学校給食ニュース
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給食食器の現状(古い)

●食器素材の現状

 学校給食食器に使用されている素材は、急速に代わりつつあります。全国の学校給食で使われていたアルマイト製食器が徐々に減り、 代わってポリプロピレン、メラミン、ポリカーボネートといったプラスチック製の食器が導入されていることが分かります。また、 陶磁器や耐熱強化ガラス、木などの日常の食器と同じ材質のものも増えています。
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 食器具の場合を同じ1994年時点で見てみます。はしの使用校は全国で30,147校(96.5%)、小学校22,946校(97.7% )、中学校7,201校(93.1%)と、かなり普及しています。しかし、先割れスプーンもいまだ17,693校(56.6%)が使用しており、 先割れスプーンのみの学校も760校(2.4%)残っています。また、スプーンは、42.7%、フォークは28.3%、ナイフは3.3% の使用率です。(学校給食ニュース3号 1998年6月

●学校給食食器のうつりかわり

 かつて学校給食の食器は、先割れスプーンとアルマイトの食器に代表されていました。アルマイト製の食器は、 熱いものを入れるとすぐに持てないほど熱くなります。また、洋食器のように手では持ち上げにくい構造をしています。先割れスプーンは、 先の切り込みがあるためこぼれやすく、口から迎えに行くようになります。このふたつによって、いわゆる「犬食い」の子どもが多くなりました。
 1976年に正式に米飯給食が正式に導入されたことなどと平行して、はしを使う学校が徐々に増えました。しかし、 先割れスプーンはなかなか減らず、1983年の文部省調査でははしの使用が約7割、先割れスプーンも併用で9割を超えていました。 それから11年後の94年でも56.6%と半数以上が先割れスプーンを使用しています。
 食器については、1970年代の終わりから82年頃にかけてポリプロピレン食器導入が急速に進められました。 なにもかもをポリプロピレン製のランチ皿1枚に盛りつける学校が増えたのはこの頃です。
 ポリプロピレンからは、添加剤として酸化防止剤のBHTが使われ、溶出したため、社会問題となり、 東京都練馬区や兵庫県西宮市などで導入に対し大きな反対運動が起こりました。しかし、ポリプロピレンの食器は全国的に広がりました。
 次に登場したのがメラミン樹脂製の食器でした。プラスチック食器メーカーは、色づけが可能で、陶器に似た質感であることや、 熱伝導が低く持ちやすいためマナー向上になること、硬く、傷が付きにくいことを売り文句に導入を働きかけました。しかし、 メラミン樹脂製食器からは、毒物劇物取締法で「劇物」に指定されているホルムアルデヒドが溶出します。
 メラミン製食器については、1980年代の終わりに導入がはかられ、 東京都北区や福岡県飯塚市などをはじめ大きな反対運動のうねりが起こりました。
 このメラミン製食器に代わって、ホルムアルデヒドなどの溶出がなく、「ほ乳瓶にも使っている」「安全な」 素材として持ち上がったのがポリカーボネート製食器です。現在、メラミンに替わって増えている食器です。
 このポリカーボネートからはビスフェノールAという化学物質が溶出することはわかっていましたが、その安全性はよく分かっていません。 ところが、今年になって「環境ホルモン(=内分泌かく乱物質)」としてのビスフェノールAが取り上げられ、学校給食食器に注目が集まっています。
 ポリプロピレン、メラミン、ポリカーボネートはどれもプラスチックです。この素材に対する問題点は後にまとめますが、 プラスチック食器の導入に反対する動きは、子ども達にとってどんな食器が望ましいかという検討を生むきっかけになりました。
 各地で議論が起こり、陶磁器、強化ガラス(強化ガラスはその後、 割れたときの危険性が大きく使用されなくなりました HP移行時追記)など、日常的に使われている素材を使った食器を導入したり、 地場産業である陶磁器や木製食器を導入する学校・地域も徐々に増えています。(学校給食ニュース3号 1998年6月

[ 98/12/31 食器 ]


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