学校給食ニュース
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市川市学校給食を考える市民連絡会ニュースのまとめ

市川市学校給食を考える市民連絡会が発行したニュース1~5号をまとめて掲載します。(新HP移行にともなう整理)

 

市川市学校給食を考える市民連絡会ニュース No.1
発行日 2000年11月6日


学校給食に関心を持ちいつも見ていることが大切

給食の調理業務が直営であれ、民間であれ、より良い学校給食のためには、私たちが常に関心を持ちつづけ、意見を言っていくことが重要です。 食は決して合理性に任せてしまってはいけないものだと思います。ただ空腹を満たせばいいといったものでもありません。 子どもたちの将来の食生活に大きな影響を与えるわけですから、私たちが無関心でいたら「多彩なメニューが可能になるから、冷凍食品を使おう」 「国の安全基準を満たしているから、遺伝子組み替え食品を使ってもいいだろう」「栄養士も民間にしていこう」などといった経済合理性優先が、 いつか出てきてしまうことも考えられます。そして、食材の安全性や十分な栄養確保と同時に、食教育の面も重要です。 どんな食材がどんな人たちによって、どんな手順で作られ提供されているのか。衛生管理は十分になされているのか等、 給食全体の質が問われているのです。

学校給食運営協議会の活性化を
学校給食運営協議会は、各学校にあります。
これは平成十年度途中にできたばかりでほとんど機能していないのが実情です。民間委託においては、学校関係者、PTA代表等、委託業者、 教育委員会の四者で話し合う場となりました。
協議会では、次のことについて話し合います。
1.食と栄養教育に関すること
2.食材及び納入業者に関すること
3.その他給食の運営について、学校長より提案された事項
各学校に組織されている「学校給食運営協議会」を開かれたものにし、たくさんの方々が自由に意見を言える場にしていきましょう。 教育委員会も保護者に開かれたものにするよう各学校長に指導しています。積極的に協議会に参加していきましょう。市川で培われてきた、 手作りで豊かな学校給食を守り発展させていくのは、学校給食に直接携わる方々と私たちの共同作業です。

O小学校の学校給食運営協議会
平成十二年四月から給食調理が民間委託化され、協議会も五月・七月と二回開かれました。保護者からはPTA役員と各クラス代表が参加し、 活発に意見を出しています。栄養士さんの給食に対する思いや、委託業者のチーフの話なども聞け、参加した保護者からは 「給食の現状を聞くことができ安心した。給食について話ができる場ができて良かった」という感想が出ています。 食材や設備についての説明も受けました。話し合った内容は"学校給食運営協議会だより"として配布しました。二回目からは、協議会に先がけて、 保護者の委員による懇談会も開かれました。限られた協議会の時間を有効に使うためには重要なことです。協議会の進め方も話し合われ、教育委員会・ 学校・栄養士・先生・委託業者・保護者からそれぞれの報告・提案をする形になりました。O小学校では校長先生の理念とされる 『本校の子どもたちの為に、より良い給食を作り上げていく会』が少しずつ形作られてきました。

直営は技術・民間は人手
栄養士の方から、現状のお話を伺いました

直営と委託の大きな違いは、直営は技術があり、委託は人手があると言うこと、今まで以上に栄養士の責任が多くかかって来ることです。一学期は、 調理手順や業務能力を把握してのメニューの作成など、栄養士の指導力が問われた。A校の場合、他市の給食業務の経験者がチーフであり、 打ち合わせを充実にすることと、学校給食運営協議会が、活発であることから順調に進んでいる。B校の場合は、 レストランの経験者がチーフであることから、野菜の切り方や魚の焼き方までそのつど調理現場には入れないので、窓から見える範囲で、 チーフに確認した。チーフの力量の大きさは、実感した。人手はあるので手のかけられる献立は組めるが、実際に重労働・危険作業は、 正社員のみが行っている。
直営の場合は一緒に作り上げていくという仲間意識が大きかった分、その落差を自分の中で整理していき、栄養士の目指す「教育の一環である」 給食像へどうつなげてゆくかがこれからの課題です。
委託校の設備は優先的に整備されていますが、直営校の設備整備は遅れがちで、老朽化した設備が心配です。

<調理員の従事者人数状態>

 

学校名 委託前食数 正職員 パート 委託後食数 正職員 パート 委託業者名
大柏小学校 729食 740食 協立給食
宮久保小学校 703食 709食 アイビス
大野小学校 690食 673食 日本給食
新井小学校 624食 600食 メフォス
国分小学校 458食 460食 東都給食
稲越小学校 224食 207食 東京天竜

 



*連絡会は、市川の学校給食について考え合い、時に行動していこうと考えている市民の会です。ぜひご参加ください。 あなたの意見お待ちしています。

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市川市学校給食を考える市民連絡会ニュース No.2
発行日 2000年12月20日


磁器食器の給食を

『民間委託化されたから磁器食器になった』 わけではありません
市川市では、以前よりずっと教育的観点からアルマイト製食器の改善が叫ばれていました。アルマイト製食器は、 食器に食品の温度がそのまま伝わるため、子どもたちは手にもって食べることができず、犬食い状態であることが懸念されていました。そこで、 検討委員会が開かれ、五年間で市内全校に磁器食器の導入が決定されていました。しかし、財政難を理由に遅々として進みません。ところが、 今年度調理業務の民間委託とセットで磁器食器の導入が始まり、「民間委託になると磁器食器になるんだ」といった誤解が生まれています。本来、 民間委託と磁器食器の導入は別の問題です。子どもたちが毎日使う食器は、教育の面からも委託・直営にかかわらずいち早く改善すべきです。

磁器食器
平成十年九月より、大洲小と大洲中に導入され、現在は、直営校で四校・委託校六校全てに磁器食器が導入されています。
来年度は、直営校で七校・委託予定校三校に導入される予定です。
強化磁器食器と周辺食器として、トレー・箸・丸スプーンが導入されています。
食器の絵柄は、市内の小・中学生のデザインを採用しています。


平成十三年度予定校  民間委託説明会が開催
来年度より、給食の調理業務が民間委託予定の三校(行徳小・富美浜小・福栄中)で十一月保護者、教職員に向けて説明会が開かれました。
参加状況

学校名 参加人数 開催日 質問等
富美浜小学校 約100名 六日
行徳小学校 約200名 七日
福栄中学校 約55名 十六日

説明会の内容は、教育委員会より三枚の印刷物をもとに、民間委託をする理由(人件費・行政改革)、委託の進め方、業者の選定方法、 来年度の委託予定校について、次々に報告されました。その中で、学校給食運営協議会についても触れていました。次に、 直営校と委託校の調理業務のビデオ放映が行なわれ、食器の違いがはっきりわかる内容でした。その後、質疑が行なわれました。
(主な質疑内容)
Q、委託は子どものためなのか。業者は営利目的ではないか?(行徳小)
A、文部省の意向でもある。市民代表も加わった行政改革懇談会等でも提言されている。業者に一定の利益はある。安全は直営と変わらない。
Q、委託校では、給食の専門家は一人になってしまい栄養士が重荷を背負うことにならないか?(行徳小)
A、学校給食の経験がある優良業者を選んでいる。保体課に二名の栄養士を配置し支援する。
Q、来年度委託されたら、今いる調理員はどうなるのか?(福栄中)
A、来年度磁器食器が導入される直営校が増員になるので、そういう学校に配置する。

子どもたちの健やかな成長を願って
市川市の職員として、調理業務にたずさわって

私たちの給食職場は、四十年間食中毒も出さず、子どもたちの育成・食教育にたずさわらせていただき、誇れる給食業務と自負してまいりました。 栄養士・調理員・教師・保護者が一体となってそれぞれの与えられた役割を果たし、それぞれの知恵を活かすことで学校給食は、教育の充実をはかり、 人としての食教育がなされると思います。
私たちは今まで、
<青空給食>    お弁当を作り校庭等で味わう。
<福祉給食>    学校の近隣の敬老の方との会食。
<兄弟給食>    上級生と下級生が一緒に食べる。
<バイキング給食> 自分で選んで食事をする。
食材は地場産を使い、安全性を優先し、季節感のある献立で食文化を伝えていくなど、教育の一環としての給食を心がけてきました。 「給食ありがとう」という感謝の手紙も届き、子どもとの交流もありました。
現在の職場は、来年度の委託予定校です。今、校庭で元気に遊んでいる子どもの給食をあと三カ月しかたずさわれないというさみしさと、 心の中で格闘しながら働いています。この子たちに給食を手渡しできなくなることが残念です。次の職場へ赴任しても、食の尊さ、感謝の気持ち、 地域の人々の温かさを忘れないよう心がけていきたいと思います。

*連絡会は、市川の学校給食について考え合い、時に行動していこうと考えている市民の会です。ぜひご参加ください。 あなたの意見お待ちしています。

 

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市川市学校給食を考える市民連絡会ニュース No.3
発行日 2001年3月


地場の食材を給食に

市川市の給食現場栄養士にインタビュー
 地場型学校給食という言葉をご存じですか。文字通りその土地で取れた食材を学校給食に利用し、地場産業の活性化を目的としています。 あたりまえのようですが、実は全国的には、給食の食材は業者から一括購入している市町村がほとんどです。 そのため献立も市町村で統一されています。しかし、市川市では各学校に栄養士が配置されることで、献立の作成や、 食材の選択など学校独自の取り組みがされています。
★旬を食べる
 市川市内では、学校によっては異なりますが、栄養士と生産者の交渉で、地場の野菜を給食に取り入れています。生産者の数が減りつつありますが、 学校単位で発注することで供給量をまかなうことが可能となりました。朝取りの新鮮な野菜が、生産者から直接調理室に届きます。
 地場産の特徴としては、旬の食材は「おいしい」ということです。とにかく新鮮で、やわらかく、香りや味わいがあります。 素材のよさを生かした献立が工夫され、好き嫌いの多い子どもたちにも好評です。
 また、生産者の畑から直接届くので、泥がついていたり、形や大きさが不揃いで手間はかかりますが、栄養士・ 調理員のがんばりで調理されています。
★地場だからできる 食教育
 食べ手の顔が見えることから、生産者からのメッセージや畑の情報を寄せていただき、「今日は○○さんの畑で取れました」と、 子どもたちに知らせている学校もあります。難しいのですが、食べ手側も生産者の顔が見える距離を栄養士さんは心掛けています。それは、作る人、 食べる人の関係だけでなく《誰が・どこで作り・いつ・食べるか》 という生きていく上で欠かすことのできない食教育を実践して学ぶことでもあるのです。
 市川市のほとんどの学校給食に、市内で生産されたノリとたけのこを食材として利用しています。そして、ノリの生産時期(十二月~三月) にあわせて、市内のいくつかの小学校でノリすきを子どもたちが生産者の指導のもと行っています。海草が、 いつもの黒いパリパリのノリに変化する過程を体験します。
 地場産業だからできることです。
 市川市の地場型学校給食は、食材の関係だけでなく、いろいろな形で作り手と、食べ手との交流ができ、多くの事を学ぶことができます。 給食の食材を通しての総合学習であり、教育の一環としての給食の役割を果たしているのです。

*今後も市川市の給食の特色を掲載していく予定です。

もう絶対給食は残さない
職場体験学習で感じたこと
拝啓
 甘栗がおいしい季節になりました。その後皆様お変わりなくお過ごしのことでしょう。
 先日の体験学習では、ふだんはできない貴重な体験をさせていただいてとても感謝しています。体験日の日の当日、 どんなことをやらせてもらうのか、職場のふんいき、職場の人々はどんな方たちなのか、たくさんの不安の気持ちでいっぱいでした。 最初に給食室に入った時こんなに広いんだと感心していたらそんなヒマもなく、すぐに職場の人々はせっせと自分たちの仕事についてやり始めて、 学校生活の中ではいつも先生方に指導してもらっていたので、職場の方はいつも自分のやるべき事がわかっていないといけない事がわかりました。
 普段はあたりまえのように食べていた給食も実際自分で作ってみるとまた、ちがう給食のおいしさが味わえました。 各クラスずつの少しの残りも全部集めるとすごい量になることを聞いて、もう絶対給食は残さないようにしようと思いました。そして、 もし自分がどこかの職場に就職した時、皆さんにどう接したらよいか、どれほどあいさつや返事が必要なのかよくわかりました。 たった一言でも職場のふんいきが明るくなったり、みんなのやる気がでること、 そんなこんなのたくさんのことを私たちは給食室の職場体験で学んできたと思います。
 短い3日間のあいだ、給食室の栄養士さん、調理員さん、そして調理員さん、 お忙しい中でもいつも私たちに親切に応じてくれて本当にありがとうございました。
 今後も給食室で学んできたことは、日常生活でもおおいに役立てたいと思います。お体に気をつけて私たちに愛のこもった給食を作ってください。 そんな給食を私たちはいつも待っています。
敬具

このような嬉しい手紙が給食調理現場に届きました。
給食室では、
「本当に嬉しい。調理師冥利に尽きる」
といった声しきりでした。こんなこともふれあい給食の一端でしょうか。


★連絡会は、市川市の学校給食について考え合い、時に行動していこうと考えている市民の会です。
ぜひご参加ください。あなたの意見お待ちしています。

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市川市学校給食を考える市民連絡会ニュース No.4
発行日 2001年6月

イベント給食のとりくみ

 市川市では、各学校ごとに栄養士さんが献立の作成や、食材の選択をしています。そのほかにも楽しいイベント給食を考えてくれています。
 今回2つの小学校の栄養士さんにお話を伺いました。二人とも、大切なのはおいしくて楽しいことですとおっしゃいました。「栄養があって、 その上おいしければますます体にも良いでしょうし、子ども達は楽しければ、自然と興味を持ってくれます」との言葉に、 なるほどとうなずいてしまいました。

バースディランチ
 北方小は、三中との親子方式の給食です。食数1000を、栄養士と8人の調理員さんでまかなってます。そんな中で、青空給食や、 地域のお年寄りをお招きしてのふれあい給食を実施しています。
 また、小学校自体は小規模(300人位)なので、 同じ月生まれの先生と子ども達がランチルームで会食するハッピーバースディランチをしています。5・6年生の保健委員、担当の先生方で毎月計画・ 準備しています。
 招待状を作り、当日は低学年の子ども達を教室までお迎えに行きます。招待された人達は、委員会の子どもの司会で、進み、 特別なデザートもついて、お昼のひと時を過ごします。

子ども達とつくる給食
 若宮小は、屋外での青空給食、担任のクラスを持たない先生方との会食、セレクト給食が、行われています。また、 イベント給食とは少し違いますが、子ども達が体験することによって、より食生活に関心を持ってもらおうと、 その学年にあった作業を取り入れています。
 自分でサヤをとった豆がその日の給食に出てくると、子ども達の反応がまったく違うそうです。
 一年生がソラマメをむいた日は、保護者の試会も行い、親子で感動を味わってもらいます。その感想が、翌月の献立表に載せられ、 一年生の保護者もすんなりと給食に参加できます。
 絹サヤのスジ取り、とうもろこしの皮むき、ノリすきなどいろいろ体験しますが、六年生になると、実際に給食の献立をたてます。 栄養士さんから栄養のバランス・予算(253円/1人)などについて、講義を受けた子ども達は、グループごとに献立を考えます。 その中から各クラスごとにナンバーワン献立を選び、給食に出してもらうのです。子ども達で調理員さんに説明もします。 自分達の考えた給食をみんなに食べてもらえるなんて、考えただけでもワクワクしてしまいます。
 他の小学校でも、栄養士さんがそれぞれ独自の取り組みをなさっていると思います。それを支えているのは調理員の方です。
 市川に住み、子どもを小学校に通わせ、各学校に栄養士さんがいて、あたりまえと思っていましたが、 多くの自治体ではセンター給食や2校兼任の配置になっています。ゆとりある配置でこそできる、食教育だと思いました。しかし、 現場の栄養士さんにとっては、献立を考え、毎日の給食を作っていく仕事と食教育の両方をするには、けっしてゆとりある数ではないそうです。


*連絡会は、市川の学校給食について考え合い、時に行動していこうと考えている市民の会です。ぜひご参加ください。 あなたの意見お待ちしています。

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市川市学校給食を考える市民連絡会ニュース No.5

 六月九日(土)午後一時半から約二時間半ほど、市川教育会館の3階ホールで『食文化と学校給食』 について、学習会を開催しました。講師は、二十年前から学校給食に関する調査研究をされている農林中金総合研究所の根岸久子さんで、 保護者や栄養士など三十名以上の方の参加がありました。

学校給食が与える食への影響
 二十年前には、学校給食を経験していない者も多かった。学校給食経験者と非経験者では、食の好みに歴然とした差がある。 経験者は洋風のものを好む。つまり、子どもの時に食べたものがその後の食嗜好に大きな影響を与えるのだ。たとえば、 パン食や牛乳などは学校給食を通して多くの日本人になじんでいったし、また、パン食は伝統的な和食に比べ、『口中調味』の (口の中でいろいろな食物が混じりあっておいしさを作る)の重要性が低いため『直線食い』(一つずつおかずを食べては次のおかずにいく食べ方) などの食習慣を(?)生んだ。子どもの時にいろいろな食物を食べていない、いわゆる「食歴の浅い」人は、 年をとってからも若いころと同じようなものを食べる傾向があるといわれているが、 これも子どもの頃の食がいかに大きな影響をもつかの好例であろう。
アメリカはこのことをよく知っていた。そこで、アメリカは日本をアメリカの農産物の市場とするためには、学校給食を利用するのが好適だと考えた。 すなわち、アメリカの農産物を買ってもらうためには子どもの頃からの食習慣を洋風に変えることが必要で、 そのために学校給食を利用しようとしたのだ。冷凍食品会社や食品企業が学校給食に参入したい(たとえ採算が取れなくても)理由も、 この子どもの頃の食習慣や嗜好を押さえることができるというメリットだ。
このように学校給食はその人の食生活に多大な影響を持つものである以上、「ただ空腹を満たせばいい」ではいけない。こういうと『食については、 家庭で教えるべきだ』と反論する人がいるが、それは空論にすぎない。多くの家庭では毎日弁当をつくり、 しっかり食教育をすることなどできないのが現実だこんな中で、食教育を担えるのはやはり学校給食しかないだろう。 自分の健康と命と食べ物を関わらせて考えられるようになるためには、『ただ栄養がある』だけでなく、食べ物が生産され、 加工され流通して自分のところまで来ることの過程を知ったり、見たりすることが必要だ。これなしには主体的、 積極的に自分の食生活や食を考えることは難しい。とすると、真の食教育のためには、 少なくとも年間に百九十回もある給食を生かしていくしかないのだ。


なぜ、 学校給食の効率化が必要なのか
一言でいえば『学校給食法に基づく学校給食ができない』ということだ。すなわち学校給食法には、 「学校給食は子どもたちの心身の発達にとって大きな役割を持つ」と、書いてあるが、 効率化された経済性優先の学校給食ではこれが実現できないのだ。例えば効率化された「顔の見えない給食」では、有機農産物を使ったとしても、 そのことを伝えることができない。効率化された学校給食でもおいしいくて安全な給食はできるかもしれないが、 将来の自分のよりよい食生活を築くために主体的に食について考えていく習慣などは身につかない。
安全な食より経済性
 これからますます高濃度農薬の食品や遺伝子組み替え食品など、不透明な食材が入ってくる危険性がある。経済性を優先させると、 輸入食材や加工食品企業への依存度が高くなり、不安な食品が紛れ込んでくる可能性も大きくなってしまう。子どもは食材を選べないのだから、 子どもの食や命を守るのは大人の責任だ。

よりよい学校給食づくりのために
 食べ物って人にとってなんだろうとか、食や食生活の大切さを大人たちももう一度考え直すべきだ。「ただ食べてさせてくれればいい」 「ほどほどのものでいい」と、言った大人たちの食べ物感が、学校給食軽視につながっている。心と体の発達にとって食べ物は大切なんだ、 みんなが一緒に話ながら楽しく食べることや、どんな人が作ったのかなど、五感を養いながら食べることが、 豊かな人間形成に結びつくことを大人たちも認識しなければならない。
子どもたちの発達の権利を保障しなければならないのだから、財政が苦しいからといって子どもの発達に関わる学校給食に皺寄せするのはおかしい。 財政が苦しいのだから仕方ないということでなく、一番大切なのは子どもの発達だと考えるべきだ。
食教育には生産や農産物、調理など各プロセスが教材化できることが必要だ。さらにそれぞれの家庭のもつともよいものを教材化するためには、 栄養士や調理員といった「態勢」が重要だ。そういう意識をぜひ持つべきだ。
豊かな学校給食のためには、開かれた学校にする必要がある。保護者や関係者がどんどん参加できる、学校給食運営が望ましい。「今、 どんなものを食べているのか」を見ていくのは当然だ。健康に関わることなのだから、学校任せにしないで、どんどん意見を言っていくべきだ。
(文・石田教諭)
*参加者からも、食の大切を訴える感想が、多く寄せられました。ありがとうございます。
連絡会は、市川市の学校給食について考え合い、時に行動していこうと考えている市民の会です。
ぜひご参加ください。あなたの意見お待ちしています。

(2001.08)

[ 01/12/31 委託・合理化 ]


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