校給食を考えているのだろうか。なんでもいいから、 給食を子ども達に食べさせればいいんだ、安ければいいんだという姿勢が見えています。このような姿勢は納得できません。 子ども達に安心しておいしい給食を出すためには、最低限、栄養士だけでも県費、自治体の職員であって欲しいです。

●答え:私もそう思います。せめて栄養士だけ、ではなく、調理員もみな委託でないほうがよいと思います。

■意見:長野県でも、栄養士ごとすべて民間委託という話がありました。そこでは、栄養士がいないところで養護教員が献立、 発注を立てていました。その話があったとき、給食の仕事をやるのは大変だが、子ども達のためだからということで、 養護教員側が断って阻止したというケースがあります。

 このほかにもたくさんのご意見をいただきました。すべてを掲載できませんが、どうぞご了承ください。
 皆様からの感想、ご意見、ご質問をお待ちしております。

[ 02/12/31 委託・合理化 ]

時事情報2002年 食教育関係

●広島県福富町で給食の総合学習
日本農業新聞02年10月24日付によると、広島県福富町久芳小学校では、総合学習として「給食がこなかったら…」をテーマに取り組んだ。 さらに、10月22日から25日まで「給食をつくろう大作戦」として自分たちで学校給食づくりを行った。同校では、半年に渡り、 野菜の栽培や米作り、一部を販売して肉や調味料の購入代金にあてるなどの工夫をし、班ごとにカレーやサラダを作って自分たちの給食にした。 地元の農家などの協力を得た。学習は、小学校3年生から6年生までの57人で縦割りの班にして行われた。来年度も取り組むとしている。 (02.11.18)
●長野県飯山市、全児童、生徒が米作り
信濃毎日新聞02年4月23日付によると、長野県飯山市教育委員会は、 02年度から市内小中学校11校すべてで全学年児童生徒が米作りを体験することを決め、実施する。さらに3年後をめどとして学校田を整備、 田植えから収穫までが体験でき、学校給食に米を利用できるようにしたい意向。ふるさとを語れる子どもの育成が目標。JA、農業委員らの協力で、 技術指導や協力水田探し、作り方解説冊子の提供などが行われる。(02.05.24)
●高知県、食指導用紙芝居
高知新聞02年3月30日付によると、高知県の紙芝居制作委員会は、小学校低学年、幼児向けに食指導用紙芝居を作っている。このほど第二弾 「野菜を食べよう」が完成した。(02.05.13)

●高知県の食指導紙芝居について(続報)
紙芝居制作委員会事務局の高知市教育委員会学事課より、追加情報をいただきました。
同委員会は、高知市の栄養士、教員が中心となり、第一弾は「サブリマン」第二弾は「野菜を食べよう」を制作、高知県下に配布されました。
すでに、在庫はほとんどないとのことですが、参考のための貸し出し、意見交換はできるとのことです。
お問い合わせは、芝居制作委員会事務局(高知市教育委員会学事課)電話:088-823-9480。(02.05.24)

[ 02/12/31 食教育 ]

時事情報 その他もろもろ 2002年

●米飯給食週平均2.8回
朝日新聞02年11月19日付によると、文部科学省は01年5月現在の学校給食状況をまとめた。そのなかで、米飯給食について、 完全給食実施32244校の99.2%が行っており、週平均2.8回であることが分かった。昨年と同率。(02.12.02)

●長野市、給食センターで汚泥の違法放流
信濃毎日新聞02年5月28日付によると、長野市第一学校給食センターでは、7年に渡り正規の浄化処理を行わず、 汚泥を年に数回川に放流していた。水質の定期検査に訪れた市職員の目前で放流されていたため発覚した。(02.07.18)

●文部科学省、学校給食海外支援
読売新聞02年5月17日付他によると、文部科学省は、日本の学校給食の手法をタイ、カンボジア、ラオスをはじめ、 アジア諸国に伝えるプロジェクトを開始する。給食提供手法や衛生管理、栄養教育などの手法を提供するための調査を行うとしている。 (02.06.23)

●長崎県、給食に鯨肉導入を市町村に依頼
西日本新聞02年5月18日付によると、長崎県教委は、10日、県内の市町村教委らに鯨肉を学校給食に取り入れるよう依頼分を送った。 鯨肉は市価の5分の1程度、キロ600円程度で、6月中旬まで希望を募り、9月以降に使用できるとしている。捕鯨関係者は歓迎、捕鯨反対側は、 反発している。(02.06.23)

●W杯にむけて出場国料理の給食
読売新聞02年2月5日付けによると、サッカー・ワールドカップ開催地のさいたま市、宮城県利府町、静岡市、新潟市で、 大会出場国の料理を学校給食に登場させている。栄養士がインターネットを利用し作り方を調べるなどして、カメルーン、エクアドルをはじめ、 日本ではなじみのない料理が子ども達に出される。(02.03.03)

●秋田県本庄市で、誘致企業の食品を給食へ
秋田魁新報02年1月31日付によると、秋田県本荘市では、市が誘致し、 現在経営再建中のプリマハム秋田工場で製造された春巻を市内2小学校が採用した。経営支援の一環という。(02.03.03)

●無洗米の使用拡大傾向
日本食糧新聞02年2月15日付によると、無洗米の学校給食使用は、大阪府で100校、東京都品川区、足立区などと導入が広がっている。 (02.03.03)

●米粉パン、ひろがりはじめる
産経新聞02年2月22日付けによると、林原生物化学研究所と福盛パン研究所が共同開発した米粉パンが兵庫県内の小学校給食に採用される見通し。 発酵抑制のトレハロースを使用し、日持ちのよいしっとりしたパンができるという。(02.03.03)

●イギリスの学校給食事情
サンデー毎日01年12月16日付では、英国版偏食・奇食・崩食・死食と題し、イギリスの学校昼食事情について特集している。 80年代の政府予算削減で、従来の学校給食制度が崩壊し、ピザ、ハンバーガー、チョコレート、 炭酸飲料などのファストフード型に置きかわっていき、健康、食文化などに問題を引き起こしているとまとめている。(02.01.05)

 

[ 02/12/31 その他 ]

福岡県岡垣町の学校給食と調理員の取り組み

福岡県岡垣町の学校給食と調理員の取り組み


学校給食ニュース2002年11月号より

 

 福岡県岡垣町は、人口約3万1千人。海も山もあり、北九州市に近いベッドタウンとして徐々に住宅地が増えています。小学校5校、 中学校2校で、学校給食は、小学校のみ、自校直営方式で行われています。中学校給食は現在行われていません。中学校給食は、 2004年度より親子方式の施設で調理は民間委託により実施される予定です。小学校給食については、 2001年末の行政改革大綱で調理の民間委託方針が出され、 退職者不補充と職種変更による調理の民間委託を2003年度から実施するとしています。
 現在、民間委託中止を求める運動が広げられているところです。
 岡垣町の調理員は、これまでにさまざまな取り組みをしており、その内容は注目に値するものです。 岡垣町の学校給食と調理員の取り組みについてレポートします。


●岡垣町の学校給食

 岡垣町の小学校給食は、自校直営方式です。小学校5校と保育所2所に正規調理員18人が勤務しています。 小学校給食では一部パート職員も配置されています。
 栄養士は、2001年まで1名でしたが2002年に1名増員され、現在2名で、小学校5校のうち食数の多い2校に配置されています。
 献立は、岡垣町を含む福岡県遠賀郡で統一献立がつくられています。それを、岡垣町の栄養士、調理員らが検討し、町独自、 学校独自の要素を加えていきます。この町独自の部分や学校独自の部分には、調理員の意見が反映されます。調理場ごとの設備の違いや、学校行事、 あるいは、学校の特色によって少しずつ変えられています。
 食材は、学校給食会と地元業者への発注ですが、地場のものも扱っています。
 米飯給食は、週に3回で、県産米を使用。
 食器は、ステンレスから陶磁器に更新されつつあります。
 食器の洗浄は、手作りの廃食用油石けんを使っています。この廃食用油石けん活動については、あとで詳しく解説します。

 調理員の取り組みとしては、18人中17人が自主的に調理師免許を取得しています。1名は採用後2年に満たないため、 今後取得する予定です。
 日常的には、給食室からの一言を毎日給食時間に放送し、学校によっては調理員自身が放送することもあります。また、学校ごとに 「給食だより いただきまぁーす」を随時発行し、保護者に給食の内容や食の問題などについてお便りを出しています。
 また、児童との手紙のやりとりや交換ノート、クラスでのふれあい給食などを行っています。給食をクラスに運ぶ際には、 今日の献立などについて子どもたちに必ず声をかけるようにしています。
 試食会は、一般の試食会のほか、祖父母招待給食、児童や新入学児童を対象とした春休み、夏休み、 冬休み期間中の親子クッキング教室の実施などを行っています。
 歴史的な取り組みとしては、1977年以降、調理員による給食の質の向上について取り組みがはじまりました。自校炊飯や、 ハンバーグなど加工食品の手作り、インスタント調味料の廃止、合成洗剤の追放、学校菜園の野菜を給食食材に取り入れるなど、 食の安全や給食の質の向上を調理員から働きかけ、栄養士とともに作り上げてきています。
 このほか、アレルギー対応などもしています。
 調理員の早川友季子さんに話を聞きました。
「岡垣町の学校給食調理員は、長い歴史の中で、ただ作るだけの調理員から、食の安全や給食の味、子どもの育ち、 環境のことまで自分たちの職務として取り組むように変わりました。この取り組みは、 他の自治体の学校給食で加工食品ではない手作りハンバーグを作っていたことを知ったときにはじまりました。私たちもできるのではないだろうか、 そこから、栄養士とも相談し、手作りハンバーグに取り組みました。今では、インスタントの調味料を使わず、だしは、昆布や鶏がらなどからとり、 カレールーも手作りしています。味付けも、その日の食材、たとえば玉葱の水分量などから分量を変えたり、暑い、寒いとか、 乾燥しているなど天候によって、また、運動会の練習で汗をたくさんかいているから、など、状況に合わせて変えるようにしています。自校調理で、 日々子どもたちを見ていて、学校の行事などもよく分かっているからできることだと思います。
 私は、たまたま保育所から小学校へ移ったことがあり、そのときには、同じ子どもが保育所から小学校6年で卒業するまで、 その子どもの育ちを見ることができました。そういう経験が、給食を作る上でも子どものことを考えて取り組む上で役立っていると思います。
 調理員同士、調理員と栄養士とで常に意見交換をしていますが、こんなこともあります。岡垣町は、海もあり、山もあり、住宅地もあります。 海に近い学校の子どもは、海の食材を使った献立の時、残食が少ないのですが、山に近い学校の子どもたちは、 山の食材を使った時の方が残食が少ないのです。住宅地の学校の子どもたちは、まんべんなく残食が出たりします。 そういう生活の違いなどもふまえて、学校ごとの給食のあり方を考えています。
 地場産の給食についても、もっと取り組みたいと思います。私たちも岡垣町に住んでいますから、この辺の農家を知っていたりしています。 食材がどこの誰のものなのか、あるいは、岡垣町のものなのか、もっと遠くから来るものなのかもよく分かります。やはり、新鮮な食材の方が、 使いやすいし、安心です。学校農園のものや、地場の特産品であるビワやヒジキを給食に取り入れたりはしていますが、たとえば、 お米や野菜にしても、給食で使う分ぐらいは、岡垣町で取れています。そういう取り組みもしたいです」


●ゲストティーチャー

 調理員の中には、ゲストティーチャーとして、実際に教壇に立つ例もあります。ひとつの例では、授業の一環として、 給食ででた残さを使ってたい肥づくりを行ない、野菜を育てました。たい肥を入れた野菜、入れなかった野菜で育ち具合や味を比較してみます。 これを調理員としてたい肥づくりからずっと教員とともに子どもたちに教えていきました。
 また、後述する廃油石けん活動から、授業で環境とリサイクルの意識啓発のために、廃食用油を利用した石けん作りを行ない、 子どもたちからも高い関心を引き出しています。
 学校の中の身近な大人として、調理員の技能・経験をうまく生かす実例です。


●廃食用油石けん活動は学校を超えて

 岡垣町の学校給食では、1980年の秋まで合成洗剤を使用していました。しかし、有害性や環境問題を学習し、市販の粉石けんを導入。 その後、給食調理で出る廃食用油を活用できないかと、試行錯誤し、1985年までに手作りプリン石けんに切り替えました。
 取り組みは、保育所と小学校の調理員が発案、取り組みを行ない、ステンレス食器を使用していたこと、手洗い中心だったことから、 石けんの温度や濃度などのノウハウが確立し、安定して給食食器洗浄に活用されていました。
 1994年には、固形石けんをつくるための機械を岡垣町の教育委員会が2台購入し、 やはり学校給食から出た廃食用油を使って固形石けん作りがはじまりました。土曜日に交代で石けんを仕込み、 夏期休業中にラベルをつくって町のイベントで無料配布をはじめました。
 1994年10月のはじめての配布で1100個を無料配布、その後、1995年には、公民館などの施設に持ち帰り用無料石けんを置きはじめ、 町民に環境問題やリサイクルへの理解を呼びかけはじめました。
 石けん作りは、当初から、各地でリサイクル石けん作りを実践している方々などを招き、 定期的に学習会を開いて石けんを作る調理員の技術を高めました。
 当初は、休みの土曜日をつぶしてこれらの活動をすることに抵抗のあった調理員もいましたが、リサイクルや環境への意味合い、また、 もらう人達からの感謝などを受けて、全員が交代で取り組んでいます。
 町のイベントなどを通じ、町民に石けんや廃食用油の処理についてアンケートをとり、 家庭用廃食用油が燃えるごみや排水として流されている現状をふまえて、2001年7月には、 小学校の協力を得て一般家庭での廃食用油の回収をはじめました。
 町を5つの小学校の校区ごとに区切り、その校区の廃食用油を小学校の調理室に持ってきてもらい、回収するという方法です。2001年は、 7月と12月に行ない、1回目が約
100リットル、2回目が150リットルの廃食用油を回収。調理員の手で固形石けんとしてよみがえりました。
 廃食用油は、給食調理の現場から年間約1.5トン、その他の公共施設から320kgほど出ています。これらが石けんとなります。
 一般家庭から回収された廃食用油は、すべてを石けんにできないため、リサイクル業者が無償で処理等に協力しています。
 固形石けんの無料配布は、数年が経ち、定着したようです。
 一般家庭からの廃食用油回収については、はじまったばかりであり、岡垣町の広報紙やホームページなどで告知を行っていますが、 まだまだこれからPRが必要です。
 今のところ、これらの活動に必要な苛性ソーダや機械類などの費用は、岡垣町職員労働組合が拠出しており、また、 調理員のボランティア活動によって成り立っています。
 この活動は、環境問題やリサイクルに対する町民への啓発として、あるいは廃棄物処理事業として、さらには、 岡垣町のイメージアップにつながる取り組みとして、大きな成果を上げています。
 ぜひ、岡垣町の事業として位置づけ、より活発な町の活動へと広がっていくことを期待してやみません。

 岡垣町の保育所、小学校の調理員の取り組みは、自発的に子どものことを考えた給食の安全性や教育としての可能性を追求し、さらには、 石けん作りと使用、啓発といった、調理現場から生まれる生活に密着した環境対策事業を行うなど、直営調理員であり、 公務員である可能性を十二分に活かしている活動です。
 これだけの取り組みをしているにもかかわらず、やはり、調理の民間委託という話が出てきます。 仮に調理の民間委託によりコストが削減できたとしても、これだけの取り組みと、 将来の可能性を失うのは岡垣町とそこで育つ子どもたちにとって実に惜しまれることではないでしょうか。
 岡垣町の調理の民間委託化と中学校給食の自校直営での実現に向けた動きの今後に注目したいと思います。

 他地域での調理員、栄養士らの取り組みの実例、あるいは、民間委託化との関わりについて、皆様からの情報をお待ちしております。

(学校給食ニュース2002年11月号より)

 

[ 02/12/31 栄養職員・調理員 ]

ある養護学校での給食調理委託の実態

ある養護学校での給食調理委託の実態


学校給食ニュース2002年9月号より


 ある養護学校での学校給食調理民間委託について、1年間の詳細なレポート・資料を読む機会がありました。養護学校での給食は、 小中学校での給食以上に複雑で細かな給食調理対応が必要とされています。その学校では、コスト面を中心に民間委託した結果、 給食実施に大きな問題をかかえてしまいました。
 レポート・資料からは、衛生面、調理面など様々な問題が浮かび上がります。
 また、受託企業の問題や委託している教育委員会側の問題、さらには、受託企業社員の労働状態などの問題も見えてきました。
 すべての受託企業や委託の実態が、これほどひどいとは思いませんが、民間委託の最悪の場合、どのようなことが起こるか、レポート・ 資料の一部を紹介しながらまとめてみました。(まとめ、学校給食ニュース編集)

●チーフ・サブチーフがいない!
 4月の給食開始時、つまり、委託当初に、チーフが欠勤、サブチーフは退職し、学校には連絡がありませんでした。社員・パートで給食調理を行い、 1時間以上遅れで配食されました。その後、5日目にチーフが出勤します。サブチーフは3カ月決まらないままでした。
 この後も、4月から翌2月までの11カ月で10人が退職するなど、パートの退職、サブチーフの体調不良と退職、チーフの体調不良による、 チーフ、サブチーフの不在などの状況が起こります。
 1年間を通じ、チーフ・サブチーフが安定して給食調理に望むという状態ではなかったようです。
 受託企業の雇用者としての問題点もあります。
 パートが調理室で火傷をおいながら、本人が後日、自宅で火傷をしたと主張しています。企業としての安全管理や従業員・ パートへの労働災害対応がきちんとされておらず、かつ、「会社に迷惑をかけてはならない」 というような無言の圧力を受けているのではないでしょうか。

●トラブル続出
 調理するスタッフが安定していない状態では、安定した調理ができるはずもありません。調理ミスや事故が続発します。
 配食量や味の濃さ、薄さ、かたさの問題だけでなく、揚げ物の衣に小麦粉のだまが入る、ハンバーグなどのコゲ、 ミートローフや団子の生状態などの調理ミスが起こります。異物混入とならんで、養護学校の子どもがそのまま食べてしまう可能性があり、 教員らからも問題だとの声が上がりました。
 衛生管理面でも、怪我をした血液が配膳された食器に付着するなど基本的なことでのトラブルが年間を通して発生しています。

●疲弊する栄養士と委託調理員
 このような状況で、学校給食をつくる栄養士は、衛生管理やきちんと給食をつくることにばかり時間と労力をとられ、また、トラブルのたびに学校、 当局、委託企業(本社)との折衝に追われてしまいます。
 受託企業の調理員(社員・パート)は、十分な研修や準備態勢がないままに不慣れな状態で給食づくりに追われ、それにより、ミスを発生させ、 精神的にも肉体的にも疲弊していき、悪循環を生んでいるようです。
 これでは、栄養士も委託調理員も本来望まれるような、安心でおいしい給食をつくり、それを教育として活かすことなどできそうにもありません。
 給食に直接携わる栄養士、そして、この場合は受託企業の社員・パートの人間としての苦悩が透けてきます。
 定期的な会議で、学校、当局、受託企業の責任者らが話し合いを持ち、また、トラブルのたびに栄養士からの事務連絡書、受託企業からの報告書、 事故報告書が出されていますが、それが改善にはつながっていないようです。

 学校栄養士がこう語りました。
「給食の調理委託は、清掃委託と違ってやり直しができません。時間に遅れたり、できあがり品が焦げていたり、生だったり、まずかったり、 塩が固まっていたり、異物混入が起こっても、給食時間には子ども達が待っています。
 学校給食は教育の一環であり食教育の場として重要な意義を持っています。また、子ども達は毎日楽しみにしています。その給食が委託になり、 毎日きちんとでてきません。
 13年度に委託となり、1年間がまんしてきました。会社も誠意がなく、給食開始時にチーフ、サブチーフもいない状態で学校にも連絡せず、 代理も出していなかったなど問題がありました。2学期まで固定したサブチーフがいない、 3学期にはチーフ・サブチーフが退職してしまい、 3学期の最後も代理でした。14年度もチーフ・サブチーフが未定のままです。子ども達は直営であった12年度までのおいしい給食を願っています。
 衛生面の問題もかかえています。委託になった今の給食は食中毒と紙一重です。生があったり、異物混入があったり、 会社や現場の人たちは衛生教育をされていない、知らない、知っていても実行しないなど、学校栄養士として不安をかかえた毎日です。
 保護者も、生や異物であっても食べてしまう養護学校の子ども達を前に給食を心配しています。 食中毒により子ども達の命をおびやかしてからでは取り返しがつきません」

 給食調理の民間委託は、コスト削減のために行われています。決して、給食の改善のために行われているわけではありません。もちろん、 受託企業側からすれば、低コスト、すなわち低利益で受注しても、対応が悪いために契約を切られては企業としてマイナスになりますので、 与えられたコストの中で最善をつくそうとはするはずです。しかし、受注するために最低限の状態を考えて見積もっているとすれば、 チーフやサブチーフ、社員やパートへの対応の悪さ、急な欠員時などの予備体制ができないなどの問題が発生するのは当然です。
 企業姿勢や発注する側(地方公共団体)の給食調理コストへの考え方によっては、今回紹介したような問題が発生してもなんら不思議はありません。
 本来、学校給食は外食産業や集団給食産業に比べてコストが高くつきます。それは、 食中毒などの面で高リスクである子どもに食べさせるものであり、学校給食そのものが教育として行なわれているためです。
 民間企業の企業努力による低コスト、効率化は行財政にとって魅力的かもしれませんが、それが、学校教育、給食の場にふさわしいかどうか、 きちんとした議論が必要です。
0209

[ 02/12/31 委託・合理化 ]

アトピー・アレルギー最新情報

アトピッ子地球の子ネットワークに聞きました


 学校給食現場や、子どもたちの食生活の中で、アレルギー・アトピーの問題は年々大きくなっています。各自治体や学校現場では、アレルギー・ アトピーあるいは化学物質過敏症に対して、少しずつ対応が進んでいます。しかし、その対応はまちまちで、また、 責任の所在がはっきりしない場合も多くあります。
 また、2001年3月の食品衛生法改正により、アレルギー物質の表示制度が義務づけられました。移行期間を経て、 2002年4月より表示が義務化され、さまざまな食品に新たな表示が行われています。
 この表示制度や、学校生活でのアレルギーを持つ子どもへの対応について、 アレルギー問題に10年以上取組みを続ける市民団体アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長の赤城智美さんにお話を聞きました。
(聞き手・構成:ニュース編集 学校給食ニュース02年7月掲載)


■食品のアレルギー物質表示制度について
 2001年3月の食品衛生法改正により、アレルギー物質の表示制度が義務づけられました。移行期間を経て、 2002年4月より表示が義務化され、さまざまな食品に新たな表示が行われています。
 このアレルギー物質表示について、聞きました。

(表示制度とは)
 今回の食品衛生法の改正で、4月から義務表示とされたのは、「特定原材料」と呼ばれる、次の5品目です。
「卵、乳、小麦、そば、落花生」
 これらについては、原材料だけでなく、添加物や製造工程などで一部でも使われていれば、表示しなければなりません。
 また、上記5品目に次いでアレルギー反応を起こす人の数が比較的多かったり、反応の起こり方がはげしいものを「特定原材料に準じる」として、 できるかぎり表示することを求めた次の19品目があります。
「あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、 りんご、ゼラチン」
 この表示は、遺伝子組み換え食品のように一般消費者向けだけでなく、容器包装された業務用食品や加工食品の原料にも義務づけられています。 内容は2年ごとに見直されます。

(表示制度のとらえ方)
 まず、表示制度ができたことは評価します。では、この表示が、食物アレルギー患者にとって望まれるものか、という視点でみれば、 評価は分かれます。食品衛生法の表示制度は、あくまで、消費者に健康危害を起こさないためのもの、誤って食べたことでアナフィラキシー・ ショックを起こすなどの、重篤な健康被害をひき起こすことがないようにするためのものです。
 食物アレルギー患者を定義するのは難しいのですが、たとえば、ももを食べて口がかゆくなる口腔アレルギーや、 さばを食べてじんましんが出る人は、個別の食品へのアレルギーとは思っていても、自分のことを「食物アレルギー患者」 とは思っていないと思います。ここでは、食物アレルギー患者とは、いくつかの食物に対して、即時型あるいは遅延型の反応を起こすなど、 食に対して総合的な反応を起こす場合だとしておきましょう。
 この食物アレルギー患者にとっての表示としてみれば、即時型の反応を起こす人にとっては危険表示になりますから、 一定の評価できる表示制度です。
 しかし、細かくみていけばこの24品目でいいのか、ということはあります。今回、米(こめ)は入っていません。米に反応する人は多いのですが、 1時間以内に反応を起こすという即時性でみれば、米の反応は他の食品より低くなります。
 米が入っているかどうかを判断しなければならない患者も多くいます。
 なにを優先するのか、その点で、表示対象の整理がすっきりとできているとは言えません。また、表示制度が、食品衛生法、JAS法、 景品表示法など複数の省庁にまたがっていて、混乱している点も問題です。
 もちろん、食物アレルギー患者は、すでに表示制度以前に自分が食べる食品を選んでいます。食品の安全性や内容について知識を持ち、 有機野菜など原材料にこだわり、不要な添加物は使わず、製造方法がはっきりしたものを選んでいます。そのような人たちにとって、この表示制度は、 基本的に関係ないとも言えます。なぜならば、表示制度よりも厳しい基準をそれぞれが持っているからです。
 この表示制度で、食物アレルギー患者が安心して加工食品を選ぶようになったり、食品を選べる範囲が広がったわけではありません。その点は、 患者も、そうでない人も理解しておく必要があります。

(みんなが考えるチャンス)
 ただ、食品衛生法としては、公衆衛生的な立場から、先に触れたさばのじんましんのような多くの「食に反応している」 事例に対応している点で評価したいと思います。
 花粉症が増えていますが、この樹木花粉に反応する人が、果樹の果物(もも、りんご、キウイ、オレンジ)に反応するという相談が増えています。 また、落花生についても、ここ数年、相談が急増しています。食生活の変化でアレルギー反応を起こす食品も増えています。
 今回のアレルギー物質表示について、付け加えておきたいことは、 この表示によってこれまで使われているとは思っていなかったようなものが表示されるようになったことです。卵などは、 本当に何にでも使われていると知ることができます。この表示で、加工食品の作られ方が素人の私たちにも見えてくるようになりました。
 なぜ、シュークリームに鮭の表示があるのだろう? これは、保存料としての白子たんぱくや香料の原材料らしいのですが、不思議で、 違和感がありますよね。入れないとできないのだろうか。伝統的には使っていなかったはずなのに…、そうやって、 消費者や食品メーカーが製造方法を見直すことにつながっていけば、思わぬ表示効果があったと言えるのではないでしょうか。

(表示を読みとる教育を)
 食物アレルギー患者に対しても、そうではない人に対しても、表示を読みとり、食品を選ぶ教育があまりにされていません。 医師は患者の治療の一環として医師や栄養士、薬剤師らと協力して、情報を提供し、その情報を選ぶ力を患者に教育する必要があります。その点では、 医療分野での栄養士の役割はもっと大きくなるべきです。
 同様に、学校教育でも、食品の表示を読みとり、食品を選ぶための教育をする必要があります。
 学校給食は、教育としての位置づけがあります。アレルギーの問題は、教育の材料としてはとてもすぐれています。今、学校教育、あるいは、 学校給食でアレルギーの問題を避けすぎていると思います。
 たとえば、アレルギーを題材にこの表示の問題を考えると、とても分かりやすく社会的なしくみが見えてきます。
 この30年ほどをふりかえってみても、食品の作られ方は大きく変わり、複雑になりました。今の社会の中で、食品がどう作られ、 どのように消費しているかを知っていなければ、自分の健康や未来を守ることはできません。それを強く意識するためにも、 アレルギーの問題を活用することができます。
 BSE(狂牛病)や食品添加物の製造方法での食品回収事件なども、教育材料になります。
 今回の表示制度で、業務用でも表示されるようになっています。学校給食の食材もこれまで以上に表示が細かくなっているはずです。 それを活用して、子どもたちに、あるいは子どもを通じて保護者に対しても教育・発信することができます。
 この30年で食品の作られ方が大きく変わったように、食品の未来は今と同じではありません。どのような食のあり方を選ぶのか、それは、 私たちの選択であり、子どもたちの選択です。選択するための情報を提供し、判断する力を養うことが必要です。それが、学校教育、 学校給食の役割だと思います。
 文部科学省や厚生労働省の判断を待つのではなく、気づいた人からその取組みをやって欲しいです。教員、栄養士、調理員、だれであっても、 取組むことはできるはずです。

■学校でのアレルギー対応
(診断書がすべてではない)
 アレルギー・アトピーについて、学校給食をはじめ学校での対応を望むとき、まずは、医師の診断書をとることができれば、診断書をとり、 それを学校に提出することです。診断書がある場合なら、それを参考に、給食での除去食、代替食、あるいは、 弁当持参などの対応について話し合うときに活用できます。
 しかし、食物アレルギーの人について充分な支援ができる医師の数は全国でも限られており、アレルゲン食物を食べないよう指示していても、 医師が診断書を書いてくれないケースもあります。
 診断書がでない場合でも、保護者としては、学校に「やってほしい」ことではなく、「もし、間違って食べたら、子どもの身体がどうなるのか」 について説明文を出すことです。たとえば「卵を食べたら、6時間後におう吐が起こる」というような具体的なことです。また、家庭では、 除去食ではなく、同じものを大量に一時にとらない、多種類を少しずつ食べる「回転食」をやっている場合があります。その子どもの場合だと、 間違って給食で出されると食べてしまうことになります。家庭では量や、その際の反応を見ながら対処していますので、 家庭で食べているからといって、給食でも食べていいということにはなりません。
 保護者はそういうことを説明文で伝える必要があります。
 一方、学校側も、診断書がないからといって、アレルギー対応が必要ないと判断して欲しくありません。
 診断書がでないという電話相談があると、保護者には「担任や校長先生と基本的人権の尊重について話し合ってみて」と言います。 どの子も健やかに学校生活を過ごす権利があります。「今の状態で学校給食を食べると、子どもが健やかに学校生活を過ごせない」 ということを学校側に伝え、理解を求めます。
 保護者側も、学校側も、対処の方法を先におかないことです。対処方法はいくらでもあります。給食で代替食をつくることから、弁当持参まで、 話し合ってください。
 先ほどの表示のときに指摘しましたが、アレルギーへの対応は、目先の対応ではなく、子どもを真ん中において、広くみんなで考えて欲しいです。

(子どもが育つ場として考える)
 アレルギー対応は、クラス運営と切り離すことができません。除去食ができたからと言って、子どもが不幸になることもあります。 いじめだけでなく、「自分だけ違うものを食べている」という事実でアレルギーを持つ子どもが萎縮してしまった例もあります。
 除去食が到達点ではないことを、学校側も保護者側も分かっていなければなりません。
 アレルギーを持つことが、食べられないものがあるということが、個性であり、ひとりひとりの「個性の違い」であることをどう教育できるか、 という問題です。
 私自身の事例ですが、食物アレルギーがある子どもが小学校にあがるとき、自校式だったので校長、担任、栄養士、 調理員の方々に集まっていただき、説明して、他の子どもたちも含めて除去食を対応してくれることになりました。とてもよい状況で喜んだのですが、 食べられないのは「かわいそう」という担任の一言がきっかけでいじめがはじまり、転校することになりました。転校先はセンター方式でしたので、 食べられるものは食べる、食べられないものは残すという対応を担任にお願いし、食物アレルギーについての資料をたくさんお渡ししました。 そのときは、最初、クラスの子どもたちがめずらしがって
「食物アレルギーって、食べられないんだ」
 嫌いなものを、「先生、これ食物アレルギーだから食べなくていい?」「それは違う」
 というような状況になって、1週間もすると、「あいつは食べられないものがあるらしい」ということに落ち着き、 他の子どものめずらしがりが終わったのです。それが、すんなりできて、あとは問題なく学校生活を過ごすことができました。
 たぶん、対処のマニュアルはまだないのでしょう。しかし、食物アレルギーの子どもは「かわいそう」ではない、社会的なリスクをもつ人間であり、 社会的に対応する必要はあっても、社会の一員として、個性を持つ人間として学校も、保護者も理解し、 一緒に育つ子どもたちへも伝えることができればよいのではないでしょうか。

(化学物質過敏症)
 最近、化学物質過敏症により、除去食などの必要がある子どももいます。食物アレルギーとは違い、 農薬や生活の回りの化学合成物質に反応して症状が出ます。反応は食物に対してだけではありません。衣食住すべてに化学合成のものはあふれており、 そのあるものに反応します。
 化学物質過敏症については、よく「コップがあふれる」と表現されます。つまり、化学物質への反応性が少しずつ身体にたまり、 コップに水を入れて、ふちまでくるとあふれるように、ある時点で症状がでるのです。コップの大きさは人によって違いますし、 ストレスなどでコップにひびが入ってあふれやすくなることもあります。
 症状が出ているときに、化学物質を取り除くと、症状が軽くなります。でも、化学物質を取り除いたからといって、すでにコップは一杯ですから、 症状がでないわけではありません。化学物質過敏症は、化学物質を取り除いても症状がでるため、周囲の理解を得にくいことがあります。 食品だけでなく、ワックスをかけただけ、カーテンをクリーニングに出しただけで症状がひどくなることもあります。
 学校生活で言えば、あるときは、給食の食材で反応し、次にはワックスで、次にはカーテンで、と、症状がない人からすれば、 次から次に言っていることが違うではないか、というように聞こえることもあります。
 これは、言う方の保護者も、聞く方の学校関係者も、辛いことですが、子どもはその学校で育っていくわけですから、その子どものことを考え、 まず学校関係者には、白紙の状態で保護者から話を聞いて欲しい、そして、保護者には、もし、症状が起こったら、 どんなことになるのかをひとつずつ挙げていって欲しいと思います。全部を解決できるわけではなくても、どの問題から解決すべきか、 優先順位を決めて対処したいものです。

■アトピッ子地球の子ネットワーク紹介
(団体案内より)

 アトピッ子地球の子ネットワークは、アトピー・アレルギー性疾患をもつ患者とその家族を支援する団体です。
 身体とこころのバランスがとれていること。自然環境と人とが共に生き、共に豊かであること、かゆさや息ぐるしさ、 薬の副作用やリバウンドから解放されること、それはアレルギー性疾患をもった人も、アトピー性皮膚炎のある人も、ぜんそくのある人も元気な人も、 ちいさい子もおおきい子も、大人も子どもも、みんなが望んでいることです。
 さて、そのために何をしたらいいのか、ひとりひとりにできることって何だろう、そんなことを考え実行したいと考えています。
 主な活動は、会員向けや一般向けの電話相談。月刊情報誌『アトピー最前線』の発行。保健所・保育園・企業・生協・PTA・ 各種団体などへの講師派遣。夏休み親子キャンプや「夜の患者交流会(成人アトピー患者対象)」、公開講座やワーキンググループの開催。 医師や専門家と共同で、アトピー・アレルギー性疾患発症の原因や背景の調査・研究を実施し、情報の集積と発信を行っています。また、 相談業務の受託や、医療、環境、食べもの、農業、化学物質、住宅、自然、社会、女性、子どもの問題などに関わる企画の提案と実施。 出版物の制作も行っています。

・電話相談…アレルギーに関するご相談を受け、考え方の基本やくらし方をアドバイスしています。場合により、本の紹介、 各地の医師や活動団体の連絡先を紹介したりしています。
 ・会員向け 週2日間開設(祝日、8月休)
 ・一般向けのアトピーアレルギーホットラインは、毎月第3木曜・金曜の2日間(祝日、8月休)  TEL03-5414-7421 10:00~17:00
・講師派遣…スタッフが直接うかがって、アレルギーが起こるしくみ、日常生活の留意点、最近の医療動向についてお話しします。
・編集・発行の書籍(2002年7月現在)…
 『やさしくわかる アトピーの治し方』1,165円+税(永岡書店)
 『アトピッ子ダイアリー ママのふれあい日記』 420円+税(合同出版)

★会員について
 アトピッ子地球の子ネットワークの活動にご賛同いただける方は、どなたでもご入会いただけます。どうか支援ください。
「会員」とは、アトピー・アレルギー性疾患をもつ患者とその家族が対象となります。そのほかの方は、「賛助会員」または「購読会員」となります。 会員・賛助会員・購読会員の方には、月刊情報誌『アトピー最前線』を送付します。詳しくは、 アトピッ子地球の子ネットワークにお問い合わせください。
 会  員 年会費4,000円
 賛助会員 年会費 個人10,000円/1口 団体50,000円/1口
 購読会員 年会費5,000円

★アトピッ子地球の子ネットワーク事務局
 〒106-0032 東京都港区六本木4-7-14 みなとNPOハウス3F
 TEL03-5414-7421 FAX03-5414-7423
 火曜~金曜 10:00~17:00(祝日休)

[ 02/12/31 アレルギー ]

時事情報 2002 アレルギー関係

●公立小中学生の2%に食物アレルギー
信濃毎日新聞01年12月8日付によると、長野県教委が食物アレルギーの実態調査を行い、結果を発表した。それによると、 食物アレルギーの児童生徒が在籍するのは、全体の85.1%にあたる509校、人数で2%にあたる3980人。対応としては、 自校式で128カ所、61.5%、共同調理場で25カ所、37.9%が、除去食、代替食をつくっている。弁当持参は、小学校46人、 中学校15人。(02.01.05)

 

[ 02/12/31 アレルギー ]

時事情報2002年 民間委託関係

●神奈川県相模湖町の民間委託導入後に中止
神奈川新聞02年12月3日付によると、神奈川県相模湖町では小学校3校で9月より業者委託、外注弁当方式により学校給食を開始したが、 委託した業者(組合)が2003年3月で解散を決定、調理施設を9月末で閉鎖し、10月から別の調理施設を間借りして学校給食を製造していた。 再委託先の衛生状況を確認したところ学校給食には不適として12月2日に学校給食を中止した。 相模湖町の学校給食はわずか3カ月しか実施されなかったこととなり、再開の見通しは立っていない。(03.01.02)

●那覇市、民間委託03年9月導入
沖縄タイムス02年11月8日付によると、那覇市では4給食センター、22調理場で小中学校の給食を実施している。那覇市教育委員会は、 退職者不補充による順次導入を計画した。(02.12.02)

●兵庫県西宮市、民間委託計画見送り
神戸新聞02年9月25日付によると、兵庫県西宮市は、小中養護学校63校で直営給食を実施している。西宮市教育委員会は、 調理の民間委託を検討していたが、2月に出された西宮市学校給食検討委員会の提言をふまえ、直営を維持しつつ、 退職者の嘱託化などによって人件費を削減し対応する方針をまとめた。(02.12.02)

●新潟県十日町市、民間委託
日本経済新聞02年11月20日付によると、新潟県十日町市は、03年度より水沢学校給食センターの調理を、 NPO法人ネットワーク雪の里に委託する。6校663食分。(02.12.02)

●千葉県市川市民間委託差し止め訴訟、控訴へ
日本農業新聞02年10月9日付によると、千葉県市川市で学校給食の民間委託に対して起こされている住民訴訟の棄却に対し、原告が控訴を決めた。 (02.10.21)

●山形県南陽市、民間委託へ
山形新聞02年9月14日付によると、山形県南陽市は、03年度より、退職者不補充により調理の民間委託を実施する方針。校舎の全面改修中で、 調理場がドライ方式となる赤湯小学校から民間委託する。現在、南陽市には22人の調理員。(02.10.21)

●高知県中村市で小学校給食開始
高知新聞02年8月28日付によると、高知県中村市では、市内17小学校中1校が昭和33年に試行として学校給食を行っているだけだったが、 2学期より4校で学校給食が始まった。1小学校に学校給食センターが設立され、調理、他の3校への配送は民間委託。1日約580食をつくる。 他地域については、順次計画する予定。(02.10.09)

●千葉県野田市、給食を3セクに民間委託
千葉日報02年8月30日付によると、千葉県野田市は、第三セクター方式での学校給食調理民間委託を実施する。野田市では、小学校15校、 中学校8校のうち6校が学校給食センター方式、17校が自校方式で、2学期より、自校方式の14校が委託調理となる。委託会社は、 市とちば県北農協が出資し、現在80人いる臨時職員を順次移管する。(02.10.09)

●岡山市の調理委託2年
山陽新聞02年7月20日付によると、岡山市の民間委託が2年となる。現在、小中学校7校で実施、9月から5中学校が調理委託となる。 (02.09.11)

●福島県川俣町PFIで給食センター実施
建設通信新聞02年8月8日付によると、福島県川俣町では学校給食センターの建設、維持管理、給食事業運営などをPFI方式で行うため、 入札説明を開始した。03年1月に落札を決定する。複数企業で特別目的会社をつくり、運営を求める。企業には、建設、維持管理、 給食事業の企業で、地元企業が含まれることなどが条件となる。03年4月より2019年4月までが事業期間で、事業期間終了後は、 町に施設設備を無償譲渡することとなる。給食事業は、04年より開始される予定。設備は2000食対応、HACCP対応施設となる。 (02.08.18)

●民間委託業者エームサービス、メフォスを買収
日本食糧新聞02年5月10日付によると、学校や病院、事業所など集団給食の受託企業大手エームサービス(株)は、同業の(株) メフォスを買収する方向で検討に入った。両社ともに従業員2000人を超す大手企業。(02.06.23)

●千葉県野田市、第三セクターで委託
千葉日報02年4月24日付によると、千葉県野田市とちば県北農協による第三セクター方式の会社に同市内の学校給食調理業務を委託する。 野田市では、6校が給食センター、17校が自校式で、この自校式のうち14校は第三セクターによる調理となる。第三セクター会社の調理員は、 現在直営で退職不補充により臨時職員が雇用されているが、ここから希望者を募る。なお、野田市が直営を断念し、民間委託とした理由として、 直営では給食費を値上げしなければならなくなるため、としている。現在の給食費は、小学校3900円、中学校4500円。(02.05.24)

●高知市、給食未実施中学校に弁当斡旋
高知新聞02年2月28日付によると、高知市の中学校13校は学校給食未実施。小学校39校、中学校1校は、自校方式、 中学校2校は親子方式となっており、いずれも統一献立。未実施13校中1校は、親子方式を導入し、 他の学校は弁当を希望者に販売する斡旋方式の試行を行う。本格実施は03年1月をめどとしている。(02.04.20)

●神奈川県相模原市、注文弁当方式導入へ
神奈川新聞02年3月8日付によると、相模原市は、給食未実施の中学校で、2002年9月より、業者弁当注文配送方式を試行する。 将来的には中学校全校27校に導入する養親。(02.04.20)

●福井県武生市、外注弁当併用制へ
産経新聞02年1月16日付によると、福井県武生市では弁当持参、ランチルームメニュー、外注弁当の併用を導入する。外注弁当は、 事務処理軽減のため、インターネットを通じ、学校や家庭で注文できるようにする。(02.03.03)

●兵庫県香住町、調理の民間委託計画を断念
神戸新聞01年12月22日付によると、兵庫県香住町議会は、町内有権者の約6割6900人から寄せられた反対署名・請願を重視し、 学校給食の調理の民間委託にかかる補正予算案を修正し可決した。修正案の賛否は同数で議長採決で修正案が採決され、 町提出の補正予算案が採決されなかった。なお、請願書は、委員会で不採択となったが本会議で採択された。(02.02.08)

●長崎市の委託弁当給食、試行期間延長へ
長崎新聞01年12月14日付によると、01年1月から5校で試行している中学校の民間委託による弁当方式給食について、 4校で計60件の異物混入が起こったり、冷たくおいしくないと生徒から不評があることを市議会文教経済委員会で報告した。試行期間を延長し、 保温食缶を導入するなど方式の改善を図るとしている。(02.02.08)

●広島県三次市の業者弁当給食
中国新聞01年12月27日付によると、広島県三次市は中学校給食が5校中1校のみで実施されていたが、 その1校を民間委託して業者による調理配送(弁当方式)に切り替え、他の4校にも拡大する方針を示している。01年2学期より開始されたが、 2カ月で8件の異物混入があり、信頼回復が課題であると同紙は指摘する。(02.1.20)

 

[ 02/12/31 委託・合理化 ]

強化ガラスの破損について

 学校給食食器については、学校給食ニュースでも学校給食をとりまく大きな問題として取り上げてきました。
 その視点は、主に、プラスチック食器の成分溶出と長期的な安全性についてです。とりわけポリカーボネート食器については、内分泌かく乱物質 (環境ホルモン)の恐れがあり、各地で別の食器に変える取り組みなどについて情報を発信しました。また、他のプラスチック食器についても、 その製造原材料や添加剤のすべてが利用者に明らかにされないこととプラスチック食器の性質上、かならず何らかの物質の溶出が起こっているため、 否定的な見解を持っています。
 そして、理想的な学校給食食器として、強化磁器をあげていましたが、同時に、強化ガラスについても成分溶出の心配がないため、 その安全性の面から一定の評価をしていました。
 しかし、強化ガラス食器については、割れるときに強化磁器食器より破損が激しく、広く飛び散り、かつ、 破片が細かくとがって危険であるという指摘がありました。
 1996年7月に東京都足立区で、1999年2月に奈良県奈良市で、それぞれ小学生が強化ガラス食器(コレール) の破損により眼球に失明に近い怪我を負いました。いずれも民事裁判として係争中ですが、これらの事故をきっかけに、 2001年に経済産業省の独立行政法人製品評価技術基盤機構(旧:製品評価技術センター)が「事故情報特記ニュース」を出し、 強化ガラス食器の取扱について注意喚起しました。

 プラスチック食器から、強化磁器食器へ変える運動を進める上で、破損~割れの問題は避けて通ることができません。 この強化ガラス食器の事故によって割れる食器についての議論が出ています。そこで、強化磁器と強化ガラスの違いを破損(割れ) の視点から整理します。

●強化ガラス食器(コレール)とは、
 強化ガラスには主に2つの製法があります。 熱膨張係数の異なる2種類のガラスを溶かして接着させる積層強化と、ガラスを高温に加熱して急冷した風冷強化の方法で、 いずれも表層部分に圧縮応力層をつくり、ガラスが割れる原因の引っ張り力に対抗し、破壊強度を強く(割れにくく)します。
 コレールは、積層強化によってつくられています。よく見ると乳白色のまわりに透明なガラスがあることが分かります。
 ガラス製ですから、食品衛生法にもとづいて重金属溶出の確認さえとれれば、プラスチックのように溶出の心配はありません。 溶出の面からはとても安全な食器です。
 コレールは、割れにくいガラス食器として、家庭やベビー用品、学校給食などに利用されています。
 強化ガラス食器の最大のポイントは割れにくいことですが、逆にそのことが、割れたときの危険性につながってもいます。(後述)

●強化磁器とは、
 陶磁器は、ケイ石や長石、粘土、陶石などを原料にして生地をつくり、 形を整え、焼成、絵付けを行います。成分としては、ケイ酸と酸化アルミニウムが主成分で、カルシウム、カリウム、 ナトリウムの酸化物がケイ酸を溶かしてガラスとなり、表面をおおいます。顔料に重金属を使うことがあり、 ガラス同様に食品衛生法にもとづいて重金属溶出の確認をとります。基本的には、ガラスと同様に溶出の面からとても安全な食器です。
 強化磁器は、通常の陶磁器に酸化アルミニウムを添加することで素材の強度を増したものです。さらに、岐阜県土岐市立陶磁器試験場 (セラテクノ土岐)が開発した高強度磁器食器というものもあります。これは、 ケイ酸分を酸化アルミニウムに置き換えてしまうことでより強度を増したものです。
 強化磁器や高強度磁器も一般の陶磁器よりは割れにくいですが、やはり割れます。しかし、割れ方は、一般の陶磁器とほとんど変わりありません。

●見た目の違い
 強化ガラスと強化磁器の見た目の違いは2点あります。ひとつが、糸じり(ハマ底)の有無です。強化ガラスは、製造工程上、糸じり(ハマ底) をつくることができません。底がつるりとしています。強化磁器は、陶磁器と同様に比較的自由に形を作ることができるため、糸じり(ハマ底) をつくることができます。
 もうひとつは、すかして見たときに透明感があるのが強化ガラスです。強化磁器は不透明です。

●割れたときの危険性
 強化ガラスと強化磁器がそれぞれ割れるときにどのような性質を示すのか、いくつかの試験データがあります。その中で、製品評価技術基盤機構 (旧:製品評価技術センター)が事故情報特記ニュース(No.33)として、2001年1月17日付で「積層強化ガラス製食器」 の商品テスト結果を発表しています。また、同3月9日の特記ニュース(No.34)では、 強化ガラス製食器の使用にあたっての注意事項を発表しています。6月にもNo.38として発表。
 この商品テストは、国が行ったものであり、かつ、強化磁器などとの比較が行われていますので、このテストを中心に紹介します。
 この商品テストは、冒頭紹介した2件の給食用強化ガラス食器による事故を受けて、事故のあった小学校で45回使用された事故同等品(積層強化、 耐熱性)強化ガラスと、その新品(同等品)、比較品として風冷強化の強化ガラス、強化磁器、磁器食器の割れ方を比較したものです。なお、 事故同等品は、コレールです。
 試験は3通り行われました。

■事故同等品(小学校で45回使用の強化ガラス食器)
 事故の状況をみるため、コンクリートの上に張られた厚さ2mmのPタイルに高さ70cm(身長120cmの子どものひじの高さ) から10枚を落下させ、割れる状況を確認。落下点をフチと底で試したところ、フチから落とすと10枚中3枚が割れ、底から落とすと割れなかった。 割れたものは、破片が高さ200cm以上、半径300cmに飛散し、「針状の微細な破片や鋭利な薄片が無数」にできました。
 ここで注目したいのは、70cmから落としたのに200cm以上と高くはね上がったことです。もちろん、 70cmの高さから打ち付けたわけではなく、落下させただけです。

■同等品と比較品
(新品の2種類の強化ガラス、強化磁器、磁器)
 コンクリート、Pタイル、フローリングに対し、110cm(身長170cmの大人のひじの高さ)、70cmの2つの高さから、それぞれ、 落下点をフチ、底として各5枚ずつ、12通りの落下試験をしています。
 この結果は、新品の状態では、風冷強化ガラスがもっとも落下強度が高く、コンクリートでは割れることがあっても、 Pタイルやフローリングでは割れませんでした。積層強化ガラス(同等品)も、新品ではPタイルで割れませんでした。強化磁器、磁器は、 フチから落下すると割れやすいが底からの落下には比較的強かった、となっています。

■同等品と比較品の飛散状況
 Pタイルに対し、110cm、70cmの高さから、落下点をフチ、底それぞれの場合で、3枚ずつ落下させ、破片の飛散状況を調べました。 ただし、新品の2種類の強化ガラスはPタイルで割れないため表裏面に研磨紙で全面に細かな傷をつけて落下させました。
 その結果、積層強化ガラスをフチから落下させると、落下高さ110cm、70cmにかかわらず、高さ200cm以上に飛び、 底から落下させた場合でも、落下高さ70cmで120cm、落下高さ110cmで165cmと、 落下の高さよりも高く飛び散っていることが分かりました。
 風冷強化ガラスの場合でも、フチから落下させると高さ約110cmまでは飛び跳ねます。しかし、積層強化ガラスよりも破片数が少なく、 跳ねる高さも低くなりました。
 強化磁器、磁器は、いずれも大きな破片となり、跳ねる高さも30~50cmでした。 落下高さ110cmのときに数個の破片が斜め方向に高さ約80cmまで飛散することがありました。
強化ガラスでは、事故同等品の試験同様「細片以外に針状の微細な破片や鋭利な破片が無数に存在」しましたが、強化磁器、 磁器は強化ガラスのような細片も少なく、大きく割れています。

■注意事項
 この試験をもとに、製品評価技術基盤機構(旧:製品評価技術センター)が事故情報特記ニュース(No.34)では、 「強化ガラス製食器は固い床(コンクリート床、プラスチックタイル床など)に落ちた場合には破損することがあり、その際には破片が激しく飛散し、 ケガをするおそれがあるという、潜在的な危険性を有していることに十分留意する必要があります。
 このため、強化ガラス製食器の使用にあたっては、次の点に注意することが必要です。
・急激な衝撃を与えない。
・破損した場合、破片が細片となって激しく飛散する特性を持つものがあるので注意するとともに、傷が付くような取扱いは避ける。」
 との注意情報を出しています。

(参考)
製品評価技術基盤機構 http://www.nite.go.jp/
強化ガラス製食器の使用にあたっての注意事項について(2001/06/04)
http://www.jiko.nite.go.jp/news/news38.htm
強化ガラス製食器の使用にあたっての注意事項について(2001/03/09)
http://www.jiko.nite.go.jp/htdocs/AcSearch/ASP/news/news34.htm
「積層強化ガラス製食器」の商品テスト結果について(2001/01/17)
http://www.jiko.nite.go.jp/htdocs/AcSearch/ASP/news/033/news33.htm

●まとめ
 以上、見てきたように、強化ガラスとりわけ積層強化ガラスについては、割れたときに一般的な予想を超えた跳ね方をすることや、 その破片が数多く、鋭利であることから、学校給食用食器として適していると言えないようです。特に、新品では割れにくいのに、 製品評価技術基盤機構の試験では学校で45回使用したものが新品に比べて割れやすくなっていることが分かりました。 これは1年にも満たない回数です。
 一方、強化磁器(磁器)の方は、一般的な予想の範囲内で割れることが分かります。
 いずれにしても、金属、プラスチック以外の、強化ガラスや強化磁器は、扱い方によって割れます。
 まず、子ども達には、扱い方によって割れること、割れないように扱うこと、割れたときの対処などを、給食を通して教えていく必要があります。
 現在強化ガラス食器を使用している学校や給食センターの場合、できれば、強化磁器への切り替えを検討していただきたいものです。
 すぐに切り替えができない場合でも、まず、新品だけでなく、使用状況によって、強化ガラスの割れやすさがどのようになるのか、また、 割れたときにどのようなふるまいをするのか、教員、給食関係者を含めて確かめてはいかがでしょうか。その際に、 落下高さの2倍以上の高さに跳ねること、跳ねる範囲が広いことを想定し、眼や身体を保護するなど十分な対策は必要です。その上で、子ども達にも、 一般的な予想とは違う強化ガラスの割れ方についてきちんと教える必要があります。
 ガラスや磁器が割れるということは、日常生活の中で必ずと言っていいほど体験することです。割れるからといって、 すべての割れる食器をむやみに避け、プラスチックや金属食器に変えることはありません。プラスチック食器には、溶出の問題があり、金属食器は、 熱伝導がよく熱い物では持ち上げられないなどの問題があります。
 割れることを教育の中に取り入れること、その際、子ども達への安全配慮を行うことが前提で、強化磁器などを使用することが望ましいと考えます。
 そして、現段階で、強化ガラスとりわけ積層強化ガラス(コレール)については、学校給食食器としての安全上の問題が大きいと考え、これまで、 強化ガラス食器については特に否定をしていませんでしたが、学校給食ニュースとしては、今後強化ガラス食器使用に対して注意を呼びかけます。


参考:
土岐市立陶磁器試験場ホームページ http://www.blk.mmtr.or.jp/~ceratoki/


 (学校給食ニュース 2002年10月号

[ 02/12/31 食器 ]

2002年発行の主な内容

【2002年 学校給食ニュース】
02.01 ダウンロード
今月のトピックス 民間委託のコストについて 調理員の平均賃金との単純比較に要注意

02.02 ダウンロード
今月のトピックス 調理の民間委託、安易な導入をさせないために反対運動の広がりと連携を
市民の反対運動事例募集と事例紹介~京都府宇治市
とりくみ紹介 東京都世田谷区立烏山北小学校

02.03 ダウンロード
今月のトピックス 学校給食全国集会結果報告 2002年2月25日開催しました
記念講演「食・ねぐら・愛」本間千枝子さん
民間委託阻止事例 兵庫県香住町の民間委託化は署名活動と議会議論で阻止されました

02.04 ダウンロード
今月のトピックス 学校給食全国集会報告2
記念講演: 地域が支える学校給食 星寛治
事例発表: 学童保育所での給食実施について 福岡県穂波
事例発表: 栄養士の民間委託について

02.05 ダウンロード
今月のトピックス 千葉県市川市・民間委託差し止め訴訟より
ホームページより 民間業者の調理員として、民間委託への意見

02.06 ダウンロード
今月のトピックス 京都府宇治市の小学校給食調理委託で保護者が給食状況を毎日確認 問題が多いとして、住民監査請求提出

02.07 ダウンロード
今月のトピックス アトピー・アレルギー最新情報
ホームページ・ニュースへの投稿 給食・アレルギー・委託についてのご意見

02.09 ダウンロード
今月のトピックス ある養護学校での給食調理委託の実態
安心して使える学校給食用の食器とは何か? 新合成樹脂PENの問題点
ホームページ・ニュースへの投稿 給食を残してもいいのでは。米飯残食の洗浄。
輸入食品と食品添加物 新しい食品添加物が次々に認められることに

02.10 ダウンロード
今月のトピックス 給食食器問題~強化ガラスの破損について
食品の安全性 輸入野菜の食品衛生法違反と、国内での無登録農薬問題

02.11 ダウンロード
今月のトピックス 福岡県岡垣町の学校給食と調理員の取り組み
投稿 保護者の立場からの民間委託反対運動

学校給食ニュースは、四者共闘が発行母体となり、全国学校給食を考える会が発行しています。
会員の方は、内容をダウンロードすることができます。購読(会員)については、http://gakkyu-news.net/jp/000/002/post_6.html をご覧ください。

[ 02/12/31 紙版ニュース ]

時事情報2002年 主に給食運営・施設設備

●高知県安芸市で小学校給食実施に向けた動き
高知新聞02年10月23日付によると、高知県安芸市では、現在小学校10校中3校のみ学校給食が行われている。市学校給食検討会は、 市内全小学校で自校方式による給食実施を求める報告書をまとめた。今後財源などを検討し、実施に向けての動きを早めるという。 (02.11.18)

●名古屋市、給食食材情報を公開
中日新聞02年9月28日付によると、愛知県名古屋市教育委員会は、学校給食の食材や産地情報をホームページで公開することを決めた。 できるところから早期に開設したいという。02年11月1日現在、献立はすべて公開されている。個別の食材や産地の情報は未掲載。 http://www.city.nagoya.jp/ (名古屋市)(02.11.18)

●高知県学校給食パンの混乱が続く
高知新聞02年8月31日付によると、高知市をはじめ県内23市町村の学校給食用パン供給に問題が生じている。02年6月、 高知市の製パン業者の給食用パンに虫が混入、7月に生焼けのパンが出されるなどの問題があり、業者が納入を辞退した。2学期に向け、 県学校給食会が模索したものの、県内の1業者から2000個、県外大手業者から、 材料を自社指定にすることを条件に4000個の納入を決めただけで、必要量の4割にとどまっている。県学校給食会では、 主力のコッペパン以外のパンや冷凍パン、米飯の拡大を各自治体に求めている。(02.10.09)

●青森家木造町で新規統合校に自校式給食
陸奥新報02年7月24日付によると、青森県木造町では、小学校6校が統合し02年4月に穂波小学校として開校した。 他の小学校は給食センターだが、統合に伴い、自校式でランチルームなどを設置。このほど保護者らによる試食会が行われた。(02.09.11)

●神戸市、中学校で弁当販売試行検討
神戸新聞02年8月6日付によると、兵庫県神戸市は、中学校給食を実施していないが、生徒への昼食対策として、業者による弁当販売を検討。 03年1月より一部中学校で試行するとしている。弁当の内容は栄養士が助言、指導するとしている。(02.09.11)

●富山市、中学校給食で主食に男女の差
朝日新聞02年5月21日付によると、富山市では、中学校給食をはじめた1975年以来、パン、米飯ともに男女に量の差をつけている、 市教委では、エネルギー代謝がちがうとして男女差別ではないとしている。なお、給食費も女子の方が年千円ほど安い。 文部科学省の平均所要栄養量基準に対しては、男子が上回り、女子が下回る。(02.06.23)

●東京都八王子市の私立中学で朝の給食開始
産経新聞02年5月20日付によると、東京都八王子市の私立穎明館中高で朝の給食が開始された。1100人ほどの生徒のうち、 利用は30人ほどだが、朝を抜く生徒が多い中、朝食の習慣をつけさせるために行っているという。(02.06.23)

●青森市、センター方式選択式の中学校給食へ
秋田魁新報02年5月7日付によると、青森市教委は、2004年度より、市内20の中学校を対象に学校給食を開始する予定。 1万食規模のセンターで、2種類の献立を数週間前に生徒に提示、選択方式で供給する。さらに、弁当持参も認める。従来、 中学校給食は実施されていなかった。(02.06.23)

●富山県新湊市で給食費大幅残、返却へ
北日本新聞02年4月26日付によると、新湊市の学校給食センターは、2001年度会計で約660万円の剰余金を出し、 翌年の給食費と相殺して精算する。卒業した中学生については、一人あたり1860円を返却した。 剰余金の理由として野菜の値動きが安めに推移したためとしている。(02.06.23)

●山梨県山中湖村で給食センター完成
山梨日日新聞02年4月26日付によると、山梨県山中湖村の学校給食センターが完成した。1日800食で、2小学校1中学校に給食を提供する。 旧設備の老朽化にともなうもので、ドライシステム。(02.06.23)

●広島市で、小学校年間残食率5%
中国新聞02年3月26日付によると、広島市教委は、小学校給食の年間残食率を調査した。その結果、2000年度の残食率は5%で約130トン。 91年度の3.3%から増加した。調理残さを含む生ごみ処理費用は、市内135校で約2000万円となる。 特に和食献立での残食が多いという結果が出ている。(02.05.13)

●長崎県南高有明町で給食センター完成
長崎新聞02年3月30日付によると、南高有明町の給食センターが完成した。3小学校1中学校の約1500食をつくる。老朽化による新築移転。 (02.05.13)


●鹿児島県西之表市で給食センター完成
南日本新聞02年4月8日付によると、西之表市で自校方式から学校給食センター方式に切り替えた給食センターが完成。 小中学校17校の約2200食を調理する。ドライシステムで、食器にはCOP(シクロオレフィンポリマー)を使用。(02.05.13)


●鹿児島県阿久根市で給食センター完成
南日本新聞02年4月1日付によると、阿久根市で学校給食センターが完成した。阿久根中学校をのぞく全小中学校の約2200食を調理する。 ドライシステムで、食器にはPEN(ポリエチレンナフタート)を使用。(02.05.13)

●秋田県雄和町で給食センターが完成
秋田魁新報02年3月27日付によると、雄和町で移転新築の学校給食センターが完成した。6小中学校の約750食を調理。ドライシステム、 オール電化。(02.05.13)


●仙台市の給食パン混乱続く
河北新報02年4月19日付24日付、仙台市を中心に学校給食用パンを製造するため4月より操業をはじめた学校給食パン宮城協同組合による、 遅配トラブルが続いている。地域のパン業者が共同で大規模製パン工場を作ったが、実際に給食向け製造がはじまると、製造対応が間に合わず、遅配、 別のパンの配送などのトラブルが生じた。宮城県学校給食会は、工場の負担軽減を考え、パンの種類を減らすなど検討しているが、 本末転倒だとして異論が多く出されている。製造量も、最大9万とされているが、現状は6万が限界で、9万になるのは半年後とみられている。 (02.05.13)


●大阪市、食材検討委員会を設置
朝日新聞02年3月28日付によると、大阪市教育委員会は、学校給食用食材検討委員会を設置した。業者登録制度、契約、 検品などの改善策を検討する。会議は非公開で6月上旬に結論。(02.04.20)

●給食費滞納、東京都内の状況
毎日新聞02年4月2日付では、特集記事「なんだか変、東京ウォッチング」の中で給食費滞納についてまとめている。それによれば、 滞納者は経済的困窮によるものではない場合も目立つという。なお、葛飾区の場合で、小学校73校合計年間756万円(00年)となっている。 (02.04.20)

●仙台市、新方式の給食パン、初日にトラブル
河北新報02年4月12日付、13日付によると、仙台市の新年度学校給食初日に多くの学校でパンが届かないというトラブルが発生した。 仙台市の給食用パンは、本年度から名取市の学校給食パン宮城協同組合共同工場で一括製造することになっていた。製造が予定より遅れ、 配送も遅れたため、小中学校44校でパンの到着が遅れ、給食時間を繰り上げていた新1年生を中心にパンなしの給食があいついだ。 翌日も4校が予定より遅れたが、給食時間には間に合った。(02.04.20)

●山形市、給食センター改築方針
山形新聞02年3月21日付によると、山形市は、現在市内1つの学校給食センターで約23000食を作っているが、これを3施設に分散新築し、 各8000食以下、喫食まで2時間以内を達成する方針を固めた。現センターの老朽化に対する対応として。 05年に1施設目の新築稼動を目指し準備を進める。(02.04.20)

●秋田県中仙町、給食開始
秋田魁新報02年3月16日付によると、秋田県で唯一給食を実施していなかった中仙町の学校給食センターが完成し4月より給食を実施する。 全電化、町が設立した学校給食協会に調理を業務委託する。町内小中学校6校、1100食。(02.04.20)

●宮城県利府町、地域ぐるみで給食支援
河北新報02年3月17日付によると、宮城県利府町教委は02年度より学校給食センターの下に学校給食支援組織キャベツクラブ(仮称) を設置する。町民、保護者、センター職員で構成され、食文化の指導、献立研究、環境研究、食材提供などを行う。食事マナーや、 伝統食を盛り込んだ献立づくり、休耕の畑で食材を栽培する活動が考えられている。学校給食だけでなく、 スローフードを理念に家庭での食の大切さにつながる活動も行うとしている。(02.03.30)

●大阪府、牛乳毎日2万本廃棄
読売新聞02年3月2日付によると、大阪府は給食用牛乳の廃棄について調査し、その結果をまとめた。調査は、 乳業団体から廃棄量が年々増えているとの声を受けて行われた。それによると、府内1239校が給食で牛乳を出し、1日約55万本となる。 01年6月から9月の調査では毎日約2万本がまったく飲まれないままに回収されていた。冬季は3万本を超えるという見通しもある。 2万本は乳牛200頭の1日の搾乳量にあたる。府では、人気アニメのキャラクターをつかったビデオや小冊子、教員向けの解説書などをつくり、 牛乳離れを防ぎたいとしている。(02.03.30)

●根室市、給食費滞納に強制手段
北海道新聞02年3月1日付によると、根室市学校給食協会は、給食費を長期滞納する保護者に対し、 給与の差し押さえも念頭においた督促を行うことにした。同協会は、市教委、学校、PTAで構成され、給食費は中学校で学校への持参、 小学校ではPTAの保護者が各家庭を回って徴収している。数年前に、累積滞納金約2300万円を欠損処理したが、 あらたに1千万円を超える滞納金が発生しているという。滞納家庭は毎年度70世帯ほどある。市教委では、 生活保護や就学援助などの公的支援を受けずに「誠意ある対応を示さない」11世帯に内容証明付きの督促状を送った。 2世帯は返済の意志を示したため、9世帯に対し、法的手続きにはいるとしている。(02.03.30)

●市町村合併、給食方式は?(静岡市と清水市)
静岡新聞02年3月1日付によると、合併を決めた静岡市と清水市では学校給食方式が異なる。静岡市は、小中学校ともに給食センター方式。 清水市は、小学校が自校方式、中学校は委託弁当方式。給食費も若干異なる。今後、静岡市と清水市で協議が行われる見通し。(02.03.30)

●鹿児島県市来町、給食センター落成
南日本新聞02年3月1日付によると、鹿児島県市来町は完全電化ドライシステムの学校給食センターを新築した。町内幼稚園、 小中学校の約860食を調理する。完全電化は、鹿児島県初。(02.03.30)

●秋田県千畑町、学校給食センター完成
秋田魁新報02年1月22日付によると、千畑町学校給食センターが完成した。移転新築で、幼稚園、小中学校4カ所の給食をつくる。 電力の一部を太陽光でまかなうほか、生ごみ処理機を導入。総事業費約6億円。(02.03.03)

●長野県望月町で自校、センターの議論
信濃毎日新聞01年11月14日付によると、長野県望月町には4小学校1中学校があり、1小学校が自校方式で、 他は中学校併設の給食センターを利用している。以前はすべて自校方式だったが、校舎改築などで徐々に中学校施設に統合されてきた背景があり、 施設の老朽化などを受けてセンター統一の動きがある。一方、PTAなどからは自校方式を望む声がある。学校統合などの動きもあり、 町教委は8月に小中学校施設整備検討委員会を設置し、議論を尽くすとしている。(01.12.13)

●大阪府四条畷市の中学校給食カロリー不足
毎日新聞01年12月21日付によると、大阪府四条畷市では過去5年間、 中学校の学校給食のカロリー量が文部科学省の基準より下回っていることがわかった。2001年度は平均70kcal不足しているという。 給食費は月3600円で全国平均より約800円安く、92年より据え置きされている。 直接の原因として食べ残しの多いパンを小さくしたことがあるとされている。府教委が改善を指導、市教委は陳謝している。周囲からは、 非難する声と、栄養中心で考える必要はないという声があるとしている。(01.12.13)

 

[ 02/12/31 施設設備 ]

時事情報2002年

●仙台市、ABS樹脂食器に統一
河北新報02年11月05日付によると、宮城県仙台市教育委員会は、03年度より、市内小中学校の食器をABS樹脂製に切り替える。仙台市では、 現在、ポリプロピレン製、ステンレス製、アルマイト製の食器を使用している。2000年度に、 強化磁器を小中学校5校と分校1校で試行導入したが、専用の洗浄機がいる、食器が重く破損率も高いことを理由に、ABS樹脂選定を決めた。 10年程度をめどに市内全部を統一する予定。(02.11.18)

●大分県中津市、強化磁器食器を導入
大分合同新聞02年8月31日付によると、大分県中津市で6中学校の食器がアルマイトから強化磁器に変わった。2000年9月に、 小学校給食用食器を保護者らの要求でポリカーボネートから強化磁器に変更。今回は、安全性ではなく、 食文化の観点や熱伝導の問題から強化磁器への切り替えを決めた。学校給食センターは設備の交換を行なった。(02.10.09)

●沖縄県PC食器の使用状況調査
沖縄タイムス02年7月2日付によると、沖縄県はポリカーボネート食器(PC食器)の使用実態を調査した。その結果、小中学校全体の26.1%、 116校でPC食器を使用しており、うち59校は耐用年数を超過したものを使用していたことが分かった。 20校は年度中に他食器への切り替えを予定しているという。県はPC食器を使用している市町村に対し、 環境ホルモン物質ビスフェノールAの溶出検査を促すとしている。(02.08.18)

●沖縄県那覇市で琉球漆器使用へ
沖縄タイムス02年6月8日付によると、那覇市では9月より2校が給食食器に琉球漆器を使用する。 すでに那覇市では壺屋焼の食器を取り入れた壺屋小学校の事例があり、地場伝統産業を教育に取り入れる機会として期待がもたれている。 (02.07.18)

●福島県の給食食器動向
福島民友02年6月12日付によると、福島県では98年度時点で給食実施校の66.2%、515校がポリカーボネート製食器を使用していたが、 01年度には、47校まで減少。陶磁器は、98年度に20校だったが、01年度には334校と増加した。会津漆器も0から40校と増加。また、 ポリプロピレンも若干増加している。(02.06.23)

●食器材料PENについて
日本消費者連盟発行の消費者リポート02年6月7日号によると、PEN(ポリエチレンナフタレート)について、元大阪大学助教授の植村振作氏は、 食器として傷つきやすいこと、紫外線や熱で劣化が少しずつすすみ、熱湯消毒に向かないこと、 溶出試験で溶出物は不明ながら溶出物があることからメーカーが言うように最良のものではないと指摘、 陶磁器が給食食器に導入できない原因こそ取り除く努力をすべきと指摘している。(02.06.23)

[ 02/12/31 食器 ]

時事情報 2002年 衛生管理・食中毒関係


●甲府市、生の果物再開
山梨日日新聞02年9月27日付によると、山梨県甲府市教育委員会は、小中学校36校の学校給食に生の果物使用を再開した。病原性大腸菌O- 157での使用自粛以来6年ぶり。殺菌・洗浄により安全性は確保できるとしている。県産ブドウの甲斐路が出された。(02.11.18)

●愛知県津島市で、牛乳に異物混入
中日新聞02年11月13日付によると、愛知県津島市の1小学校で、ビン入り牛乳から長さ5ミリの鉄片が見つかった。 飲んだ児童が気がついて出した。この事故で、市内のメーカー昭和牛乳は2日間運転を停止、3日後から納品を再開した。停止期間は、 他メーカーの牛乳を使用した。(02.11.18)

●広島県福山市でパンに虫混入
中国新聞02年10月13日付によると、広島県福山市の小学校で給食のパンにコナムシが混入していた。児童が気が付いた。(02.10.21)

●広島県廿日市市で異物混入
山陽新聞02年9月30日付によると広島県廿日市市で学校給食に金属片が混入する事故が2日続けて発生した。17日には、 磯辺揚げに長さ1cmの金属片が刺さっていた。18日には、ご飯の中に直径6mmの金具が入っていた。 1999年に学校給食センターが民間委託されて以来、異物混入のトラブルが続いており、市では再発防止を徹底するとしている。 (02.10.21)

●鳥取県米子市、カッター刃混入
中国新聞02年10月5日付によると、鳥取県米子市の学校給食センターで調理した大学いもにフードカッターの刃(長さ1.5cm)が破損し混入、 小学校1年生の児童が異物に気づきはき出した。破損原因についてはメーカーで調査中。(02.10.21)

●文部科学省、給食食材の安全性確保を検討
産経新聞02年8月16日付によると、文部科学省は、安全な食材の調達方法の調査研究を03年度より行う方針。 各都道府県に1地域ずつモデル事業を委託する。教育委員会、保健所、食品安全管理を行う期間で推進組織を設置し、 納入業者への検査証明の求め方や市場での独自調査、生産者の顔が見える食材調達方法などを研究し、3年ほどで事例集としてまとめたいとしている。 (02.09.11)

●山形市、無登録農薬で学校給食対応
河北新報02年8月23日付によると、山形市は県産のリンゴ、ラフランス、県外産のナシを学校給食の献立から当面はずすことを決めた。 山形県内の業者らによる無登録農薬販売と使用が明らかになったことから、安全性が確保できるまでの当面の措置としている。代替には、 缶詰のモモやバナナ、ブルーベリージャムなどを使う。(02.09.11)

●仙台市、無登録農薬で納品業者に確認書
河北新報02年8月24日付によると、仙台市は、学校給食用野菜、果物類の納入業者決定に際し、 取引先の生産者が無登録農薬を使用していないことを確認し、文書で提出することを義務づける。すでに入札が終わった業者に対しては、 無登録農薬の有無を調査した。(02.09.11)

●日本ハム製品使用見合わせの動き
新聞各紙より、02年8月、日本ハムの子会社による牛肉偽装事件を受けて、学校給食での日本ハム製品使用中止の動きが起きている。
兵庫県神戸市、尼崎市、小野市、2学期より日本ハム製品使用を見合わせ。
兵庫県学校給食総合センター(県内84自治体に食材納入)、日本ハムの4品目の使用中止。
東京都あきる野市、2学期より日本ハム製品、日本フード製品使用を見合わせ。
富山県高岡市、2学期に日本フードの牛肉使用を見合わせ。
岩手県宮古市、2学期の日本ハム製品使用を見合わせ。
京都市、日本ハム製品使用を当面見合わせ。
愛知県名古屋市、日本ハム製ベーコンの使用見合わせを検討。豊岡市、9月の使用を中止。蒲郡市、新城市、豊田市、岡崎市、使用中止を検討。
岡山市、日本ハム製品の使用を見合わせ。(02.08.18)

●大阪市、給食食材仕入方法を変更
読売新聞、朝日新聞02年7月19日付によると、大阪市は、給食用牛肉の偽装疑惑を受け、学校給食用食材検討委員会を設置していたが、 このほど改善策が発表された。食材購入を行う(財)大阪市学校給食協会への納入業者が事実上固定されていたため、 毎年9月の納入業者登録を中央卸売市場や市教委のホームページでも告知、新規参入をしやすくする。また、契約で仕入れ量、仕入れ先、 納入記録などの記録作成保管、立ち入り調査を認める同意書などを取り付ける。違反があった場合、登録取り消し、 損害賠償請求を行うなどとしている。一方、納入検査の職員の技能向上や衛生管理調査の頻度を高めるともしている。牛肉については、 国産牛肉指定を維持し、価格入札とサンプル検査を併用する。(02.08.18)

●仙台市、給食用ウエットティッシュの議論続く
河北新報02年7月19日付によると、仙台市内の小中学校で給食時に使用されているウェットティッシュが議論を呼んでいる。 1967年以来ウェットティッシュの使用が続き、ごみ問題や財政面から廃止を望む声もある。01年度、試行的に8校で使用を中止したが、 うち4校が手洗い励行で完全廃止、うち4校は給食の手洗いなどで給食時間が短くなる、おしぼりがわりで便利などとして使用を再開した。 (02.08.18)

●高知市、給食用パンに異常
高知新聞02年7月6日付社説によると、高知市の7小学校で給食用パンに異臭、変色、異物混入があった。しかし、 県学校給食会では代替業者がいないことを理由に業者の変更などを考えていないとしている。品質をなおざりにする姿勢を高知新聞は批判している。 (02.07.18)

●中国産ワカメを国産と偽装
日本経済新聞、朝日新聞02年6月19日付によると、埼玉県鴻巣市の海藻加工業者が中国産ワカメを国産と偽装し、埼玉県学校給食会に販売、 給食食材として使われていたことが分かった。業務用のため、JAS法規制の対象とならない。業者側は、 国内加工なので国産と表示したとしているが、学校給食会に商品代を返金するとしている。(02.06.23)

●愛知県豊田市、牛乳回収
中日新聞、日経新聞02年3月23日付によると、愛知県豊田市の豊田乳業が同市内の学校給食用に製造した牛乳に洗浄用次亜塩素酸が混入した。 3月15日に出された牛乳を飲んだ児童が気づき、約2万個を回収した。 同市教委は18日から20日まで市内72小中学校と養護学校に別の会社の牛乳を使用した。(02.03.30)

●愛知県豊橋市の食中毒原因判明
中日新聞01年12月29日付によると、愛知県豊橋市で01年9月10月に児童生徒171人がサルモネラ・ エンテリティディス菌に感染した食中毒事故のうち、96人の感染源は10月の学校給食に出された月見まんじゅうだったと同市保健所が発表した。 同まんじゅうは、市内の業者が製造したもの。ただし、残りの発症ルートについては解明できなかった。(02.01.20)

●ウエットティッシュから手洗いに
河北新報01年12月4日付によると、仙台市では、給食の前にウエットティッシュで手指を消毒しているが、このほど、 ごみを増やすという指摘を受けて8校で石けんによる手洗いを試行する。食中毒への対応や、手洗い場の設備、給食時間が短くなるなどの懸念もあり、 試行を受けて検討するとしている。なお、学校給食用に小中学校で使用されるウエットティッシュの年間購入費は2290万円(約2100万枚)。 (02.01.05)

●札幌市で、牛乳の異臭
北海道新聞他01年12月16日付によると、 12月7日~13日にかけて雪印乳業札幌工場で製造された学校給食を飲んだ16校の生徒120人以上が異臭を指摘、 札幌市保健所と雪印乳業が合同で調査したところ、菌等の以上はなく、紙パックの内側にあるポリエチレンからの臭いであることが分かった。 製紙メーカーに詳しい因果関係調査を求めるとしている。一部に腹痛を訴える生徒がいたが、関係は分かっていない。(02.01.05)

●北海道苫小牧市で給食パンに縫い針
北海道新聞01年12月14日付によると、苫小牧市内の小学校1校で11月29日の給食パン1個に縫い針が混入していた。 このパンの袋には針でつついたようなあとがあったという。けがなどはなかった。(02.01.05)

 

[ 02/12/31 衛生管理 ]


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