学校給食について思うこと~赤城智美(アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長)
アトピッ子地球の子ネットワーク
1993年に設立。アレルギー・アトピー問題について、個別対処の側面と、根本的解決のためには環境の改善が必要という側面から、
多方面にわたって活動。電話相談、情報発信、患者交流会(子どもの患者の母、成人患者と家族など)のほか、環境調査、実態調査、
企業のアレルギー対応に関しての協力なども行っています。
市民団体アトピッ子地球の子ネットワークの事務局長で、自分自身も、子どももアレルギーを抱える、赤城智美さんに、
体験や電話相談の経験を通してのお話を聞きました。
【学校給食の質は?】
学校給食でアレルギー、アトピーの子が、別メニューを作っていただいたり、お弁当を持参させていただいたりしていますが、これでいいのかな、
と思うときがあります。それは、アレルギー、アトピーの子だけがいいものを食べさせてもらっているということなんです。
除去食のために学校給食のメニューや詳細な仕様を見せていただくと、油や砂糖の使用が多いのにびっくりします。それと、
加工食品や添加物が多いことも気になります。
そういうメニューを見ると、バランスのよい食事とはなんだろうと考えます。そして、カロリーと計算上のバランス重視になり、
加工品が多い学校給食は全体的には質が低いと言わざるを得ないのではないでしょうか。もちろん、お金がなかったり、安い給食費を使っていたり、
制度上のことはあるかと思いますが、子どものために、きちんとお金をかけて食事をすることが必要ではないでしょうか。
【話し合いましょう】
学校入学時、親も心配で感情的になったりすることがあるのですが、やはり、
冷静に子どものために学校と二人三脚で取り組めるような関係をつくらなければなりません。そこで、入学前検診などの後、診断書、食物の記録、
発症時の写真などの説明資料を用意して、学校と話し合いを持てる場を作りたいものです。
理想を言えば、学校からは、担任、栄養士、調理員、養護教諭に出てきていただきたいですね。食は、担任の先生、栄養士さん、
調理員さんにお願いすることですが、万が一発症したときには養護教諭に対処をお願いしなければなりません。写真などを見ながら、
どのようなとき発症して、どのように対応するのかを打ち合わせできていればいいですね。これは、アレルギー児に限ったことではなく、
低血糖症や糖尿病の子どもについても同じです。
この話し合いだけでなく、アレルギーなどの子どもの問題については学校、
場合によっては他の保護者も含めて理解し合う場をできるだけ作ることが、アレルギーの子だけでなく、他の子どもにとっても有意義だと思います。
【違いを分かち合う】
「残さずに食べよう」というテーマが、クラスや学年、学校の目標になることがあります。たしかに、残さずに食べる教育もあると思いますが、
除去食で残す子どもがいる班やクラスは、かならず残すことになり、その結果、子どもがいじめられたり、また、「学校に行きたくない」
など除去食であることが引け目になることがあります。
栄養の面も大切ですが、体調が悪いときには残してもいいという教育であって欲しいと思います。
また、ときには、テーマを決めて、卵を使わないとか、雑穀の主食とか、牛乳・乳製品を使わない、または、塩分を控えた給食というものを出し、
食生活の違いや多様性を学び、理解し、分かち合うことがあってもよいのではないかと思います。
(学校給食ニュース4号 1998年7月)
[ 98/12/31 アレルギー ]