合理化通知
学校給食調理の民間委託については、1981年7月の臨時行政調査会第一次答申ではじめて触れられ、2年後の1983年3月、 臨時行政調査会第五次答申、1984年7月の臨時行政改革推進審議会意見書、9月の総務庁勧告が出され、 それを受けた形で1985年1月21日に文部省体育局長から各都道府県教育委員会教育長あてに「学校給食業務の運営の合理化について」 が通達されます。これが、「合理化通知」通達です。
学校給食業務の運営の合理化について
学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与することを目的とし、
学校教育活動の一環として実施されており、わが国の学校生活に不可欠のものとして定着しているところでありますが、その業務の運営については、
臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会及び総務庁から合理化の必要性が指摘されているところであります。
ついては、今後、各設置者が下記事項に留意の上、地域の実情等に応じた適切な方法により運営の合理化を推進するよう、
貴管下の市町村教育委員会等に対し指導及び周知徹底を願います。
記
1 学校給食業務の運営については、学校給食が学校教育活動の一環として実施されていることにかんがみ、これを円滑に行うことを基本とすること。
また、合理化の実施については、学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮すること。
2 地域の実情等に応じ、パートタイム職員の活用、共同調理場方式、民間委託等の方法により、 人件費等の経営経費の適正化を図る必要があること。
3 設置者が、学校給食業務の合理化を図るため、パートタイム職員の活用、共同調理場方式、民間委託を行う場合は、 次の点に留意して実施すること。
(1) パートタイム職員の活用
ア パートタイム職員の勤務日数及び1日の勤務時間は、常勤の職員のそれと明確に異なるものとすること。
イ パートタイム職員に対しては、必要に応じて適切な研修を行うこと。
(2) 共同調理場の採用
ア パートタイム職員の活用を図るとともに、調理員の稼働の効率を高めること。
イ 近代的な施設設備を導入し、衛生管理及び労働安全の面に配慮しつつ調理工程の合理化を図ること。
(3) 民間委託の実施
ア 献立の作成は、設置者が直接責任をもって実施すべきものであるから、委託の対象にしないこと。
イ 物資の購入、調理業務等における衛生、安全の確保については、設置者の意向を十分反映できるような管理体制を設けること。
ウ 設置者が必要と認めた場合、委託者に対して資料の提出を求めたり立入検査をする等、運営改善のための措置がとれるよう契約書に明記すること。
エ 受託者の選定は、学校給食の趣旨を十分理解し、円滑な実施に協力する者であることの確認を得て行うこと。
4 昭和35年12月14日付け体育局長通知「学校給食に従事する職員の定数確保および身分安定について」 において示した学校給食調理員の配置基準は、その後における共同調理場の普及、施設設備の近代化、 パートタイム職員の増加等により現時の学校給食の実状に合致しない点もみられるので、設置者においては、 地域や調理場等の状況に応じて弾力的に運用すること。
5 昭和46年4月8日付け体育局長通知「学校給食の食事内容について」のうち4-(1)については、学校給食法第6条(経費の負担) の趣旨に基づき、学校給食の調理の原則を示したものであって、学校給食業務の民間委託を禁ずるものではないこと。
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その後も、1986年6月に臨時行政改革推進審議会答申、1987年7月新行革審答申、1989年12月新行革審答申などで引き続き、
「合理化」が指摘されてきました。
さらに、1994年10月に自治省が全国の自治体に対し行財政改革大綱の作成を指示し、民間委託の推進と職員の削減を求めました。これにより、
自治体は、人件費削減=民間委託という構図から学校給食調理の民間委託を進めています。
(学校給食ニュース9号 1999年2月)
[ 99/12/31 委託・合理化 ]